150 ノンフィクション

2011年12月30日 (金)

【書評】これが見納め―― 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景 著者:ダグラス・アダムス、マーク・カーワディン

これが見納め読了◎。副題は「絶滅危惧の生きものたち、最後の光景」。イギリスのSF作家ダグラス・アダムスが、地球上の絶滅危惧の生きものたちに出会う旅に出た、その旅行記。彼らが棲むのは辺鄙な辺鄙なところ。(なぜかと言うに、人間の近くに棲んでいた連中は既に絶滅してしまったから。)飛行機を乗り継ぎ、若しくは無人島にわたり、或いはサバンナを歩いて、それともジャングルの中で野宿して。ひとめその姿を見るために、ただそのために。

相棒は動物学者のマーク・カーワディン。デコボココンビ二人の現地人との抱腹絶倒のやりとりあり、文明と進化についてのピリッとした考察あり、そして「彼ら」に対する深い愛情に満ちた描写あり。面白くほろ苦くそして魂を揺さぶられる一冊。是非是非一読をお薦めします。

イギリス人らしい、皮肉で内向的でユーモアに富んだ文章がとても良い。扱っているテーマは実はシリアスで重たい、んだけど、敢えてそれを感じさせない文章だよね。文章の波長が相性ピッタンコだなあ。

そうなのよ。ダグラス・アダムス、読んでなかった。SF者としてはこれはきっと大ポカ。ナンセンス・フェチとしても。とゆーわけで銀河ヒッチハイク・ガイドをアマゾンで注文(いつ読むんだいったい?)。ついでにAmazon.comでは原書をダウンロード(だからいつ読むんだよ?)。

えーと、せっせと四法対照に書き込みながら、息抜きに読むくらいは許されるのではないかと・・・。なんだかんだでもう2011年も終わり。短答まであと半年弱。早えなー。

なんだか纏まりがなくってすんません。朝から短答漬けで脳みそが働かん(ほんとにか?)。えーと、それではみなさま、良いお年をお迎え下さい〜。

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2011年4月 9日 (土)

【書評】夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 著者:村上春樹

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです読了○。副題は「村上春樹インタビュー集1997-2009」。村上春樹の初のインタビュー集。時期的には「アンダーグラウンド」刊行直後から「1Q84」のBOOK1,2を書き終えたあたりにあたる。

結構長めのインタビュー(”るつぼのような小説を書きたい(『1Q84』前夜)”約80頁)から、あっけないほど短いインタビュー(”世界でいちばん気に入った三つの都市”約10頁)まで、長短様々なインタビュー18本を掲載。1年に1本半弱のペースってことですね。

このヒトの書いたものを読むと、その落ち着いた”語り”に、いつもとても安心させられるのを感じるんですわ。着実に、はっきりと順序立てて、必要なことを、語る。まずそのトーンにやられてしまう。安心して読める。後はただ物語を追っていけばいいわけで。

このインタビューのトーンも、基本的には一緒。落ち着いていて、奇を衒わず、淡々として、ちょっとユーモラス。楽しく、興味深く読んだ。

人生と仕事との関わり、という意味では、このヒトの生き方はひとつの理想のように思えるんだなー。自分が好きで得手なことを、自分でコツコツと磨いて、それが社会的に受け入れられ、ゴハンが食べられる、という。これが自己実現ってヤツのわかりやすい形だよね。

それから、この本を読むと、”物語”を書いてみたくなりますね。これ、オレだけかと思ったら、ウチのヨメさんも同じコトを言ってたんで、結構一般的な感想なんではないかと思うな。・・・それですぐ書けてしまうほど、甘いものでもないけどね。でもまあ、その”作業”というか”過程”が苦しくも楽しいものであるという”感じ”はなんとなくわかる気がする。ので、ちょっといろいろ、書いてみたりしてます。もちろん発表なんてしませんけどね。

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2011年3月 3日 (木)

【書評】カラー版 小惑星探査機はやぶさ ―「玉手箱」は開かれた (中公新書)  著者:川口淳一郎

小惑星探査機はやぶさ読了◎。副題は”「玉手箱」は開かれた”。2010年11月16日、小惑星探査機「はやぶさ」がイトカワから地球に持ち帰ったサンプルがイトカワのものだと発表された。人類の作ったものが地球の引力圏外まで行って着陸し、再び戻ってきたのは、有史以来この「はやぶさ」が初めてである。日本の科学技術の粋を集めた「はやぶさ」誕生の経緯、打ち上げの模様、そして見舞う様々なトラブルを如何にして乗り越え、帰還を果たしたのか。プロジェクトを率いた本人が、熱く語る。

