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2010年5月12日 (水)

【書評】麻布怪談 著者:小林恭二

麻布怪談読了○。文化文政期の江戸時代。京都の儒学者の息子、善四郎は、若い頃結婚したものの妻とは死別、以来、一人身の書生暮らしで、漫然と日々を過ごしている。家業である儒学に見切りをつけ、不惑を前にして、国学で身を立てんと江戸に出る。案に相違して国学もそれほど面白くなく・・・。草深い麻布の一軒家に引っ込むことに。友人の御家人の次男坊、青山子五郎、通称青猫曰く、麻布には”出る”から気をつけろと。善四郎は相手にもしなかったが・・・。

怪談、っつっても、重っ苦しいドロドロした話ではなく、四十前後でなお腰の定まらないぼんぼん善四郎と、美人の狐と幽霊が絡む、普通の(?)お話です。んで、重くはないけど、因縁とか因果とか、人情とか未練とか、さりげなく、でもしっかりと、話の中に流れています。なんでしょうな、このノリ。不思議なノリと語り口で、とんとんとん、と話が進んでいく感じ。確かに普通の小説の話の進み方ではないなあ。

この、不惑前でふらふらしている、でも根が善人でぼんぼんの、善四郎というキャラがなんだか良くってねえ。羨ましいと言うか。憧れると言うか。っていうのもちょっとマズイ気もするけどね。ま、それはそれとして。それと、狐の”ゆずり葉”、幽霊の”初”、二人の美人のキャラもすごく良いんですわ。楽しく、最後はちょっとしんみりと、読ませていただきました。

小林恭二という方も、なんだか不思議な境地に達しつつありますねえ。昔のあぶない感じがなくなって随分丸くおなりになって。昔の感じだと続けて行けるのか?とちょっと心配する感じがあったんですけど、この本とか読むと、もう大丈夫、って感じですね。よかったよかった。

なにやら良いです。取り敢えず一読をお奨めします。

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