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2010年9月 2日 (木)

【書評】条文を捉える 著者:久野浜男

条文を捉えるⅠ~Ⅳ読了◎。工業所有権四法の逐条解説本。青本の向こうを張って、独自のスタンスで条文に徹底的な解説を加える。独自のスタンスとは、即ち一般法(民法、民事訴訟法等)に対する特別法として見た場合の、工業所有権法の意義を明確にするということ。

ってわけで条文を捉えるⅠ~Ⅳ、やっと読了。Ⅰを読み始めたのが確か7月の10日頃でしたから、50日ほどで一回廻した計算になります。思ったより時間かかったな。

ええ本です。って今更ワシみたいのが書くのもなんなんですけど。

この本、弁理士受験界ではどの程度ポピュラーなんでしょうね?Ⅰの初版の発行が平成20年11月28日なんで、まだ2年経ってないわけですよね。新しいんで、合格体験記の類にもあまり出てこない。即ち、良いも悪いも、ネット上に評判が蓄積されていない状態だと見ました。初学者は評判を見て教科書・参考書を選定しますから、その意味でまだポピュラーになってないんではないか、と想像します。

ワシから見たら、これ、むちゃくちゃええ本です。少なくともワシのようなレベル(スタートして3ヶ月弱の初学者)にとっては、理想とも言える内容。青本を読むのが辛いアナタ。取り敢えずこっちを読んでみることをお奨めします。同じ逐条解説でも、こっちは読みやすい。深い。痒いトコに手が届く。

これは、立ってるスタンスの差、だよね。青本って、立法者自身の書いた解説ってことで、基本中の基本だとは思うけど、スタンスは受験者を向いてない。官僚として”経緯を記録しておく”っていう、その目的に向かって書かれているからな。先輩の批判も出来ないだろうし。可読性を上げる、なんて発想もない。読み辛いのは、まあ当たり前なんだよね。

その点、条文を捉えるⅠ~Ⅳは、徹底的に受験生の立場に立って書かれている。だからすげー読みやすい。記述で特徴的なのは、1.一般法(民法・民事訴訟法等)との対比、以外にも、2.可読性向上を意識する、3.関連する判例の紹介、4.列挙の徹底、5.例示、6.法律用語の説明(基礎の基礎から)、ってトコですか。

特に④列挙の徹底、は助かる。例えば「特9条:代理権の範囲」を例にとると、”・・・列記事項を書き下す。”として、以下の9類14項目が書き下してあります。
①特許出願の変更、特許出願の放棄、特許出願の取り下げ
②存続期間延長登録出願の取り下げ
③請求の取り下げ、申請の取り下げ、申し立ての取り下げ
④国内優先権の主張、国内優先権の取り下げ
⑤実用新案登録に基づく特許出願
⑥出願公開の請求
⑦拒絶査定不服審判の請求
⑧特許権の放棄
⑨復代理人の選任

そーか、この9類14項目なのか、って見通しが立つと大分気が楽になる。気が楽になると覚えよう、って気になるじゃないですか。ね?

それから例示に関して言うと、例えば「請求とは具体的に何か」ってのも例を示してくれるわけですわ。”「請求」には、期間延長の請求、期日変更の請求、判定の請求、裁定の請求、裁定取り消しの請求、審判の請求、訂正の請求、既納特許料返還の請求、出願審査手数料返還の請求、既納手数料返還の請求、がある。”てな感じにね。

ってわけで、この記事、もしかしたら言わずもがなな内容かもしれないけど、とにかく面白く読ませて戴きました、理解の役にも立ちました、ってことで、とてもとても感謝しながら書いてます。ありがとう。さてすぐ2廻し目に入るぞ。

因みにこの記事の冒頭、Ⅳへのリンクが欠けているのは、アマゾンにⅣが出てないせいです。売れちゃったのか?

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