720 弁理士試験

2012年8月13日 (月)

人間界に夏休みがあるならば、ブログ界にも夏休みはある、しかし・・・

ケータイでご覧になってる方には、なんのこっちゃ、なんですけど、PC版でこのブログを見ると、ページ右のサイドバーには、カレンダー、最近の記事、に続いて訪問者数のカウンタがついていますね。iPad(縦)で見るとちょうど右まんなかあたり。ね?先日気がついたらそれが77733、とかだったわけです。おお、こりゃもうすぐ77777人じゃないか、いやめでたいめでたい(って何がだろ?)、とか思っていたのですが、今日気がついたら77952,通りすぎてやんの。

まあこれは通過点に過ぎませんから。ってそれはそのとおり。

消尽論と改善多項制の話題で、たくさんコメントを戴き、アクセスも増え、ピーク時は一日200名を超える訪問者があったのですが、ここ数日アクセス急降下。昨日なんて40数名。それも昔書いた書評関連のアクセス中心。

なんというか、ネット世界も全体的に夏休み、なんだなあ、と思ったことであります。そりゃまあ、サマーバケーション、どっか遊びにいくわな。そしたらネットなんて見るひまないし、ましてカキコなんてしないよねえ。

しかし!人間界は夏休みでも、ブログ界はサマーバケーションでも、受験生には、そんなものはない!ないんだあ!!

ってわけで、下の息子(高3)は今もせっせと(自宅で)お勉強してます。暑いのによくやるな。偉いぞ。ってそれはオレもか。

夏休み、おウチでお勉強。疲れたら読書。これはこれで、なんだか幸せですなあ。一週間もあるからね。アマゾンでどさっと注文してしまったぜ。殆どが知財関係の読み物ってのが、ちょっとマニアック過ぎて悲しいか。

さて、改善多項制。ワタシ的には論点は整理できた、気がしてます。これはねえ、意外と根の深い問題でしたな。あまりに基本的根本的なことであるが故に逆に盲点になっているってかんじ。歴史的経緯(一発明一出願から多項制へ)も絡む。試験に受かったら、判例を丁寧にチェックしてみたいと思います。直感だが裁判官の中にもここの理解がヤバい人がきっといる。

以下、最近のコメントをコピペしておきます。このコメントの元となったコメントへのリンクはこちら。そもそもの発端となった改善多項制の記事へのリンクはこちら
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さて次の話題です。特許権は、特許(という行政処分)ごとに発生します(66条)が、特許権が、特許(という行政処分をされた客体)ごとに存在しているのか、請求項ごとに存在しているのか、意見が分かれている、のですよね?

ワタシ、最初一企業内弁理士様の言わんとすることがよく分からなかったのですが、読み返すうちに漸く、理解できました。なるほど!おもしろいおもしろい。これはアタマの中の理解のレベルが一段階上がった感じがします。

つまりこれは、特許権とは具体的に何なのか、というイメージの問題なのだと思います。さて、ここからしばらく、用語は法律を離れ、文学的になること をお許し下さい。(いやホントは法律用語で書かなきゃいけない、書きたいんですけど、そのチカラがワタシにはまだない、たぶん。)

確かにワタシは特許権の行使、という言葉を使うときに、抽象的な意味で使っていました。一企業内弁理士様がいいたいのは、その特許権の行使とは、抽 象的なもんぢゃなく、具体的に「請求項1のこの物を実施(例えば生産)しとるやろ(だから差し止めるぞ)」と「言う」こと、だろ?ということですね?

そう理解すると、特許「権」が(つまり権利が)、具体的に「請求項」の「形をしている」のが、くっきり見えるような気がします。なるほど。特許権は確かに請求項の形をしている。逆に言えば、そのように具体的な形をしていないと、この権利は使いようがないのだな。

そこで翻って考えてみると、ワタシのイメージは、特許(査定という行政処分)によって、請求項の数だけの「権利の形」を持つ特許権が(ひとつ)成立する、とい うもの。発明は技術的思想の創作ですから、その中心にあるのは、発明された物(ブツ)でなく、思想ですよね。それを権利行使の際、外縁がはっきりするよう にブツやら方法やらに具体的に落としこんだもの、これが請求項というものであると。

だから、請求項ごとに特許権がある、ように見えるのですが、それらは根っこの部分の「思想」は同じなのです(単一性の要件)。と思っている。

ワタクシ思いますに、この部分を、あたかも各請求項ごとに特許権がある、というふうに思ってしまうと、BBS判決を読み誤る、のではないか、と。

適法に譲渡したってことは、その色々な形を取りうる思想を、ある具体的な形に落としこんで、その対価を得たわけでしょう。だからその時点で(その製品に係る)その思想 の賞味期限は切れたんだよね。その上再度権利行使して二重利得を得ることは許されないよっと。BBS判決が言っているのは、ただそれだけのような気がする んですけど。