基本的に、科学者が一般読者向けに、今回のミッションの一部始終を分かりやすく書いている本、なんです。あおりなしやらせなし演出なし。あるのは事実の記録と明快な解説。にも関わらず、滲み出る熱い想い、とでも申しましょうか。出張帰りの新幹線の中で読み始め、手に汗握り、胸を熱くしながら一気読み。

ひとつのプロジェクトの裏には、これだけの歴史があり、創意工夫があり、想いがある。努力があり、意思があり、成長がある。これ、途中で止めらんなかったよ。どーしても。ええ本です。一読をお奨めします。

この時期に勉強しなくてどうする?いやそれはその通りなんですが(汗)。いやあの、読み終わった後はちゃんと勉強してましたって。ホントに。いやこの、技術に関わる人はコレはイロイロな意味で必読だと、ってオレ誰に言い訳してんだ?(笑))

カラーの図版も豊富で、ヴィジュアルにも分かりやすく、これで960円は御買い得。そーだウチの息子たちにも読ませよう。どっちも理系だし。理系の醍醐味ってゆーか、技術の持つ力の凄さってゆーか。感じて欲しいなあ。

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2011年2月20日 (日)

【書評】特別な場所 パワースポット巡礼1993-2010 著者:本間日呂志

特別な場所読了○。サブタイトルは”パワースポット巡礼1993-2010”。特別な場所は、人間が立ち入る前から特別な場所だったに違いないと著者は言う。地球から放たれるエネルギーは人間がそこに建造物を置こうとも変わらない、とも。特別な場所=パワースポットを訪ね、地球の放つエネルギーを感じ、その特別な場所の美しさを伝える写真集。

選ばれている土地は、メキシコ(テオティワカン)、エジプト(ギザ、クリスタルマウンテン、ウエスタンデザート)、オーストラリア(エアーズロック、マウントオルガ、ノーザンテリトリー)、ハワイ島(キラウエア、コナコースト、マウナケア)、ニューカレドニア、屋久島(二千年杉)、アメリカ(モニュメントバレー、マリブ、アリゾナ、セドナ)、長野(戸隠神社奥社、分杭峠)、沖縄(斎場御嶽、久米島)、徳島(龍頭の滝)、山形(羽黒山、湯殿山、立石寺)、熊本(阿蘇)、宮崎(高千穂)、山梨(富士山)、島根(雲南市)、エチオピア、兵庫(淡路島)、京都(鞍馬寺、貴船神社)、奈良(唐招提寺、喜光寺)、鹿児島(霧島神宮奥宮)、イギリス(グラストンベリー、ストーンヘンジ)、茨城(筑波山)、北海道(摩周湖、大雪山)、東京(皇居、高尾山)、マルタ(ゴゾ島)、神奈川(大磯)、岐阜(養老神社)、スリランカ(ミンネリア国立公園)、和歌山(熊野那智大社)。

出不精なワタシですが、金と暇があったら、こういうトコを旅行して廻るってのは、ちょっとやってみたいことのひとつ。パワースポットってーと、ちょっとオカルトが入るので”怪しい”ものになりかねないが(そもそもパワースポットは存在するのか?パワースポットにはパワーがあるのか?)、そうではなくて、所謂観光地でなく、ちょっと辺鄙なトコにある聖地みたいなトコを旅するってのは、なんだか憧れるんですわ。

定年で暇になったらやってみるか?ヨメさんは絶対ついて来ないとは思うけど。

写真について言えば、被写界深度を思いっきり浅くして、風景をミニチュア写真風に見せているものが多いのが特徴でしょうか。これ、当然わざとなんだろうけど、最初見たときはかなり違和感があったよ。なぜミニチュア写真風にしなければならなかったのか、ちょっと訊いてみたい気がする。あ、パワースポットへの疑問、追加。パワースポットにパワーがあったとして、パワースポットの写真にはパワーはあるのか?どーでしょーねえ?

