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2010年3月23日 (火)

【書評】「松代大本営」の真実-隠された巨大地下壕 著者:日垣隆

「松代大本営」の真実-隠された巨大地下壕読了○。信州松代市一帯に、旧日本軍の掘った大地下壕がある。一般に松代地下大本営跡と呼ばれ、大東亜戦争末期、大本営を松代に移して徹底抗戦をするための基地として作られたものとされてきた。膨大な一次資料を丹念にあたり、断片的な情報を繋ぎ合わせることで、松代大本営の生まれた経緯と、表向きの歴史から抹消された朝鮮人強制労働の実態を浮かび上がらせる労作。

倒叙ものの推理小説を読むようです。序章で、この本が書かれるに至ったいきさつが語られる。即ち、マツシロの戦前と戦中と戦後のありかを、しかと検証しな いことには自らの存在証明が出来ない、そんな生い立ちの女性との出会い。その半生で語られる様々な事実は、しかし公式な記録からはすっぽりと抜け落ち、或 いは歪曲されている。志を引き継ぎ、歴史の闇に光をあてるべく、本書は書かれた。

驚くほどストイックだ。まずはその取材に関して。巻末、285頁から258頁まで、34頁に亘り挙げられた文献資料の山。これ、全部読むの大変だったろうなー。大半は僅か一行から数行の言及を探して古びた記録や台帳を掘り起こし解読していく作業を思うと、気が遠くなる。

そして、その構成に於いても。定説を疑い、孫引をせず、裏づけの取れる第一次資料のみを使い、関係者へのインタビューを惜しまず、時間を追って克明に事実を再現していく。

また、その表現に於いても。隠蔽されてきたものを暴く筆致は、力強くはあるが扇情的になることはなく、定説をひっくり返す発見を淡々と記す。そこにはプロパガンダも自慢もない。あるのはただ事実を明らかにするという使命感。

その徹底的な姿勢に脱帽です。今までガッキィのファンを自認する割りに、メインの著作である本書とか”少年リンチ殺人”とか、重いテーマのものは巧妙に避けてきてたんですわ。んで、レファ本とか、そういうハウツーもの、敢闘言みたいな短いものを好んで読んでいたんです。んでも今回よんどころない事情があってガッキィ本まとめ読み中。やはりこの熱く静かに詰めに詰める部分を抜かしては、ファンもなにもないよな。今まで読んでなくてごめんなさいです。なんというかこう、背筋が伸びます。未読の方、一読をお奨めします。

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