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2011年1月30日 (日)

【書評】顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか 著者:トニー・シェイ

ザッポス関連書籍一覧。いっぱい出てますね。これの上から二番目がこの書評で取り上げている本ですよ。なんでいつものリンクの形式でないのかというと、この本はアマゾンのアフィリエイトのリンクの対象外になっていて、リンクが張れないのです。こんなのはじめてだよ。

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説読了○。2009年7月、米アマゾン・ドット・コムは靴のネット販売で急成長するザッポス・ドット・コムを買収することで合意と発表。買収額は8億5千万ドル。ザッポスは1990年創業。若きカリスマ経営者トニー・シェイの自伝と、自らが語る、顧客を感動させるサービスはいかにして生まれたか、について。

アップルのiTunesストアで、電子書籍(つーかapp)として売っていた(つーか期間限定で無料)のでダウンロードして読んでみました。いま見たら定価は600円なのね(ダウンロードはこちら)。リアルな紙の本でも売ってる。冒頭のリストの上から二番目、著者がZapposの箱を持って笑ってる表紙のヤツ。

前半がトニー・シェイの自伝。中国系アメリカ人で、教育熱心な家庭に育ち、ハーバードを出てオラクルに就職するも、退屈な仕事がイヤになって友人と一緒に会社を辞め、ネット起業。なんだけど、子供の頃のミミズ牧場のエピソードとか、大学でのピザ屋の営業とか、いい感じにユーモラスで、いい感じに起業家的な挿話がいろいろ。ハーバード出、ってゆーエリート臭はない。読み物としてソコソコ面白いです。オラクル辞めたあと、ダラダラとなんとなくウツっぽくなるあたり、リアルでいい感じ。んで、なんとなく、で始めたインターネット広告ネットワーク会社LinkExchangeを、わずか数年でマイクロソフトに2億6500万ドルで売却、ってのも凄いなー。んで、ふつう、そこで一回話は終わりなんだよね。

ところが、ここから話は別の展開を見せる。中盤は、お金を持ってしまった人間が、何のために働くのか、について真面目に考える、話なんですね。ここがなかなか面白い。オレはまだ(まだ?)お金をもってしまってはいませんが、とても参考になります(何の?)。

んで、ザッポスに関わり、個人資産をつぎ込み殆ど使い果たし、倒産の危機を何度も乗り越え、ついに立て直す。アマゾンに買収されたのも、負けではなく、理想の結婚なんですな。この部分、ある意味、なんのために働くのか、という思考実験と実体験が一致していく過程として、これもとても面白いドキュメンタリです。

そして、終盤、ザッポスの体験を通して進化していった、仕事に対する考察、人生に対する考察、幸せに対する考察、が語られる。ここがまたなかなか面白い。そう、こういう風にシンプルに仕事ができたらいいよなー。羨ましいぜ。って他人事として読んでちゃいかんな。

ってわけで、面白い読み物であり、仕事と人生に対する指南書であり、企業経営の新しい軸を提案するビジネス書、と、一粒で三度おいしい本でした。うん。意外とお奨めですよ。

電子書籍をiPhoneで一冊まるまる読んだのはこれがはじめてかも知れない。読む分には、別に不自由は感じなかったな。ちょっとした時間に読めるし。あ、でも書評を書くのにパラパラと中を確認するのには不便だ。なるほどね。

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2011年1月27日 (木)

【書評】KAGEROU 著者:齋藤 智裕

KAGEROU読了○。大東ヤスオは、ついてなかった自分の人生を終わらせるべく、廃ビルの屋上から飛び降りることにした。しかし白手袋をはめた端正な顔の男に止められ、自殺は失敗に終わる。謎の男はヤスオの境遇を言い当て、ある取引を持ちかける・・・。

ちょっと前にネット上で話題になってたよね。何で今頃かってーと、例によってウチのヨメさんから廻ってきた。一時間で読める、ってことだったんで、どれどれ、と読んでみる。(最近勉強時間の確保に苦労しててね。読む本がどんどん薄く軽い方向に流れているのは否定できない。俳句とかに走ってるのも、そういうことか。まあ、試験に受かるまではしょうがないっちゃしょうがない。)うむ。確かに。正味一時間かからないで読めます。