>消尽するか否かは、特許権者が二重に利益を得るか否か(以下、二重利得論といいます)で判断するのが、通説

なぜこの読み方になるのかが、どうも分からないのです。(因みに判例百選は所持しております、BBS判決は傍論部分は流してあって、あまり役には立ちません、Webの判決文コピペが一番と思いました。)

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コメント投稿時、説明不十分だった部分に、かっこ書きで補足を数ヶ所入れてあります。さてこれで一気に見通しがよくなった、気がしていますが、さて?

あくまで一受験生の考えた悩み多き議論ではありますが、これはこれで興味深い視点ではないかと。議論の内容、展開、等に関するツッコミ、等々ありましたらご指導ご鞭撻、よろしくお願い致します。

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2012年8月 5日 (日)

特許権の消尽と改善多項制(つづき)

しっかし、ネットって、すごいね。ブログでこんなに濃ゆいレクチャーを受けられ、議論ができるなんて。いやそれもこれも一受験生の素朴な疑問にいちいちちゃんと応答してくれる奇特な方がいらっしゃるからで。もういくら感謝してもしきれないくらい。skiplawさま、中堅実務者さま、一企業内弁理士さま、あのーさま、その他見ていただいている方々、ホントにありがとうございます。(コメントの最初っからへのリンクはこちら

以下コメントからコピペ。

1.「**を特徴とする糸」の発明と「**を特徴とする糸を使用した織物」の発明との関係について
ワタシとしては、これら2つは同一発明である、という立場を採ります。根拠は39条の審査基準です。発明特定事項は「**を特徴とする」であって、糸と織物という、実施の態様が異なるだけで、技術的思想は同一といえるからです。糸と織物だから別発明である、とはいえないということです(2条1項)。
以下審査基準を引用します。
第 39 条により発明が同一か否かの判断の対象となる発明は「請求項に係る発明」である。第 2 条によれば、発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものとされているから、発 明が同一であるか否かの判断は技術的思想の同一性を判断することにより行う。たとえ実施の態様が一部重複しうるとしても、技術的思想が異なれば同一の発明とはしない。

一方、中堅実務者様は新規な化合物Aの例を例示され、実務上は特許庁はそのような判断はしないようだ、と仰っているようです。この点については、引かれている例は事案が異なっていて、用途発明として特許されたのだと解釈し得る、と思いますが、如何でしょうか。

そう考えると、中堅実務者様の
>なお、個人的には、そもそも、「**を特徴とする糸」と、「**を特徴とする糸を使った織物」とは、織物等に用いる「**を特徴とする糸」について、先行技術に存在していた何らかの課題を解決し特許性が認められた、実質的に同一の発明について、保護を求める範囲の表現を変えたもの同士なのではないか、と思っています。
>この考え方に立つと、両者を別々の出願でクレームしても、相互に実質的に同一の発明なので、39条1項又は2項により拒絶・無効になるということになると思いますが、
という部分とも平仄が合います。

2.権利の消尽について
特許権ごとに消尽するか、請求項ごとに消尽するか、学説が定まっていない、とのこと、ご教授ありがとうございます。それを伺って、ある種ホッと致しました。まったくの見当違いでもなかったんだなあ、と。

また、そうであるなら、ワタシとしましては、185条の規定振りから言えば、権利侵害に関しては、特許権は「一体不可分」だから、特許権全体として「消尽する」、という立場を採りたいと思います。またそのように解釈しないと、36条5項後段との関係から、同一の発明が消尽せず結果として二重利得を生ずる事態が起こりうるので不合理であるから、と付記しても良いかも知れません。

以上、ながながと書いてしまいました。ワタシの解釈の誤り、記載不備、ご質問、等ありましたら是非ご指摘よろしくお願いいたします。特に1.については、特許庁がそのような判断をしないとする他の根拠が提示されればあっけなく崩れる論証です。ご指導よろしくお願いいたします。

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2012年8月 2日 (木)

消尽論って奥が深いぜ!

