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2010年5月15日 (土)

【書評】サウンドトラック 著者:古川日出男

サウンドトラック読了◎。年齢6歳のトウタは、東京都の小笠原諸島北部の無人島に漂着した。母親の無理心中の犠牲者、年齢4歳半のヒツジコも、相前後して偶然、同じその島に漂着する。そして2年が経過した。二人は漂着生物として島に完璧に適応して生き残っている。島には野生のヤギが群棲する。二人は野ヤギの駆除のために島にやってきた東京都庁の職員に発見され、保護される。身元不明な兄妹として戸籍が作成され、二人は小笠原の小学校に通うことになった・・・。

この発端から、さて一体、話はどこに向かうのか?それは、想像もつかない、予想だにしない、とてつもなくでかい、展開へと繋がっていく。すっげえー!!!近未来の東京を舞台に壮大なスケールで繰り広げられる、とてもリアルでとても生々く、しかし全てが虚構である世界。暴力と破滅の予感に満ちた。この圧倒的な想像力、迸る嘘力(うそぢから)。面白くて面白くて面白いです。今までにこの作者の本は5冊読んでいて(”13(JUSAN)”、”ア ビシニアン”、”沈黙”、”アラビアの夜の種族”、”ベルカ、吠えないのか?”)これで6冊目。この作者にはハズレがない。中でも特に、ワシにはこれがベストワンですな。

よくぞここまで描き切ったなあ。脱帽です。普通の小説で言うと、6本~10本分位にあたるアイデアを惜しげもなくぶち込み、刻んで、煮込んで、熟成させてます。とんでもなく贅沢な本だ。途中、読みながら想起したのは、例えばコインロッカー・ベイビーズ、でも情報量、ぶっ飛び方、しつこさ、何れもサウンドトラックの方が上です。にもう、これ、SFですよ。ワシの最大の褒め言葉なんですけど。例えばペルディード・ストリート・ステーション

こういう重量級の物語を書ける人が、日本にも居たんですねえ。チャイナ・ミエヴィル的な。いやよかったよかった。

余談ですが、ヨメさん(ミステリマニア、オレとは読書の趣味は微妙に異なる)に奨めた時の会話、「これ、面白いよ」「人は、死ぬの?」「もう、ばんばん死ぬね」「そ、じゃ後で読む」。そうだった、前回奨めた”天地明察”は、頭1/3を読んで、人が死にそうにない、ってんで残りを読むのをやめちゃったヤツだった。・・・オメーはどーゆー基準で本を選んでるんじゃ(笑)!

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