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2010年5月 5日 (水)

【書評】歪み真珠 著者:山尾悠子

歪み真珠読了◎。山尾悠子の掌編小説集。

ゴルゴンゾーラ大王あるいは草の冠
美神の通過
娼婦たち、人魚でいっぱいの海
美しい背中のアタランテ
マスクとベルガマスク
聖アントワーヌの憂鬱
水源地まで
向日性について
ドロテアの首と銀の皿
影盗みの話
火の発見
アンヌンツィアスィオーネ
夜の宮殿の観光、女王との謁見つき
夜の宮殿と輝くまひるの塔
紫禁城の後宮で、ひとりの女が

全15篇を収める。

面白いです。独特の、端正で幻想的な世界。時間も場所もどこか曖昧な世界、なんだけど、描き出されるものごとは、鮮烈に印象に残る。寓話のような、SFのような、おとぎばなしのような。ある意味、リアルな世界とは対極にあるのに、話が、”作られた”ものでなく、そこに”ある”世界を描写したに過ぎない、というような存在感があるんだよな。いいなあ。

あまり似た作家を思いつかない。強いてあげれば稲垣足穂とか澁澤龍彦とか。幻想文学と呼ばれるような系譜に連なる方ではないかと。・・・Wikiで引くと阿部公房、倉橋由美子の系譜、みたいな解説がありましたが、それはちょっと違うと思う。最初っから何かを寓意して書くのと、ある”世界”の断片を描いた結果、何かが寓意されていることになる、っていうのの差というか。或いはもっと端的に手触りの差、ってことですけどね。

それから、”本”自体に関して言うと、これは所有する悦びを感じさせてくれる本です。装丁といい、紙質といい、文字と空白のバランスといい、とても趣味が良い。中身が詰まっている、完結した世界である、ということを、”本”という具体的なモノに結晶させてみました、みたいな。国書刊行会、ええ仕事してまんなあ。

(話は逸れるけど、こういう部分は電子書籍化できない部分だよな。例えば10分の1の値段でこの本をPDFでダウンロード購入したとして、この満足感と同じものを得ることが出来るか?いやそれはないな。)

これはクセになります。ってわけで、”山尾悠子作品集成”をオーダー。値段はちょっとアレですけど。

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