コメント欄に書いたコメントを、記事としてアップするのは、ダメですかね?作法に反しますかね?と、ちょーっとその辺、迷いつつ、コメント欄っていろいろ不自由だし地味だし。書いたからには出来る限り日の当たるところで人目に晒され、叩かれて批判を受けるべきだと。

だって記事に起こしたほうがアクセス数伸びるんだもん。とゆーわけで、コピペします。(元の一連のコメントへのリンクはこちら

以下コピペ。
んでは、本題です。skiplaw様の論の核心は、
>BBSの判示によれば、A,B,Cの特徴を有する糸を販売すれば、全ての権利が消尽します。別の権利だから、二重利得でないという論理は成り立ちません。
という部分に集約されていると理解しました(間違っているでしょうか?)。

欠けている言葉を補い、整理すると、
skiplaw説(以下S説)
消尽については、対象製品に着目することで、その対象製品について特許権(一般)につき「消尽している状態」か、特許権(一般)につき「消尽していない状態」か、判断する。
根拠はBBS事件判決文第二節のうち、次の部分である。欠けている言葉(一般)をかっこ書きで補っておく。
「特許権者又は実施権者が我が国の国内において特許製品を譲渡した場合には、当該特許製品については特許権(一般)はその目的を達成したものとして消尽 し、もはや特許権(一般)の効力は、当該特許製品を使用し、譲渡し又は貸し渡す行為等には及ばないものというべきである。」

上記理解に立てば、ワタシの主張は誤りであることが明白です。別の権利であるかどうかは問題にもなりません。

しかし、ここでワタシが主張しているのはたぶん、BBS判決が言っているのは、上記の意味ではない、ということなのだと思います。
つまりこういうことです。上記と同様に、欠けている言葉(当該)をかっこ書きで補っておきます。
toppo説(以下T説)
「特許権者又は実施権者が我が国の国内において特許製品を譲渡した場合には、当該特許製品については(当該)特許権はその目的を達成したものとして消尽 し、もはや(当該)特許権の効力は、当該特許製品を使用し、譲渡し又は貸し渡す行為等には及ばないものというべきである。」

BBS判決文を、こう、読めば、「別の権利だから、二重利得でないという論理は」成り立つように思います。

そうすると、つまるところ、BBS判決をどちらの解釈で読むのか(BBS判決はどちらの解釈を判示しているのか)、という問題に帰着します。

ワタシは当然T説の立場に立つ者ですが、それだけでは説得力に欠けると思われるので(なんせ言ってる本人だから)、S説によって生じる不都合を指摘することでT説の擁護を試みたいと思います。

特許権A、特許権B、特許権C、があります。何れも糸に関する特許権で、相互に独立した(利用関係にない)発明特定事項を持ちます。

さて、ある糸αが特許権Aを持つ特許権者甲により業として生産され、乙に譲渡されました。

S説によれば、糸αは特許権者により適法に譲渡された特許製品ですから、「消尽した状態」にあり、他の特許権の効力は及びません。特許権B、特許権Cは出る幕がありません。

特許権B、特許権Cが、甲の所有する特許権である場合は、この結論で特に不都合はありません。
しかし、特許権B、特許権Cが他の第三者丙の所有する特許権で合った場合はどうでしょうか。丙は、権利を持っているにも拘らず、自己の特許権を行使することが出来ません。これは不合理です。

また、逆の立場から言えば、特許権を行使する場合は、対象製品が当該特許請求の範囲に含まれるかどうか(70条)、以外に、対象製品が「消尽した状態にあるかどうか」を調べなければならないことになります(新規の法理?)これは不合理です。

以上のことから、BBS判決に言う特許権の効力とは、「当該特許権の効力を言う」ものと解するのが相当であると考えられます。

以下にBBS判決の、上記判決部分の含まれる第2パラグラフ全文をコピペしておきます。核心部分を””で囲ってあります。(コメントには文字に色を付ける機能がないので)

因みに判決文が、「譲渡した場合には」として、殊更に通常の特許権の効力(68条、「専有する」)と区別するような書き方をしているのは、特許権の 権利行使と、特許権者自身の実施とでは、権利「全体が」用い尽くされているかという観点から行為の質に「差がある」ことを明確にするためであると思われ、 譲渡した場合に「当該権利の消尽」とは別の法理が働くことをいいたいのではないのではないか、と考えます。

以上を踏まえて考えると
1.別々の特許権として取れるなら別々の特許権として取る、そうすれば、夫々の特許権を行使できる。
2.別々の特許権として取れないならそれはひとつの特許権として保護されるべきものである。
ということになります。
そして、ひとつの特許権ならば、その特許権に係る特許製品の譲渡により消尽する。一方ふたつの特許権ならば、同じく消尽しますが、夫々の特許権に係る特許製品の譲渡ごとに別々に消尽する。
以上から「消尽論の効果は特許権ごとに生じ、請求項ごとに生じるものではないと解する」の解釈は適切であると思います。

