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2011年10月15日 (土)

【書評】あたらしい哲学入門―なぜ人間は八本足か? 著者:土屋 賢二

あたらしい哲学入門―なぜ人間は八本足か? 読了◎。帯の煽り文句は「才色兼備な女子大生を熱狂させた伝説の哲学入門講義がここに復活!」。おなじみ土屋教授の、御茶ノ水女子大での講義「哲学」を元にした哲学の入門書。哲学の問題は、いくら考えても解決できない、わけではない。実は明快な解決がある。哲学の問題を実際に解いてみせることで、哲学について丁寧に解説してゆく。

土屋教授の、ユーモアエッセイでない本を読むのは初めてかもしれない。真面目な哲学入門書も書くのか、と軽く驚く。しかも書いてあるネタはいつものユーモアエッセイと全くおんなじで、再び驚く。しかし真面目な哲学入門書である本書の方が、ユーモアエッセイよりも数倍面白い。どういうわけだ。三たび驚く。

いやー面白い面白い。勉強の息抜きに軽い気持ちで読み始めて、やめらんなくなって一気読み。(って最近コレばっかやな。抜きまくりやんけ!)やっぱ「溜まってる」ってことですかねえ。うんでも思うんだけど、一日一冊を目標に一生懸命読書してブログに書いて、ってやってた頃より、純粋に読書を読書として楽しめてる感じがする。お勉強があるんで読みたいけど読めない読みたいけど読めないああー駄目駄目駄目駄目読んじゃった、ってのが読書の快感を高めてくれている気が。これを称して読書M、略してドMと呼・・・ばないな。単に逃避してるんじゃないかって?いやちゃんとお勉強もやってますって。ホントホント。ま、それはそれとして。

オレ昔からナンセンスギャグが好きでなあ。ルイス・キャロルとか、そういう系譜のギャグ、それと、座禅の公案(←いやそれ並べるのはどーよ?)。右手と左手鳴ったのはどっちか、なんてェ奴。もう小学校の頃から、そういう類のものが気になって気になって。そういうのに接すると、理由もなくなんだかワクワクするんだよ。今も。このワクワク感は、とてもとても根が深いなー。たぶん。オレのDNAの一行目(ってどんなDNAだよ!)に刻まれている気がする。昔々オレの母親が「おまえはナンセンスギャグにフェティッシュがあるみたいね」と言ったとか言わなかったとか(すみません。虐殺器官ネタです)。

真面目な話、試験に受かって好きなだけ本が読めるようになったら、取り敢えずウィトゲンシュタインのはしごをよじ登って逆立ち位はしてみたいものだと思う。いや結局は放り投げるんですけれども(すみません。これも一種のネタです)。

それと、この本とは直接関係がないけど、同じナンセンスが、一方ではナンセンスギャグになり、一方では様々な思考のモトとなり、一方では思考を止めるためのモトとなった、その扱われ方が面白いと思うんですよ。モンティ・パイソンとアリストテレスと白隠禅師。そーかそーか、一緒かあ。これで一冊書けないかな。

やりたいことリスト、読みたい本リストが増えてくのはなかなか楽しいね。(逃避の典型的な例です。自覚。はい。気をつけましょう。( ̄へ ̄|||) ウーム)

で、これのどこが書評やねんて?(すみません。マジで面白いんです。一読をお薦めします。)

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2011年10月12日 (水)

【書評】虐殺器官 著者:伊藤計劃

虐殺器官読了◎。舞台は911後の近未来。サラエボは核爆発により消滅し、インドとパキスタンの国境には、核のクレーターが点在する。先進諸国はテロ封鎖のため徹底した管理社会を構築しており、一方、第三世界では紛争が絶えない。その世界にあって、米情報軍特殊検索群i分遺隊は暗殺のエキスパート集団で、第三世界の非人道的な殺戮の原因である独裁者、原理主義者等を速やかに排除することを任務とする。所属のシェパード大尉は、近年第三世界で急増する虐殺の陰に、ジョン・ポールという名のアメリカ人の存在があることに気づく。ジョン・ポールとは何者なのか。その目的は。

なんだかうまく要約出来ない。こんな要約なんかじゃとてもその魅力を伝えることは出来はしない。悔しい。

少し前にTwitterで話題になっていたので、軽い気持ちで入手して、軽い気持ちで読み始めて、ところがそのあまりの面白さに本を措く能わず、(読むのが)勿体無い、と思いながらも一気読み、読み終えて暫し呆然。負けました。脱帽です。

この描写の細かさ、確かさ。圧倒的なリアリティだ。そして何気ないガジェットの描写もキッチリ伏線になってるし。ストーリーには幾重にも仕掛けが施されているし。それからなにより物語自身の持つ存在感。正しく思考実験をするならば、このようにならざるを得ない、というような。

この面白さ、なんと表現したらいいのだろう。でまた興味を抱いている領域がとても近いんですわ。ワシ自身と。進化心理学、言語学、アメリカの社会構造、等々。面白すぎて居ても立ってもいられない、みたいな感覚。これ久しぶりです。

それから、きっかけがね、アメリカで受賞、って話題だったことから、読後、思ったのはね、アメリカ人、これ読めるのかなってことだな。或いはアメリカ人は、これ読んでどんな感想を持つのかな、っていう。アメリカ人には、これは書けないな、っていう。二重三重に皮肉な結末だよね。これはね。

ぜひぜひ一読をお薦めします。

・・・今調べたらTwitterで話題になっていたのは、同じ作者の「ハーモニー」の方ですね。P.K.ディック記念賞の審査員特別賞受賞、ってことで。これも 手に入れて読まなければ。そして、作者はもう亡くなっているんですね。そのことにもショックを受けた。なんてことだ。この人の書いたものをもっともっと読みたいのに。

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