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2010年2月 5日 (金)

【書評】仕事ができる人の脳 できない人の脳 著者:加藤俊徳

仕事ができる人の脳できない人の脳読了○。副題は「脳は自分で鍛えられる」「Let's Grow Your Brain」。著者は医師・医学博士。大脳機能生理学の専門家。

脳は他の臓器と違い、ダイナミックに自分で構造を作り変える臓器である。脳の中の神経細胞は、活動するときに酸素を消費する。その結果生じる低酸素状態が、その神経細胞の枝(神経線維)の成長を促す。その枝の成長が脳の成長であり、その枝振りの違いがその人の個性である。それはMRI画像ではっきりと見ることができるほどだ。つまり、脳のどの領域を使う(神経繊維が成長する)かによって、脳は変わる。自分で自分の脳をデザインし、育てる、そんな観点から見た、”仕事”とは。

目次とメモ。
序章  自分の脳は自分で創り上げる時代へ
第1章 脳が育つ仕組みを知ろう・・・枝を太くする。8つの脳番地。思考系、感情系、発話系、運動系、理解系、聴覚系、視覚系、記憶系。40歳を過ぎてこそ発達する脳番地がある。
第2章 仕事の「量」をアップする三つの能力を伸ばす・・・仕事を早くこなす能力、並列して複数の仕事ができる能力、疲労せず短時間の睡眠で足りる能力
第3章 仕事の「質」をアップする四つの能力を伸ばす・・・情報収集力、情報分析力、思考力、分析力
第4章 脳を伸ばす仕組みは日本的思考にあった・・・応用力、シタイ思考

今話題の脳関係本だしね、いい本なのですが、読んで面白い本を目指すのか、読んで役に立つ本を目指すのか。そこんトコの詰めが甘いと思います。

個人的には第1章が面白かったな。それと別の意味で第4章。人間、使うと伸びる使わないと錆びるってのは、日常生活で経験則としては知っていることだけど、それを神経線維の成長という具体的な現象として記述されるだけで、なんかこう、いろいろ違って感じられますよね。今オレは自分の”脳を育てている”のだ、という感覚。日常生活を、仕事を、ちょっと違う視点から眺めるっていうかさ。こういうの、好きなんですわ。この日常を生きていく助けになるよな。

で、第2章以降が、脳が育つ仕組みを応用して、仕事に必要な能力を伸ばす方法。基本的には8つの脳番地をどう使い分け、どうやって活性化させるか、という話になります。色々とかなり具体的なアドバイス、ノウハウが書いてある。個別の話にはなるほど、って思うんですが、なんとなく頭に残らない。

なんでかってーと、アドバイスの内容そのものにはあまりインパクトがない。いやインパクトがあるものもあるんだけど、詰め込みすぎです。玉石混交。もっと焦点を絞ってガツンと書かないとビジネス本としては迫力不足でょう。第2章~第3章はもっと絞ってコンパクトにしてしまって、第4章を膨らませた方がいいんじゃないかなー。

逆に第4章は生煮えですなあ。惜しい。なぜこれを”日本的思考”と呼ぶのか?”応用力”という用語の選択は適切か?”応用力”と”シタイ思考”の2つで”日本的思考”と呼ばれている思考の枠組みを網羅しているか?”応用力”と”シタイ思考”相互の関係は?等の詰めが甘い。だから第2章第3章に比べ、ボリュームもないし、ちょっと唐突な印象を受けます。惜しい。アドバイスとしては、第4章がもっとも興味深いのにねえ。うん。ここは読む価値あるかも。個人的には第1章と第4章をもっと煮詰めて膨らませたイメージの、次回作に期待したいと思います。

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