如何でしょうか。
勝手に乱暴な要約をして、論を展開しているので、skiplaw様の主張とは外れたまるで見当違いの反論となっているのではないかと一抹の不安を抱きつつ、現時点ではこれがワタシのMAXの理解ですので、おそるおそる、反論として提出させて戴きます。

引き続き、記載不備のご指摘、ご質問、再反論等、ありましたら是非よろしくお願いいたします。

ではでは〜。

以下引用。
2 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有するものとされているところ(特許法六八条参照)、物の発明についていえば、特許発明に係る物を 使用し、譲渡し又は貸し渡す行為等は、特許発明の実施に該当するものとされている(同法二条三項一号参照)。そうすると、特許権者又は特許権者から許諾を 受けた実施権者から当該特許発明に係る製品(以下「特許製品」という。)の譲渡を受けた者が、業として、自らこれを使用し、又はこれを第三者に再議渡する 行為や、譲受人から特許製品を譲り受けた第三者が、業として、これを使用し、又は更に他者に譲渡し若しくは貸し渡す行為等も、形式的にいえば、特許発明の 実施に該当し、特許権を侵害するようにみえる。”しかし、特許権者又は実施権者が我が国の国内において特許製品を譲渡した場合には、当該特許製品について は特許権はその目的を達成したものとして消尽し、もはや特許権の効力は、当該特許製品を使用し、譲渡し又は貸し渡す行為等には及ばないものというべきであ る。”けだし、(1) 特許法による発明の保護は社会公共の利益との調和の下において実現されなければならないものであるところ、(2) 一般に譲渡にお いては、譲渡人は目的物について有するすべての権利を譲受人に移転し、譲受人は譲渡人が有していたすべての権利を取得するものであり、特許製品が市場での 流通に置かれる場合にも、譲受人が目的物につき特許権者の権利行使を離れて自由に業として使用し再譲渡等をすることができる権利を取得することを前提とし て、取引行為が行われるものであって、仮に、特許製品について譲渡等を行う都度特許権者の許諾を要するということになれば、市場における商品の自由な流通 が阻害され、特許製品の円滑な流通が妨げられて、かえって特許権者自身の利益を害する結果を来し、ひいては「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を 奨励し、もって産業の発達に寄与する」(特許法一条参照)という特許法の目的にも反することになり、(3) 他方、特許権者は、特許製品を自ら譲渡するに 当たって特許発明の公開の対価を含めた譲渡代金を取得し、特許発明の実施を許諾するに当たって実施料を取得するのであるから、特許発明の公開の代償を確保 する機会は保障されているものということができ、特許権者又は実施権者から譲渡された特許製品について、特許権者が流通過程において二重に利得を得ること を認める必要性は存在しないからである。
・・・判例 H09.07.01 第三小法廷・判決 平成7(オ)1988 特許権侵害差止等(第51巻6号2299頁)

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2012年8月 1日 (水)

議論するって、なんだかわくわく、しますね〜

ってわけで、改善多項制、貴重なご意見ご指摘を戴き、個人的にはすっげえ盛り上がって来ています。うーん。やっぱり議論って素敵だ。

コメント欄の議論では新しい訪問者の人が気づきにくいとおもわれるので、以下、コメント欄への自分の最新のカキコをコピペしておきますね。(コメント欄へのリンクはこちら

さてこんな感じ。

糸の特許権(特許10001号)と、織物の特許権(特許10002号)の二つを特許権者甲が持っている場合を考えます。甲は特許10001号に係る 糸を生産し、乙に譲渡しました。乙は譲渡された糸を用いて特許10002号に係る織物を業として実施しました。この場合、特許10001号は特許製品たる 糸の譲渡により消尽しています(消尽論)。しかし特許10002号に基づく権利行使が出来ます(68条、100条等)。何故ならこの二つの特許権は別々の 権利だからです。そこでは二重利得は問題になりません。消尽も問題になりません。別の権利なのですから。

しかし、そうではなく、例えば「請求項1が糸、請求項2が織物である」特許10003号の場合は、これは権利はひとつですから、甲が乙に糸を譲渡す ることで権利は消尽し、乙の業としての織物の実施に対して権利行使できません。権利行使するならばそれは二重利得であり、問題となります。一つの権利なの ですから。

それならば世の発明者は別々の特許権として特許を取得するに決まっている?いえ、そんなことはない。

まず第一に別々の特許権として取れない、場合があります。元々の出題を見ていただきたいのですが、請求項1が「・・・を特徴とする糸」、請求項2が 「請求項1の糸を使った織物」(所謂従属項ですね)なので、請求項2はそもそもこれだけで特許は取れないのです。これをはっきりさせるために、但書「但し 請求項2に於ける発明特定事項は、請求項1のみであり、織物自体に別の発明特定事項が存在するのではないとする。」を付けたのでした。