んで、面白かったかってーと、うん、普通に面白かったんですけど。アマゾンのコメント欄が炎上って話なんで、へえ、とちょっと覗く。

まあ、この量で単行本一冊1470円也、ってのは確かに高いな、自分じゃ買わないな、とは思うよ。普通のつくりだったらこの長さの中篇3~4本で一冊だもんね。でも内容的には別に問題ない。これはこれでありだよねえ。胸のゼンマイをクランクで廻す図なんて、結構好きです。うん。

ま、作品そのものよりもそれにまつわる諸々がちょーっとアレだってことで、皆さん怒ってらっしゃるようで。高額賞金30%、有名人30%、勘違い30%、その他10%、ってトコですかねえ。

宣伝文句もさ、「命」云々って力入れるようなアオリは逆効果だよな。もっと軽い感じで、「現代のファンタジー」みたいなノリで良かったのにね。なんであんな重々しい紹介の仕方にしたのか、謎です。

欠点があるとすれば、テーマを分かりやすく説明したくなっちゃう心根の部分ですな。書かなくていいことを書いている。言わなくていいことをわざわざ言っている。そんな感じ。そこがザンネンなの。

まあ、巷間言われているほど酷くはないですよ、機会があったら一読してみても良いのではないかしら、ってことで。いやホントすぐ読めるし。

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2011年1月18日 (火)

【疑問?】登録防護標章

久しぶりの(笑)勉強ネタです。
LECの2010年版 弁理士試験 体系別短答過去問 意匠法・商標法・条約・著作権法・不正競争防止法、243頁、枝の1。

1 他人の登録防護標章と、色彩のみが異なる標章は、商標登録されることはない。

私はこれを「正しい」と判断したのですが、答えは「誤り」。以下、解説を引用します。

登録防護標章に「類似する標章」であって、色彩を当該登録防護標章と同一にするものとすれば登録防護標章と同一の標章であると認められるものでなければ、商4条1項12号にいう「登録防護標章」には当たらない(商70条2項)。したがって、他人の登録防護標章と類似する標章でなければ、その登録防護標章と色彩のみが異なる標章であっても、商標登録されることがある。よって本枝は誤り。

???ダメだ。わからん。

私は問題文にいう「他人の登録防護標章と色彩のみが異なる標章」を、「他人の登録防護標章と色彩以外は異ならない標章」と解釈し、であるならば、これは登録防護標章と類似する標章と言い得る、と考え、この色彩を登録防護標章と同一にするものとすれば登録防護標章と同一の標章であると認められると思い、これは登録防護標章に当たると考えました(商70条2項)。

問題文にいう「他人の登録防護標章と色彩のみが異なる標章」で、且つ解説文にいう「他人の登録防護標章と類似する標章でな」い標章って、どんな?

うーん、ダメだ。色彩のみが異なっていて、且つ全体としては類似しない標章、というものを観念することが出来ない。

ワタシ、どこで間違ってますか???どなたか御教授頂ければ幸いです。

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2011年1月16日 (日)

【書評】日本語ほど面白いものはない―邑智小学校六年一組特別授業 著者:柳瀬 尚紀

日本語ほど面白いものはない読了○。副題は「邑智小学校六年一組特別授業」。著者は語呂合わせと言葉遊びで有名な翻訳家。翻訳不可能と言われたフェネガンズ・ウェイクの翻訳で知られる。その他ルイス・キャロルやロアルド・ダール等の翻訳を多く手がけてきた。その著者が、ふとした縁から島根県の山あいの僻地、美郷町にある邑智(おおち)小学校で、特別授業をすることになった。生徒は六年生全員の十六人。2009年10月28日に行われた特別授業の模様を再現する・・・。