全体として論旨不明な書評になってしまったことをお詫びします。ごめん。

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2011年2月13日 (日)

【書評】ヘンテコピープルUSA 著者:ルイ・セロー

ヘンテコピープルUSA読了○。副題は「彼らが信じる奇妙な世界」。著者のルイ・セローはイギリス人で、英国BBC放送のTVドキュメンタリの、製作者にしてレポーターにしてジャーナリスト。アメリカのちょっとヘンな人たちをレポートした番組で人気を博した。宇宙人を殺したと主張する男、白人至上主義のコミュニティの主催者、アメリカのポルノ業界に憧れ就職した若者、カルト集団ヘブンズゲイトの生き残り、などなど。彼らは、いま、どうしているのか?10年に及ぶ番組制作の中で、特に印象深かった人々に、もう一度会いにいく、という企画を思いついた著者は、単身、アメリカに渡り、おんぼろ中古車を運転してアメリカ中を走り回る・・・。

登場するのは、こんな人たち。

宇宙人を殺した男、ソア・テンプラー
爛熟のポルノ業界の行き着く先は?JJ・マイケルズ
起死回生なるか?ティナ・ターナーの元夫の最晩年、アイク・ターナー
究極の愛国主義を目指して、マイク・ケイン
誠意と偽りの狭間で-売春施設の日常、ヘイリー
気のいい白人至上主義者、ジェリー・グルードル
それは虚勢か現実か-ハードコア・ラッパーのライフスタイル、メロウ・T
カルト集団ヘブンズゲイトの生き残り、オスコディ
億万長者になる方法、教えます、マーシャル・シルバー
母はナチスの信奉者-白人優位を歌う美少女デュオ、エイプリル、ラムとリンクス

このトンデモぶりを笑う、ってのが元々のTVドキュメンタリのコンセプトだったんだと思う。そこにはヨーロッパ人のアメリカ人に対する優越感、みたいな視線も感じられて興味深い。確かに、アメリカ人、ヘンテコぶりもダイナミックで馬鹿っぽくって、大味なんですわ。日本だとこうはいかないよね。もちろんヨーロッパでも。

明らかに反社会的な信条とかトンデモ思想を、俺がソレを信じているからという理由だけで堂々と主張してしまう、臆面のなさというか図太さというか無神経さというかノー天気さ。これ、アメリカって国、ならではの味なんだなあって思ったよ。原野が広がっていて、勝手にそこに来て暮らし始めたんだ、っていうイメージ。社会とか政府とかと個人との距離感ってものが、日本とかとは全然違うんだな、っていう。 国とか政府とかは関係ない。俺が暮らしてんだぜ、って感じ。

でもね、ヘンテコを通じて知るアメリカって感じで読み進むうちに、ちょーっと違うトーンに気付く。そう。この本、表紙とかの馬鹿っぽいつくりとは裏腹に、けっこう真面目で内省的な本だったんですよ。考えてみれば、TVドキュメンタリ自体はヘンテコぶりを笑うのが目的だったとしても、その人たちにわざわざもう一度会いに行くってのは、ただの野次馬には思いつかない企画だったってこと。

内省的な感じの真面目で気弱なイギリス人の若者が、アメリカのヘンテコな人々の懐に飛び込み、仲良くなって、こんなコト訊いたらやっぱマズイかな、と思いつつ、でも諦めずに正面からちゃんと訊いていく。はぐらかされたり嫌われたりすることもあるけどね。完成したレポートというよりは、取材に関する悩みや苛立ち、迷いが一杯の道中記って感じなんですわ。どーしてこの人たちが気になってしまったのか、自分で自分を不思議がりながら、モーテルを泊まり歩くハードな取材の旅は続く。思い通りには全然、ならない。

ってわけで、読後に残るのは、ちょっと切ない、感じです。ヘンテコな人々の、ヘンテコである部分以外の、人間性に気付くから?どうしても、分かり合えない部分に向き合うから?自分の中に彼らと同じモノを見るから?