また、上記但書がない場合、即ち、織物自体に別の発明特定事項が存在する場合、ということもあり得ます。この場合、特許査定謄本送達(拒絶査定不服 審判後の特許査定謄本を除く)から30日以内であれば出願の分割が出来ますから、分割して別出願にし、その別出願が特許査定されていれば、これは二つの特 許権となりますから、最初に書いた10001号と10002号の二つの特許権がある場合、と同じことになります。即ち夫々別の権利ですからどちらも権利行 使できる、ということです。
(それとも織物に別の発明特定事項があった場合、発明の単一性(37条)を満たさないとして実際には拒絶査定が来る(49条4号)?その場合であっても分割して37条違反を回避しつつ別途権利化という結論には違いはない。)

以上をまとめると、
1.別々の特許権として取れるなら別々の特許権として取る、そうすれば、夫々の特許権を行使できる。
2.別々の特許権として取れないならそれはひとつの特許権として保護されるべきものである。
ということになります。
そして、ひとつの特許権ならば、その特許権に係る特許製品の譲渡により消尽する。一方ふたつの特許権ならば、同じく消尽しますが、夫々の特許権に係る特許 製品の譲渡ごとに別々に消尽する。これはごくまっとうな結論であって、裁判所が好んで採用するところではないかと思います。
以上から「消尽論の効果は特許権ごとに生じ、請求項ごとに生じるものではないと解する」の解釈は適切であると思います。

いやー何がいいって、ブログ書くことがそのままお勉強になるじゃないですか。一石二鳥とはこのこと。わお!

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2012年7月28日 (土)

答えは、自分で、なんとか、しろ、と!

ってわけで、改善多項制、もっと多方面からコメントがつくかと思いきや、全然そんなことはなくて、なんだか拍子抜け。まあねえ。一受験生のマイナーな疑問に過ぎないからなあ。そうそう盛り上がりようもないか。しかしそれはそれ、ワタシ自身はワタシ自身として結論をださなきゃなんない。ってわけで、こんな感じか。

【問1】
請求項1「**を特徴とする糸」、請求項2「請求項1の糸を使った織物」、の2つの請求項からなる特許権Aがある。特許権Aは甲と乙の共有に係る特許権である。甲は請求項1の糸を生産し、丙に販売した。丙は甲から購入した糸を用いて、請求項2に係る織物を業として生産した。この場合、乙は丙に対して請求項2に基づき権利を行使することが出来るか。但し請求項2に於ける発明特定事項は、請求項1のみであり、織物自体に別の発明特定事項が存在するのではないとする。

【答え】
乙は丙に対して請求項2に基づく権利を行使することは出来ない。理由は以下の通りである。

1.権利の消尽について
特許権者は権限なき第三者の業としての実施に対して特許権を行使することが出来る(68条)。ここで実施とは、2条3項各号に定める行為をいう。本問において乙は特許権者であり(33条)、乙はその持分に応じて権利行使できる(33条)とも考えられる(実施行為独立の原則)。

しかし、適法に販売された特許に係る商品についてはその権利は消尽するので、乙は権利行使することは出来ない(消尽論)と解する。商品の自由な流通の阻害の防止若しくは取引の安全確保のため、及び、特許権者の二重利得の防止のためである(最高裁BBS判決)。

2.改善多項制について
ここで、請求項1と請求項2は夫々独立した特許権であり、請求項1が消尽しても請求項2は消尽しない、とも考えられる(185条で準用する27条1号1項等)。しかしながら消尽論の効果は特許権ごとに生じ、請求項ごとに生じるものではないと解する。理由は以下の通りである。

1)185条における51条、66条、68条の不準用
特許法は、特許請求の範囲の記載について、請求項ごとの記載を認め(36条5項本文)、2以上の請求項に係る特許又は特許権について、規定の条文については請求項ごとに特許がされ、又は特許権があるものとみなす(185条)。ここで拒絶理由を有しない出願は特許査定され(51条)、特許権(68条)が設定の登録により発生する(66条)が、これらの条文は185条に準用されていないので、特許査定も特許権の設定登録も特許権も、請求項ごとにあるものとはみなされない。即ち本問においては請求項1に係る糸が丙に販売された際に、請求項2を含む当該特許権全体は消尽している。尚、185条に於いて、27条1項1号が準用されているが、これは特許原簿への登録に於ける形式についての規定であり、権利そのものが請求項ごとにあるとみなす規定ではない。

