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2010年4月25日 (日)

【書評】ベルカ、吠えないのか? 著者:古川日出男

ベルカ、吠えないのか?読了○。20世紀は戦争の世紀だった。そして軍用犬の世紀でもあった。1942年、旧日本軍はアリューシャン列島のアッツ島とキスカ島を占領、しかし1943 年に島はアメリカ軍に奪還される。一方に、キスカ島に残された旧日本軍の軍用犬の生き残り3頭(北海道犬1頭、ジャーマンシェパード2頭)の連綿たる系譜。もう一方に世界で初めて宇宙犬(ライカ犬)を生み出したソ連が極秘裏に設立した、秘密機関”S”の歴史を配し、イヌを狂言廻しとして、現代戦争・紛争・犯罪偽史が描かれる。そして、それと交互に、もう一つの物語。旧ソ連崩壊後に現れたロシア・マフィアとチェチェン・マフィアの抗争に日本のヤクザが絡み、ヤクザのお嬢は人質として囚われる。・・・”「指(エンコ)詰めさせるぞ」と少女は言った。無音の虐殺を展開した人物に向かって、日本語で。十一歳か十二歳の声で。”

例によって全く予備知識のない状態で読み始め、いったい何のはなしなのか?二つの話はどのように絡んでくるのか?と訝りながら読み進む。この作者の壮大な騙り、縦横無尽の嘘、すごく好きなんですわ。いいねえ。

因みに、冒頭のあらすじ紹介に出てくるヤクザのお嬢は確かに十一歳か十二歳ですが、”萌え”の対象としてはお奨めしません。ここの引用だけ読んであわてて本を注文して、これは思ってたキャラと違う、ってクレームが来ると困るんで、予め誤解を解いておこうと思いまして。ってなんの心配をしてるんだか(笑)。

ただ今回のこの終わり方はどうなの?ちょっと唐突で、え?って感じなんすけど。広げるのは得意だが畳むのは苦手だとか?何か忘れ物した、みたいな気持ちになりました。読んでる間はとてもとても面白かっただけにね。何だろう?うーむ。ソ連=ロシア、1991年。その政治的緊迫感をワシが実感出来てないからか?個人的にはどうももうひと廻り大きな嘘が必要だったという気がして仕方ないんだが。惜しい。勿体ない。或いは物語の終わらせ方に関する意識がワシとかなり違うんでしょうかねえ。

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