中身はこんな感じ。例によって・・・以下はワシの補足。
1 子どもの本屋さんに誘われて・・・著者の経歴、特別授業のきっかけについて
2 みんな日本語という世界の住人-第一回特別授業
3 六年一組十六名からの手紙
4 邑智小学校は開校七年目・・・過疎という現実と、教育環境の素晴らしさについて
5 最大の奇蹟は言語である-第二回特別授業
6 子どもたちの創作
7 空想授業:邑智中学校一年生に向けて

この本を読むまでは柳瀬尚紀さんという方を特に意識したことはなかったのだが、調べたらワシの場合、ルイス・キャロルで結構お世話になってましたな。「不思議の国の論理学」とか「もつれっ話」とか、「かつらをかぶった雀蜂」とか。そーか、あの人か!って感じ。なんつってもルイス・キャロル、地口と駄洒落はてんこ盛りなんで、翻訳は並大抵の苦労じゃないだろな、ってのは、昔、読みながら思った覚えがあるぞ。

言葉遊びの技量は授業でも如何なく発揮されていて、邑智小学校を謳いこんだ「いろは歌」(同じ音は一度しか使えない)を作ったり、「おおちしようがつこう」を文頭と文末に折句して10X10のマスを全て埋めたりと、言葉遊びの天才の面目躍如。さすがだ。

冒頭の著者の略歴が面白い。翻訳にのめり込んで大学を辞めちゃったり、「好きなことしかしない」「嫌なことはやらない」と宣言したり、相当に偏屈で頑固な変人だな、と。うーむ、羨ましいぜ。それをやっても喰えるってのは素晴らしい。オレもそーゆーのに憧れるけど、とてもそれを通せないもんねぇ。

そんな、小学生の教育とは無縁に生きてきた著者が、僻地で小学生を相手の特別授業、ってのもミスマッチで面白い。縁というか。めぐり合わせというか。結果的に過疎とか教育について、いろいろと考えさせられる本になっています。

んーでも、本音を言うとな、オレの趣味から言うと、ちょっとツメが甘いというか。いやもっとガチで日本語の面白さについて、やってくれる本かと期待してたものでなあ。ちょっと方向性が違ったか。わがまま言ってすんません。

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2011年1月 8日 (土)

【書評】機嫌のいい犬 著者:川上弘美

機嫌のいい犬読了○。17年前、ネットで応募作を募集する「パスカル短篇小説新人賞」で文壇デビューすることになる著者は、同時期に、ネット仲間から誘われ、俳句を作り始め、俳句の虜となる。1994年から2009年まで、自選の俳句を年代順に並べた句集。

この方の小説は読んだことがないのですが、この句集を読んで、小説もちょっと読んでみようかな、という気になりました。

俳句つながりで読んでみました。うん。なんだか面白いね。句集というものを最初から最後まで読み通したのはこれが初めてかも知れないな。(あ、歌集はあるんだけど。)なんというかこう、ちょっとユーモラスな感じの句が印象に残りますな。はっきりとしない人ね茄子投げるわよ、とか。マーブルチョコ舐めて色とる日永かな、とか。

ぱっと絵が浮かぶ感じ、分かりやすくっていいですね。先に絵が浮かんで、その後でその場面(シーン)に付随する色々な感情とか感触とかがじわっと来る、という、この感じ、これ俳句独特のものなんだろうなあ。

それから、なんというか、ああ女性が詠んだ句だ、っていう感じのがなんだか面白いな。うまく言えませんが。あ、そこに目がいくか、っていうような新鮮さがあるだよね。オレもっと観念的な方向へ走ってしまいそうだよなあ。オレには出来ん、この視点は、って感じるようなのがいいんだな。

それと、俳句って、独特の言葉遣いがあるじゃないですか。鳥曇り(ガン・カモなど秋冬を日本で過ごした渡り鳥が北に帰る頃の曇りがちの空。[季]春。)とか、柳絮(白い綿毛をもった柳の種子。また、それが雪のように散るさま。[季]春。)とか。そういう、自分の知らない言葉を調べるのがまたなんだか面白くてな。因みに上記二つの定義はWeblio辞書というページで調べました。

そうか。歳時記、買ってみようかしらん。

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