2)36条5項但書
法は、特許請求の範囲の記載について、一の請求項にかかる発明と他の請求項に係る発明とが同一である記述となることを妨げない、と規定する(36条5項但書)。発明の多面的保護のためである。同一である記述の請求項に基づき、二重に権利行使することは法目的に反するので(1条)、36条5項の規定は権利が請求項ごとに存在するのではないことを前提にしているものと考えられる。

以上

うーんうーん。もっと綺麗にまとめられる気がするのはいつものこと。出来の悪い答案を満天下に晒すような居心地の悪さを感じるが(って比喩にもなんにもなってないやんけ!)、まあ、自分で蒔いた種だ、しょうがない。えーっと、生産的なツッコミ、添削等ありましたらコメントよろしくお願いします。別解模範解答ならなおいいです。

論文の書き方、いや文章一般についての、書き方、もっと勉強(とゆーか修行とゆーか)しないと駄目だよなー。

終わってみれば客観的に見て論点ですらないなこれ。さて次ぃ!

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2012年7月22日 (日)

【疑問】改善多項制って

先日の疑問が未だ解けず、モヤモヤしております。
コメント欄にリンクを貼って置きます)
あれから色々と考えたのですが、これは消尽論の問題というよりは、改善多項制の問題なのではないかと。

つまり私が(受験生として)わかっていないのは、改善多項制における特許権の効力(及びその根拠)、とでもいうべきことなのだと思います。即ち請求項 1,2,3からなる特許権(特許12345号とします)が存在するとして、適法に販売された「請求項1に係る物」で購入者が「請求項2に係る物」を生産し た場合、それが特許権侵害になるのか、ということです。

それを別の面からいうと、特許権の行使の際に、「特許12345号により」権利行使する、のか、「特許12345号請求項2により」権利行使する、のか、実際はどっちなのだろうか、ということかと思うのですが。

んで、これは、たぶん実務をやってらっしゃる方にとっては自明のことなんですよね?そうかぁ。そうするとやっぱ**さんの解釈(権利侵害になる)が正しいのか・・・?ショック。

でもなー。だったらわざわざ「一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない」(36条5項)って書くか?夫々が別個の権利になりうるのに?ワタシ、5項の但し書きは「どーせひとつの権利なのだから」と読んでましたよ。

ああもう。まさかここで悩むなんてねえ。日暮れて道遠しですなあ・・・(涙)。

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2012年7月19日 (木)

【疑問】今更ながら消尽論、発明の単一性、ってアンタ

手を抜かずブログ更新、みたいなコト言っときながら気がついたらサボってるってのは、良くない。ホント良くない。反省してます。
ってゆーか、ブログって書かずにいると書き方忘れてしまうんですな。何事も継続が大事だなあと一般的な結論に逃げたところで本題です。

基本的なところで今更ながらちょーっと首を傾げておりまして、どなたかお助け戴ければありがたいです。

特許権Aがあります。請求項1が「・・・を特徴とする糸」、請求項2が「請求項1の糸を使った織物」、請求項3が「請求項2の織物を使った衣服」、とします。この場合、発明特定事項は、請求項1,2,3で共通しますから、発明の単一性の要件は満たします(よね?)。特許権Aは共有に係る特許権で、特許権者は甲aと甲bと甲cの3人です。(7/20 4:22 共有に係る条件部分等を追記、修正)

ここで特許権者甲aは請求項1の糸を生産し、乙に販売しました。乙は甲aから購入した糸を使って織物を生産し、丙に織物を販売しました。丙は乙から購入した織物を使って衣服を生産しました。

この場合、甲bは乙に対して特許権を行使しすることが出来るでしょうか。
また、甲cは丙に対して特許権を行使することが出来るでしょうか。

私は、甲の特許権は「糸」を乙に販売したときに消尽するので、乙に対しても丙に対しても行使できないと、思っていました(消尽論)。ところが、**さんは、乙に対しても丙に対しても行使できる、というのです。

その論拠はこうです。
確かに請求項1については消尽しているが、請求項2については消尽していない。請求項1,請求項2、請求項3は、夫々独立した特許権であるので、請求項2について行使できる。請求項3についても同様。

**さんは私よりも特許法に詳しいと信じるに足る理由があるので、「ええ!?」と思いつつ、ウチに帰って考えてみたのですが・・・。やっぱりどうしてもしっくりと来ない。この解釈では、特許権者が二重取り三重取り出来てしまうように思えてならない。これがOKとなると、所謂「部品」とか怖くておちおち買えなくなるじゃねーか!って思うんですけど・・・。

わたし、間違ってますか・・・?