見かけによらない本、でした。村上春樹さんが丁寧な解説を書いてるしね。 一読をお奨めします。

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2011年1月30日 (日)

【書評】顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか 著者:トニー・シェイ

ザッポス関連書籍一覧。いっぱい出てますね。これの上から二番目がこの書評で取り上げている本ですよ。なんでいつものリンクの形式でないのかというと、この本はアマゾンのアフィリエイトのリンクの対象外になっていて、リンクが張れないのです。こんなのはじめてだよ。

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説読了○。2009年7月、米アマゾン・ドット・コムは靴のネット販売で急成長するザッポス・ドット・コムを買収することで合意と発表。買収額は8億5千万ドル。ザッポスは1990年創業。若きカリスマ経営者トニー・シェイの自伝と、自らが語る、顧客を感動させるサービスはいかにして生まれたか、について。

アップルのiTunesストアで、電子書籍(つーかapp)として売っていた(つーか期間限定で無料)のでダウンロードして読んでみました。いま見たら定価は600円なのね(ダウンロードはこちら)。リアルな紙の本でも売ってる。冒頭のリストの上から二番目、著者がZapposの箱を持って笑ってる表紙のヤツ。

前半がトニー・シェイの自伝。中国系アメリカ人で、教育熱心な家庭に育ち、ハーバードを出てオラクルに就職するも、退屈な仕事がイヤになって友人と一緒に会社を辞め、ネット起業。なんだけど、子供の頃のミミズ牧場のエピソードとか、大学でのピザ屋の営業とか、いい感じにユーモラスで、いい感じに起業家的な挿話がいろいろ。ハーバード出、ってゆーエリート臭はない。読み物としてソコソコ面白いです。オラクル辞めたあと、ダラダラとなんとなくウツっぽくなるあたり、リアルでいい感じ。んで、なんとなく、で始めたインターネット広告ネットワーク会社LinkExchangeを、わずか数年でマイクロソフトに2億6500万ドルで売却、ってのも凄いなー。んで、ふつう、そこで一回話は終わりなんだよね。

ところが、ここから話は別の展開を見せる。中盤は、お金を持ってしまった人間が、何のために働くのか、について真面目に考える、話なんですね。ここがなかなか面白い。オレはまだ(まだ?)お金をもってしまってはいませんが、とても参考になります(何の?)。

んで、ザッポスに関わり、個人資産をつぎ込み殆ど使い果たし、倒産の危機を何度も乗り越え、ついに立て直す。アマゾンに買収されたのも、負けではなく、理想の結婚なんですな。この部分、ある意味、なんのために働くのか、という思考実験と実体験が一致していく過程として、これもとても面白いドキュメンタリです。

そして、終盤、ザッポスの体験を通して進化していった、仕事に対する考察、人生に対する考察、幸せに対する考察、が語られる。ここがまたなかなか面白い。そう、こういう風にシンプルに仕事ができたらいいよなー。羨ましいぜ。って他人事として読んでちゃいかんな。

ってわけで、面白い読み物であり、仕事と人生に対する指南書であり、企業経営の新しい軸を提案するビジネス書、と、一粒で三度おいしい本でした。うん。意外とお奨めですよ。

電子書籍をiPhoneで一冊まるまる読んだのはこれがはじめてかも知れない。読む分には、別に不自由は感じなかったな。ちょっとした時間に読めるし。あ、でも書評を書くのにパラパラと中を確認するのには不便だ。なるほどね。

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2011年1月16日 (日)

【書評】日本語ほど面白いものはない―邑智小学校六年一組特別授業 著者:柳瀬 尚紀

日本語ほど面白いものはない読了○。副題は「邑智小学校六年一組特別授業」。著者は語呂合わせと言葉遊びで有名な翻訳家。翻訳不可能と言われたフェネガンズ・ウェイクの翻訳で知られる。その他ルイス・キャロルやロアルド・ダール等の翻訳を多く手がけてきた。その著者が、ふとした縁から島根県の山あいの僻地、美郷町にある邑智(おおち)小学校で、特別授業をすることになった。生徒は六年生全員の十六人。2009年10月28日に行われた特別授業の模様を再現する・・・。

中身はこんな感じ。例によって・・・以下はワシの補足。
1 子どもの本屋さんに誘われて・・・著者の経歴、特別授業のきっかけについて
2 みんな日本語という世界の住人-第一回特別授業
3 六年一組十六名からの手紙
4 邑智小学校は開校七年目・・・過疎という現実と、教育環境の素晴らしさについて
5 最大の奇蹟は言語である-第二回特別授業
6 子どもたちの創作
7 空想授業:邑智中学校一年生に向けて

