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2010年2月15日 (月)

【書評】マイクロファイナンス―貧困と闘う「驚異の金融」 (中公新書) 著者:菅正広

マイクロファイナンス読了○。副題は”貧困と闘う「驚異の金融」”。グラミンバンクのユヌス総裁のノーベル賞受賞で有名になったマイクロファイナンス。銀行界の常識をひっくり返し、担保のない人々に融資しながら驚異的に低い貸し倒れ率。これは日本の貧困問題にも有効か?マイクロファイナンスの理念・課題・効果について考え、日本の貧困の現状を客観的に分析した上で、日本版ビジネスモデルについて考察する。

目次はこんな感じ。
序章  日本でマイクロファイナンスが普及しない理由
第1章 深刻化する貧困
第2章 マイクロファイナンスとは何か
第3章 先進国のマイクロファイナンス
第4章 日本版ビジネスモデル
第5章 公の限界と民の限界
第6章 共感のある社会
第7章 私たちにできること
終章  マイクロファイナンスの先にあるもの

マイクロファイナンスそのものの解説本というよりは、日本で進行中の”貧困問題”についてレポートし、それを解決するための手段として”マイクロファイナンス”展開の可能性について展望する、という立場の本。

具体的な統計と、諸外国の実例を、数字と出典を明記して示す。新書なんで細かい部分は省略して、ビジネスモデルの大枠と問題点を主に概説する。金融畑ではないワシにとっては、そこんトコのメインの部分でなく、第6章が面白かった。ソーシャル・ビジネス一般に議論を広げ、現状の経済学がソーシャル・ビジネスを捉えきれない理由に言及しているあたり。

ワシ、行動経済学とかって、(せいぜい)既存の経済学を補完するものである、って思っていたんだが(合理的でないこともある、それを項として取り込む、みたいな)、もしかすると、それはとっても卑小な考え方だったのかもしれないな、って思ったんだよ。つまり”手直し”でなく、根本の仮定を差し替えることで全然別の体系が出来るんじゃないかと。非ユークリッド幾何学みたいにね。だったらちょっと面白いよな。また読み漁る対象が増えちまった。ま、ぼちぼちいきましょう。

以下、ちょっとだけ抜書き。
・・・人間を私的利益最大化という一元的な存在でなく、感情を持ち社会性を備える多次元的な存在と捉え、人間が持つ様々な資質と能力を引き出すビジネスの論理を構築できれば「資本主義の性格を変えることが出来る」byムハマド・ユヌス(グラミン銀行総裁)

・・・「善」(人間行為の規範)は個々の行為の望ましいあり方を、「正」(社会制度の規範)は社会全体の制度の望ましいありかたを、そして「徳」(人間存在の規範)は道徳の立場から社会における人間存在の望ましいあり方を、問題にする。

・・・人々や社会に受け入れられ、承認されることは自己のアイデンティティを確認することであり、「自己の重要感」を満足させる大きな要素になる。

・・・エピルス王の寵臣の諫言「それで、陛下が、今、そうなさることを、何が妨げているのでしょうか」。

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