まずは条文から考えてみました。ポイントは185条だと思うんですよ。
185条(二以上の請求項に係る特許又は特許権についての特則)で挙げられている条文のうち、この件に関係の有りそうな、というと、27条1項1号くらいかな、と思います(よね?)。

そうすると、問題は「27条1項1号」の解釈及び、185条の「・・・規定の適用については、請求項ごとに特許がされ、又は特許権があるものとみなす。」の解釈、ということになると思います。

つまり、「特許権の設定等については、請求項ごとに特許がされ、又は特許権があるものとみなす。」という条文の持つ意味の解釈の問題に帰着します。即ち、ここから、特許権は請求項ごとに3つあり、糸についての特許権、織物についての特許権、衣服についての特許権、と3回、行使できるのである、というのが**さんの解釈なのではないかと。文言上はこれは間違ってはいない?

しかし、私としては、法令集を繰り、上記結論に至り、しかしそれでも納得がいかない。

それは、二重取りになるっしょ?という感覚的なものなのですが、後付けで条文から理屈を考えると、もしも特許権の「効力」が請求項ごとに行使できるというのであれば、185条に68条が挙げられないとおかしいのでは?それをわざわざ27条1項1号を挙げてあるのは、「効力」についてでなく、「形式」について述べているということではないのか?ということになるのですが・・・。

いやー、今更こんな基本的なことで悩むなんて、情けないやら、悲しいやら、恥ずかしいやら。ですが、本人至ってまじめに悩んでおります。どなたか、結論の妥当性とそれが導かれる根拠につき、ご教授願えれば幸甚です。コメント、お待ちしておりますぅ。
(さすがにこれは15分では書けなかった。ああもう。時間が・・・って、これはお勉強の一環だからいいのか。)

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2012年6月24日 (日)

今年の短答試験は

っていうタイトルの記事を去年も書いたよなあ。
一年、早いものですな。

ってわけで、今年も、短答、落ちちゃった。ぐっすん。2点、足らんかった。
うーん。予定外だなー。今年一気に合格まで行ってしまう予定だったんだけどなあ。

しかしこの結果は、正直に言うと、予想外ではない。(だからなんだ。)(えっ。)
いや自己採点でわかってたでしょ、ってな話ではなく、今年はちょーっと難しかろう、とわりと早い段階から予想していたのだ。具体的には2月頃。いやそれ勉強してなかったんでしょ?っていうツッコミは、イタイけれど当たっている。後半の伸びを欠いたなあ。集中力が欠けた状態でダラダラとやってしまった結果がコレなんだよな。

ちょーっと体制を立て直して、2013年は、なんとかします。はい。

ブログの更新とか、そういう諸々を削って集中しようとしたのが間違いだな。オレ、捨てて集中、って嗜好としては好きなんだけど、向いてないんだよ。いやそれは知ってたんだけど、つい誘惑に負けて「捨てて集中」体制を組んでしまった。これが2012年の敗因だと。

よし、15分単位で切り替える、2013年はこれでトライしてみようと思う。雑事に関しても削らない。なんでもかんでも手を出す、って方針で。我ながらオレもめげないなあ。

ってわけで、早速ブログの更新だあ。読んでる人がいるかどうか、ま、それは置いとくとしてね。いやしかし半年近く放ってあったんですね。信じられないな。ああ規定の15分。復帰第一作記事がこんなんでいいのか?いいのだ。

ではでは。

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2011年11月 6日 (日)

【疑問?】不正競争防止法の2条1項13号の品質誤認て?

たまには勉強ネタを(笑)。
不正競争防止法を勉強してて湧いてきた疑問です。まあ試験とはあんまり関係ないな、どっちかというと実務的なことなんですが。
分かりやすくするために、商標「ぶどう」指定商品「パン」で商標登録出願し、拒絶された、としましょう。4条1項16号の説明で必ず出てくる例ですな。

さて、商標法4条1項16号違反として拒絶された商標を、登録なきまま使用することは、商標法上は問題ない。(問題ないよね?)
しかし(問題になるとすれば)不競法2条1項13号で問題となる。(問題となるよね?)
ところが不競法の実効を担う部分である差止請求権(不競法3条)等は、主体的要件として「営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれのある者」と規定する。
では、商標「ぶどう」を指定商品「パン」で使用する行為により、営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれのある者とは、誰か。

なんで、これが疑問になるのかというと、4条1項16号って公益保護のための規定、でしょ?営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれのある者、っていう主体的要件と相性が悪い気がするんだよな。だから、商標「ぶどう」を指定商品「パン」で使用する行為により、営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれのある者、なんて居るの?って思っちゃう、っていう、そういうこと。