この本を読むまでは柳瀬尚紀さんという方を特に意識したことはなかったのだが、調べたらワシの場合、ルイス・キャロルで結構お世話になってましたな。「不思議の国の論理学」とか「もつれっ話」とか、「かつらをかぶった雀蜂」とか。そーか、あの人か!って感じ。なんつってもルイス・キャロル、地口と駄洒落はてんこ盛りなんで、翻訳は並大抵の苦労じゃないだろな、ってのは、昔、読みながら思った覚えがあるぞ。

言葉遊びの技量は授業でも如何なく発揮されていて、邑智小学校を謳いこんだ「いろは歌」(同じ音は一度しか使えない)を作ったり、「おおちしようがつこう」を文頭と文末に折句して10X10のマスを全て埋めたりと、言葉遊びの天才の面目躍如。さすがだ。

冒頭の著者の略歴が面白い。翻訳にのめり込んで大学を辞めちゃったり、「好きなことしかしない」「嫌なことはやらない」と宣言したり、相当に偏屈で頑固な変人だな、と。うーむ、羨ましいぜ。それをやっても喰えるってのは素晴らしい。オレもそーゆーのに憧れるけど、とてもそれを通せないもんねぇ。

そんな、小学生の教育とは無縁に生きてきた著者が、僻地で小学生を相手の特別授業、ってのもミスマッチで面白い。縁というか。めぐり合わせというか。結果的に過疎とか教育について、いろいろと考えさせられる本になっています。

んーでも、本音を言うとな、オレの趣味から言うと、ちょっとツメが甘いというか。いやもっとガチで日本語の面白さについて、やってくれる本かと期待してたものでなあ。ちょっと方向性が違ったか。わがまま言ってすんません。

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2010年12月12日 (日)

【書評】NHKスペシャル 老化に挑む よみがえる脳、延びる寿命 著者:NHK「老化に挑む」プロジェクト

NHKスペシャル 老化に挑む よみがえる脳、延びる寿命読了○。2004年9月に放送された番組、NHKスペシャル「老化に挑む」、の単行本化。

30年前、日本で100歳を超える老人(センテネリアンというそうだ、初めて知ったぜ)は、僅か500人余りだった。それが今では2万人を超えているという。

老化とそれに伴う死は、誰にでも訪れる。しかし、近年の研究により、老化と戦う術があることがわかってきた。実際に元気に活動している超高齢者の日常を密着取材し、長寿のヒントを探る。そしてそのヒントに最新科学の光を当て、理論的な裏づけを試みる。

オレまだ40代だけど、最近身内(みうち)に不幸があったりして、「老化」とか「死」を強く意識したのよ。んで、老化についてちょっと調べてみた次第。

従来、脳の神経細胞は約10万個/dayのスピードで死んでいき、新しく生まれることはない、と考えられていたが、これは誤りで、神経細胞が新生することが発見された。本書のタイトル「よみがえる脳」とは、この発見を指す。

また、老化とは活性酸素によって細胞が傷つき、臓器の能力が落ちていく一連のプロセス。その活性酸素から身を守る抗酸化能力は、運動によって高まることが証明された。本書のタイトル「延びる寿命」とは、主にこの発見を指す。

登場する超高齢者は、92歳から103歳まで。現役の医師だったりスキーヤーだったり日舞の師範だったりと、皆さんお元気。すげえな。皆さんに共通するのは、趣味や生きがいを持って、社会と関わっている、という点。このモチベーションが、健康長寿の”前提”であり、”鍵”であり、”支え”である、と、理解しました。うん。

良くも悪くもTV番組の単行本化ということで、薄味っちゃー薄味、スカスカっちゃースカスカ。でもまあ、誰にでも易しく分かりやすく前向きな本になっています。確かに、科学的な発見だけを報告するのと、実際に元気な老人をドキュメンタリとして追うのとでは、説得力が違うもんね。

さて、で、オレは何を生きがいにするのかな?って自分で自分に聞いてみると。このブログですか?いやー。どーよ?うーむ。

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2010年12月 5日 (日)

【書評】スティーブ・ジョブズの再臨―世界を求めた男の失脚、挫折、そして復活 著者:アラン・デウッチマン

スティーブ・ジョブズの再臨読了◎。副題は「世界を求めた男の失脚、挫折、そして復活」。ジョブズがアップルを追われ、ネクストが失敗に終わり、しかしピクサーと共に蘇って、そしてアップルに返り咲くまで。ジョブズ周辺の人物への徹底した取材によって、生身のスティーブ・ジョブズ像を描き出す。

