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2012年8月 1日 (水)

議論するって、なんだかわくわく、しますね〜

ってわけで、改善多項制、貴重なご意見ご指摘を戴き、個人的にはすっげえ盛り上がって来ています。うーん。やっぱり議論って素敵だ。

コメント欄の議論では新しい訪問者の人が気づきにくいとおもわれるので、以下、コメント欄への自分の最新のカキコをコピペしておきますね。(コメント欄へのリンクはこちら

さてこんな感じ。

糸の特許権(特許10001号)と、織物の特許権(特許10002号)の二つを特許権者甲が持っている場合を考えます。甲は特許10001号に係る 糸を生産し、乙に譲渡しました。乙は譲渡された糸を用いて特許10002号に係る織物を業として実施しました。この場合、特許10001号は特許製品たる 糸の譲渡により消尽しています(消尽論)。しかし特許10002号に基づく権利行使が出来ます(68条、100条等)。何故ならこの二つの特許権は別々の 権利だからです。そこでは二重利得は問題になりません。消尽も問題になりません。別の権利なのですから。

しかし、そうではなく、例えば「請求項1が糸、請求項2が織物である」特許10003号の場合は、これは権利はひとつですから、甲が乙に糸を譲渡す ることで権利は消尽し、乙の業としての織物の実施に対して権利行使できません。権利行使するならばそれは二重利得であり、問題となります。一つの権利なの ですから。

それならば世の発明者は別々の特許権として特許を取得するに決まっている?いえ、そんなことはない。

まず第一に別々の特許権として取れない、場合があります。元々の出題を見ていただきたいのですが、請求項1が「・・・を特徴とする糸」、請求項2が 「請求項1の糸を使った織物」(所謂従属項ですね)なので、請求項2はそもそもこれだけで特許は取れないのです。これをはっきりさせるために、但書「但し 請求項2に於ける発明特定事項は、請求項1のみであり、織物自体に別の発明特定事項が存在するのではないとする。」を付けたのでした。

また、上記但書がない場合、即ち、織物自体に別の発明特定事項が存在する場合、ということもあり得ます。この場合、特許査定謄本送達(拒絶査定不服 審判後の特許査定謄本を除く)から30日以内であれば出願の分割が出来ますから、分割して別出願にし、その別出願が特許査定されていれば、これは二つの特 許権となりますから、最初に書いた10001号と10002号の二つの特許権がある場合、と同じことになります。即ち夫々別の権利ですからどちらも権利行 使できる、ということです。
(それとも織物に別の発明特定事項があった場合、発明の単一性(37条)を満たさないとして実際には拒絶査定が来る(49条4号)?その場合であっても分割して37条違反を回避しつつ別途権利化という結論には違いはない。)

以上をまとめると、
1.別々の特許権として取れるなら別々の特許権として取る、そうすれば、夫々の特許権を行使できる。
2.別々の特許権として取れないならそれはひとつの特許権として保護されるべきものである。
ということになります。
そして、ひとつの特許権ならば、その特許権に係る特許製品の譲渡により消尽する。一方ふたつの特許権ならば、同じく消尽しますが、夫々の特許権に係る特許 製品の譲渡ごとに別々に消尽する。これはごくまっとうな結論であって、裁判所が好んで採用するところではないかと思います。
以上から「消尽論の効果は特許権ごとに生じ、請求項ごとに生じるものではないと解する」の解釈は適切であると思います。

いやー何がいいって、ブログ書くことがそのままお勉強になるじゃないですか。一石二鳥とはこのこと。わお!

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