これが原産地表示とか原料とかならまだ分かる気がするんだが。そんときの根拠というか考え方はパリ10条の「日本産のチーズをオランダ産と偽ってアメリカで販売」した場合の「オランダのチーズ業者」と「アメリカのチーズ業者」ってことで、するっと頭に入る。

でもこれを「ぶどう」「パン」に応用していいものか。ちょっと迷うな。ぶどう屋さんとパン屋さんは、商標「ぶどう」を付した商品「パン」が販売されたことにより、営業上の利益を侵害されたのか?(又は侵害されるおそれがあるのか?)ちょっと違う気がしてしょうがないんだが。

これ結局、商標法4条1項16号でいう品質誤認と不競法2条1項13号でいう品質誤認の、指してる内容が違うってことだよな。そうそう4条1項16号の品質誤認のトコでクドいほど注意されたけど、4条1項16号でいう品質は「特性」であって「優劣」を含まない、もんね。

或いは、商標法が直接的に公益保護のための規定も持つのに対し、不競法はあくまで私益調整のための規定(いや解説本読むと公益っぽいことも書いているがそれはあくまで私益調整の結果でね)、その差が出た、っていうことかね。そういえば商標法は「あわせて需要者の利益を保護することを目的とする(1条)」って書くけど、不競法にはこれに該当する文言はないもんな。

って、ことは、だ。商標法4条1項16号に該当するとして拒絶された商標で、且つ、その品質の指す内容が産地・原材料・品質等でなく、あくまで「特性」である場合、実務上は問題にはならないんではないか、って気がしてしょうがない。つまり誰が訴えんねん?って話。(逆に言うと、試験対策としては、ぶどう屋さんとパン屋さんで納得しておこうと思ってる。間違ってる?)

法学書院の「不正競争防止法」(著者:青山紘一)の該当箇所の事例を見てみても、ぴったり来るような例は載ってないよなー。

どなたか、ご存知の方、或いはこの辺のモヤモヤについてあるあるあるって方、いらっしゃいましたら、ご教授又はご一報願えれば幸いですぅ。

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2011年11月 3日 (木)

【知財トンデモ話】商標法上の登録異議の申立て

弁理士って、法律の専門家なわけだけど、一般庶民の生活に普通に関わってくる、ってことはあんまりないよね?つまり知り合いに弁護士とか司法書士とかがいると、イベント発生(相続とか土地の売買とか)の際に重宝するけど、そういう、身内に専門家がいて良かった、っていう扱いを受けることは。まあ一般庶民が「こんな発明したんだけどどうかな?」的な事態を迎えることは極めて珍しいだろうからなあ。いやそれはそれでイノベーティブな素晴らしい社会という気はするが(笑)。

それは知的財産を扱う専門家ってことで、扱っている領域がちょっと特殊だからだよね。だからウチのヨメさんなんかは、弁理士?使えねー、っていう印象を持っている。生活する上で関係がないと。でもそれは一般庶民の話で、実は企業のサラリーマン、それも管理職となると話は別で、知財の分野は色々な形で関わりが出来てくるものですな。

ここでは、サラリーマンやってて遭遇した、知財に関するちょっとしたネタを書いてみようと思う。(んで、人気があったら【知財トンデモ話】としてシリーズ化しようかな。ネタは結構いろいろあるぞ。)弁理士の勉強してなかったら別に気にもならずにスルーしていたのだろうと思うが、弁理士受験生としての知識に照らして、「?」ってことは結構あるのだ。で、それがワシの知識の未熟によるものか、実務を知らないことによるものかがよく分からない。

ある会社の話。商標登録出願をして、登録査定を受けたわけ。で、営業部隊がさあ使おうとしたら会社の知的財産部からストップが掛かった。登録異議申立期間の2ヶ月が過ぎるまでは使うな、という。はあ?登録査定を受けてるわけだから法的には使用には全く問題ないっしょ?なんでダメなの?
異議申立を受ける可能性がある?受けて立ったらエエやないか。そのための知的財産部でしょ?
それに使用って言っても別に全国紙に広告打つとかじゃなくて、顧客1社を相手にしてのプレゼンで使う配布物20部に載せるだけなんすけど。これが問題になると本気で言うてんのかコラ!

口調が荒れてしまったことをお詫びします(笑)。いやあの、ある会社の話、ですからね。

どうなんでしょうか、これって実務上は結構あることなの?ワシの感覚ではこれは「トンデモ話」に属する類の話なんだが。

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