よくあるジョブズ礼賛本、ではない。アップル神話本ではない。寧ろ暴露本に近い。神話としてのジョブズでなく、生身のジョブズ。んで、こーゆー切り口だと、「カリスマでなく悩み多き人間」、ってのがひとつのパターンですが、それとも違う。ジョブズの、魅力的で人を惹きつける部分をグッド・スティーブ、傲慢で人を傷つける部分をバッド・スティーブと呼び、この二つの相反する性格が並存する不思議な人物としてジョブズを描く。これは人を操作するための意識的な方法なのか?それとも?

今までの礼賛本では曖昧にしか、或いは、カリスマ性に華を添えるためのスパイスとしてしか、描かれていなかった、その手の「バッド・スティーブ」の振舞いを、遠慮解釈なく書く。しかし描くそこに悪意はない。一方で「グッド・スティーブ」の行いも描かれているが、これもまたそのこと自体を評価する書き方ではない。この本の中で”評価”されているのは、その”結果”だ。結果的に何が起こったか、もたらされたか、実現したか。ジョブズが、何に成功し、何に失敗したか。その原因はなんだったのか。それを見据える視点にブレはない。

ってわけで、まず、伝記として、アップル裏話本として、なかなか迫力のある興味深い本でした。特にアップルのネクスト買収によるジョブズ復活の舞台裏とかは、今までマック雑誌経由で知らされていた情報とは、大分異なる印象を受けるな。うん。だってこの本にはネクストのソフトウエアの話は出てこないんだよ?next-stepもObjective-Cも全然。それはそれでちょっと偏っているなあ、って思うけどね。

それから、個人的には、一種のビジネス本として、読んだような気がする。即ち組織をコントロールするための方法論、組織を破滅させるための方法論、としてね。で、そこからイロイロと発想が飛んで、アマゾンでマキャベリの君主論とアウレリウスの自省録を注文。後日感想をアップすることになると思います。

ジョブズはスゴイけど、一緒に仕事するには、どーよ?ってのは昔から言われてることではある。てゆーか、オレは一緒に仕事すんのは絶対ヤ だ、と思うわ。この本読んで尚更その感を強くした。でも、面白かったのと、ちょっとした発想のヒントを貰ったってことで、評価としては◎。そう、結果よ結果(笑)。

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2010年12月 1日 (水)

【書評】 タネも仕掛けもございません 昭和の奇術師たち (角川選書) 著者:藤山新太郎

タネも仕掛けもございません読了◎。副題は「昭和の奇術師たち」。自身も奇術師である著者による、昭和という時代を代表する、奇術師たちの伝記。引田天功、アダチ龍光、伊藤一葉、島田晴夫ら、一世を風靡した、懐かしの奇術師たちの人生を丁寧に描き出す。

これ、ええ本ですよ。著者が、江戸時代から続く手妻を継承する、自身も奇術師であり芸人である人なので、視点がとても安定しています。同じ世界に生きてきた人でないと分からない、それぞれの奇術師の”芸”の本質を掴んで、核心を突くコメントがサラリと述べられる。そしてなにより、その奇術師と奇術に対する愛に溢れています。そうだよなあ。好きでなきゃやれないよね、この仕事はね。

ある一面、奇術師のヒトとナリを辿ることで、奇術という「芸」のポイントが分かるようになる本だと思います。そしてまた同時に、奇術という一種の「道(どう)」を通して、人生について考えさせる好著になっています。一読をお奨めします。

ワタシ自身は、奇術には特に思い入れないんで、この本はまあ出会い頭(がしら)みたいなもんです。いや面白い世界ですねー。秘密を共有している者同士の連帯の強さというか。マイナーで特殊な業界に生きる人同士の仲間意識というか。独特のノリだよなあ。

著者の藤山新太郎という方については、不勉強ながらこの本で初めて知り、早速ネットで検索して、動画を拝見(しかし便利な世の中になったものですな)。なるほどねー。

・・・オレやっぱ奇術には向かんな。観客としてね。奇術だろ?って思っちゃうもの。ごめんな。

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