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2011年11月20日 (日)

【書評】ハーモニー 著者:伊藤計劃

ハーモニー読了◎。21世紀前半、北米の内乱に端を発した戦争は世界中に伝播し、使用された兵器の影響による新しい疫病が世界を覆った。<大災禍(ザ・メイルストロム)>と呼ばれるこの時代を経て、21世紀後半の地球上では権力としての国家は消滅し、代わって生府(ヴァイガメント)による統治が行われている。人を、公共のための貴重なリソースとして大切にする、共感と思いやりに満ちた社会。人々はナノマシンWatchMeを体内にインストールして医療サーバの管理下にあり、病気や痛みとは無縁だ。

おとなになること=WatchMeを体内にインストールすること=医療サーバの管理下に入ること。そして、おとなになること=おもいやりに満ちた人間になること=お互いがお互いを慈しみ支え合うこと。

そんな、清潔で調和のとれた社会に違和感を抱き、女子高生御冷ミァハ、零下堂キアン、霧慧トァンの3人は拒食による自殺を企てる・・・。

ああ。読み終わってしまった。いい。いいなあ。勿体無いので、惜しみ惜しみ読みました。伊藤計劃さんの本、2冊目ってことで。「虐殺器官」と地続きの、「虐殺器官」後の世界。ざっと数十年後の。それで、いきなり「女子高生」ですぜ?凄えな。

深く考えさせられる本でもありました、ワシにとっては。実はいろいろ言いたいことはあるのだが、ネタバレになるからなあ。でもこのブログに書くのはちょっと違う気がするな。ってわけで、考察については又の機会に。

とにかくSFとして、小説として、とても面白く、せつなく、且つ考えさせられる本です。日本SFの底ヂカラだなあ。日本でなければ書けない。SFでなければ書けない。伊藤計劃さんでなければ書けなかった。ああ。ぜひぜひ一読をお薦めします。

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2011年11月 6日 (日)

【疑問?】不正競争防止法の2条1項13号の品質誤認て?

たまには勉強ネタを(笑)。
不正競争防止法を勉強してて湧いてきた疑問です。まあ試験とはあんまり関係ないな、どっちかというと実務的なことなんですが。
分かりやすくするために、商標「ぶどう」指定商品「パン」で商標登録出願し、拒絶された、としましょう。4条1項16号の説明で必ず出てくる例ですな。

さて、商標法4条1項16号違反として拒絶された商標を、登録なきまま使用することは、商標法上は問題ない。(問題ないよね?)
しかし(問題になるとすれば)不競法2条1項13号で問題となる。(問題となるよね?)
ところが不競法の実効を担う部分である差止請求権(不競法3条)等は、主体的要件として「営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれのある者」と規定する。
では、商標「ぶどう」を指定商品「パン」で使用する行為により、営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれのある者とは、誰か。

なんで、これが疑問になるのかというと、4条1項16号って公益保護のための規定、でしょ?営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれのある者、っていう主体的要件と相性が悪い気がするんだよな。だから、商標「ぶどう」を指定商品「パン」で使用する行為により、営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれのある者、なんて居るの?って思っちゃう、っていう、そういうこと。

これが原産地表示とか原料とかならまだ分かる気がするんだが。そんときの根拠というか考え方はパリ10条の「日本産のチーズをオランダ産と偽ってアメリカで販売」した場合の「オランダのチーズ業者」と「アメリカのチーズ業者」ってことで、するっと頭に入る。

でもこれを「ぶどう」「パン」に応用していいものか。ちょっと迷うな。ぶどう屋さんとパン屋さんは、商標「ぶどう」を付した商品「パン」が販売されたことにより、営業上の利益を侵害されたのか?(又は侵害されるおそれがあるのか?)ちょっと違う気がしてしょうがないんだが。

これ結局、商標法4条1項16号でいう品質誤認と不競法2条1項13号でいう品質誤認の、指してる内容が違うってことだよな。そうそう4条1項16号の品質誤認のトコでクドいほど注意されたけど、4条1項16号でいう品質は「特性」であって「優劣」を含まない、もんね。

或いは、商標法が直接的に公益保護のための規定も持つのに対し、不競法はあくまで私益調整のための規定(いや解説本読むと公益っぽいことも書いているがそれはあくまで私益調整の結果でね)、その差が出た、っていうことかね。そういえば商標法は「あわせて需要者の利益を保護することを目的とする(1条)」って書くけど、不競法にはこれに該当する文言はないもんな。

って、ことは、だ。商標法4条1項16号に該当するとして拒絶された商標で、且つ、その品質の指す内容が産地・原材料・品質等でなく、あくまで「特性」である場合、実務上は問題にはならないんではないか、って気がしてしょうがない。つまり誰が訴えんねん?って話。(逆に言うと、試験対策としては、ぶどう屋さんとパン屋さんで納得しておこうと思ってる。間違ってる?)

法学書院の「不正競争防止法」(著者:青山紘一)の該当箇所の事例を見てみても、ぴったり来るような例は載ってないよなー。

どなたか、ご存知の方、或いはこの辺のモヤモヤについてあるあるあるって方、いらっしゃいましたら、ご教授又はご一報願えれば幸いですぅ。

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2011年11月 3日 (木)

【知財トンデモ話】商標法上の登録異議の申立て

弁理士って、法律の専門家なわけだけど、一般庶民の生活に普通に関わってくる、ってことはあんまりないよね?つまり知り合いに弁護士とか司法書士とかがいると、イベント発生(相続とか土地の売買とか)の際に重宝するけど、そういう、身内に専門家がいて良かった、っていう扱いを受けることは。まあ一般庶民が「こんな発明したんだけどどうかな?」的な事態を迎えることは極めて珍しいだろうからなあ。いやそれはそれでイノベーティブな素晴らしい社会という気はするが(笑)。

それは知的財産を扱う専門家ってことで、扱っている領域がちょっと特殊だからだよね。だからウチのヨメさんなんかは、弁理士?使えねー、っていう印象を持っている。生活する上で関係がないと。でもそれは一般庶民の話で、実は企業のサラリーマン、それも管理職となると話は別で、知財の分野は色々な形で関わりが出来てくるものですな。

ここでは、サラリーマンやってて遭遇した、知財に関するちょっとしたネタを書いてみようと思う。(んで、人気があったら【知財トンデモ話】としてシリーズ化しようかな。ネタは結構いろいろあるぞ。)弁理士の勉強してなかったら別に気にもならずにスルーしていたのだろうと思うが、弁理士受験生としての知識に照らして、「?」ってことは結構あるのだ。で、それがワシの知識の未熟によるものか、実務を知らないことによるものかがよく分からない。

ある会社の話。商標登録出願をして、登録査定を受けたわけ。で、営業部隊がさあ使おうとしたら会社の知的財産部からストップが掛かった。登録異議申立期間の2ヶ月が過ぎるまでは使うな、という。はあ?登録査定を受けてるわけだから法的には使用には全く問題ないっしょ?なんでダメなの?
異議申立を受ける可能性がある?受けて立ったらエエやないか。そのための知的財産部でしょ?
それに使用って言っても別に全国紙に広告打つとかじゃなくて、顧客1社を相手にしてのプレゼンで使う配布物20部に載せるだけなんすけど。これが問題になると本気で言うてんのかコラ!

口調が荒れてしまったことをお詫びします(笑)。いやあの、ある会社の話、ですからね。

どうなんでしょうか、これって実務上は結構あることなの?ワシの感覚ではこれは「トンデモ話」に属する類の話なんだが。

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