« 【書評】マネーの進化史 著者:ニーアル・ファーガソン | トップページ | 【書評】ハル、ハル、ハル 著者:古川日出男 »

2010年5月25日 (火)

【書評】理屈が通らねえ 著者:岩井三四二

理屈が通らねえ読了○。二文字厚助は江戸の算法塾の高弟で、旗本の三男坊、二十五歳。算法の問題ならなんでもこいと言うほどの自信はある。算法者の常として、理屈が通らないことが嫌いな性質(たち)だ。懸賞金付きの”十字環問題”を解いた栄誉が手に入るはずだったのだが。上方の算法者、安藤曲角なる人物が、新しい解き方でこの難問を解いたのだと言う。自分の解き方に自信がある厚助は、納得がいかない。かくなる上は曲角と直接会って、どちらの算法が正しいか、果し合いで決着をつけるしかない。日光往還を奥州方面へ向かったという曲角を追って、厚助は今日も旅の空・・・。

ってわけで、旅先で出会う様々な事件を、得意の算法で解決(したり、しなかったり)しつつ、旅は続く。連作短篇集。短篇9篇を収める。
山を測れば
算法合戦
賭けに勝つには
渡世人の算法
まるく、まるく
虫食い算を解く娘
ぶった切りの明日
水争い
十字環の謎

算法つながりで読んでみました。ってゆーか、算法、ブーム?和算って、日本史でちょっとだけ出ては来たけど、その中身って教わらなかったよね。天地明察と理屈が通らねえの2冊を読むと、なんとなく、算法とか和算とかが、わかったような気になれるよな。その具体的な中身とか、社会での立ち位置とか、ね。面白い面白い。

侍と百姓の社会的な地位の違いとその意識の仕方、お上の定めた”法”に対する人々のスタンス、等々もなにげにきちんと書き込まれていて興味深い。なんというのだろう、例えていえば、身分が違うということは、ただ身分が違うというだけのことである、それはそれとして、結局ヒトとしてどうかがポイントだ、というようなある種の割り切り、みたいなものが。

この作者はこういう部分(社会の通底にある人々の一般常識)で手を抜かないんで、時代ものとして、読んでて安心なんだよね。

|

« 【書評】マネーの進化史 著者:ニーアル・ファーガソン | トップページ | 【書評】ハル、ハル、ハル 著者:古川日出男 »

110 小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【書評】理屈が通らねえ 著者:岩井三四二:

« 【書評】マネーの進化史 著者:ニーアル・ファーガソン | トップページ | 【書評】ハル、ハル、ハル 著者:古川日出男 »