« 【書評】最終定理 著者:アーサー・C・クラーク、フレデリック・ポール | トップページ | 【書評】鳥羽伏見の戦い―幕府の命運を決した四日間 (中公新書) 著者:野口武彦 »

2010年4月10日 (土)

【書評】おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ 著者:アレッサンドロ・ボッファ

おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ読了○。ヤマネ、ヘラジカ、カメレオン、はたまたカマキリ、カタツムリ等々、動物を主人公とする短編20篇を収める。どの短編も主人公の名は”ヴィスコヴィッツ”。憧れの君は”リューバ”。それぞれの動物の習性を踏まえて描かれる、ちょっと風変わりな世界。

変な題名だなー、変な表紙だなー、ってんで手に取り、予備知識なしに読み始めて、結構楽しめました。著者のアレッサンドロ・ボッファは、ローマの生物学関係の研究所に勤務したのち、タイの僧院で瞑想生活をしていた、って話なんで、まあ相当の変人なんでしょう。

ってわけで、表面的でなく、その生物の生態をしっかり押さえた上で、プロットが組み立てられ、描写がなされるわけですな。ところが、でありながら全体を覆うトーンは、ちーっとも科学的なものではない。寧ろ自意識過剰で、ペシミスティックで、アイロニックな感じに満ち溢れているわけです。様々な動物の生態が描かれるが、どんな”生”を生きようとも、ヴィスコヴィッツのヴィスコヴィッツたる自意識は変わらない。自らの存在について考えずにはいられない感じ、っていうか。・・・ホント変な小説だ。

短編名とそれに登場する動物名。きみを夢見て(ヤマネ)、情熱のカタツムリ(カタツムリ)、むさぼる愛(カマキリ)、愛は疑心暗鬼(アトリ)、ボス(ヘラジカ)、黄金虫は金持ちだ(フンコロガシ)、哀しみのラストダンス(ブタ)、迷路を抜けて(ネズミ)、愛のオウム返し(オウム)、沈黙は金(トゲウオ)、さすらいの荒野(サソリ)、野望の帝国(アリ)、アイデンティティーを求めて(カメレオン)、ヴィスコの刑事物語(シェパード犬)、虫けらのようなやつ(サナダムシ)、やさしいサメ(サメ)、みつばちヴィスコ(ミツバチ)、水に流して(カイメン)、王者の悲哀(ライオン)、おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ(先カンブリア時代の微生物)。

ヘンな小説が好きな方、一読をお奨めします。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ →ポチっとクリックしていただけると大変ありがたいです。
にほんブログ村

|

« 【書評】最終定理 著者:アーサー・C・クラーク、フレデリック・ポール | トップページ | 【書評】鳥羽伏見の戦い―幕府の命運を決した四日間 (中公新書) 著者:野口武彦 »

110 小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【書評】おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ 著者:アレッサンドロ・ボッファ:

« 【書評】最終定理 著者:アーサー・C・クラーク、フレデリック・ポール | トップページ | 【書評】鳥羽伏見の戦い―幕府の命運を決した四日間 (中公新書) 著者:野口武彦 »