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2010年5月 8日 (土)

【書評】小説作法 著者:スティーヴン・キング

小説作法読了◎。原題は”On Writing”。副題は”A Memoir of the Craft”。スティーブン・キングの自伝であり、世に出るまでの文章修行の模様を綴った「生い立ち」、キングが英文を書く上で注意している点をまとめて述べた「道具箱」、自身の小説の書き方について説明し、自作の舞台裏を見せてくれる「小説作法」、そして、1999年に遭遇した交通事故の顛末「後記 人生の味わい」、それから、読者サービスとして推敲の実際「補遺 その一 閉じたドア、開いたドア」、また、これも読者サービスとして、キングが最近読んだ本「補遺 その二 参考図書」。全6篇を収める。

キング作品は多分半分くらいは読んでいると思う。クージョとかグリーンマイルとかペットセメタリー、ミザリー、ダークタワーシリーズの一部、トミーノッカーズ、くらいか。半分もいってないね、1/4くらいだね。ワシ、あまりいい読者ではないのかもしれないな。

読めばある水準にはあるのがわかっているので、その意味では安心な作家なんだけど、一生懸命追いかける、ってほどファンではないんだよな。

でもこの本は意外なほど面白かった。カバー見返しに”文章は 飽くまでも 血の滲むような 一語一語の積み重ね である -スティーヴ”の文字。天性のストーリーテラーであり多作な作家の代名詞たるキングにしてこのセリフ。そう、意外なほど捻りも衒いもない、直球の自伝であり文章読本なんですわ。妻のタピサに助けられ、投稿-不採用を繰り返しながらも諦めずに書き続け、”キャリー”でとうとう一発当てたときの話だとか。小説におけるパラグラフの役割だとか。副詞を出来るだけ使わずに書け、だとか。或いは具体的な推敲のやりかた、どれくらい作品を寝かせてから第二稿に取り掛かるべきか、等々、その真っ当さに逆に面食らいつつ、なんというかこう、背筋が伸びる感じがしますね。

そうかあ。キングも苦労して書いてるんですねえ。なんだかうれしくなっちゃうね。安心するってゆーかさ。

それから、交通事故からの奇跡の生還の顛末「後記 人生の味わい」は、キングらしい淡々とした(それでいてちょっと皮肉でユーモラスな)文体で、書くことの意味について、改めて自身に問いかけていて、なんだか感動的です。文章は命の水である、と。そうか。なんだか勇気づけられるな。

具体的で実践的で、且つ哲学的な一冊。ええ本です。一読をお奨めします。

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