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2011年10月12日 (水)

【書評】虐殺器官 著者:伊藤計劃

虐殺器官読了◎。舞台は911後の近未来。サラエボは核爆発により消滅し、インドとパキスタンの国境には、核のクレーターが点在する。先進諸国はテロ封鎖のため徹底した管理社会を構築しており、一方、第三世界では紛争が絶えない。その世界にあって、米情報軍特殊検索群i分遺隊は暗殺のエキスパート集団で、第三世界の非人道的な殺戮の原因である独裁者、原理主義者等を速やかに排除することを任務とする。所属のシェパード大尉は、近年第三世界で急増する虐殺の陰に、ジョン・ポールという名のアメリカ人の存在があることに気づく。ジョン・ポールとは何者なのか。その目的は。

なんだかうまく要約出来ない。こんな要約なんかじゃとてもその魅力を伝えることは出来はしない。悔しい。

少し前にTwitterで話題になっていたので、軽い気持ちで入手して、軽い気持ちで読み始めて、ところがそのあまりの面白さに本を措く能わず、(読むのが)勿体無い、と思いながらも一気読み、読み終えて暫し呆然。負けました。脱帽です。

この描写の細かさ、確かさ。圧倒的なリアリティだ。そして何気ないガジェットの描写もキッチリ伏線になってるし。ストーリーには幾重にも仕掛けが施されているし。それからなにより物語自身の持つ存在感。正しく思考実験をするならば、このようにならざるを得ない、というような。

この面白さ、なんと表現したらいいのだろう。でまた興味を抱いている領域がとても近いんですわ。ワシ自身と。進化心理学、言語学、アメリカの社会構造、等々。面白すぎて居ても立ってもいられない、みたいな感覚。これ久しぶりです。

それから、きっかけがね、アメリカで受賞、って話題だったことから、読後、思ったのはね、アメリカ人、これ読めるのかなってことだな。或いはアメリカ人は、これ読んでどんな感想を持つのかな、っていう。アメリカ人には、これは書けないな、っていう。二重三重に皮肉な結末だよね。これはね。

ぜひぜひ一読をお薦めします。

・・・今調べたらTwitterで話題になっていたのは、同じ作者の「ハーモニー」の方ですね。P.K.ディック記念賞の審査員特別賞受賞、ってことで。これも 手に入れて読まなければ。そして、作者はもう亡くなっているんですね。そのことにもショックを受けた。なんてことだ。この人の書いたものをもっともっと読みたいのに。

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