« 【書評】一手千両―なにわ堂島米合戦 著者:岩井三四二 | トップページ | 【書評】仕事ができる人の脳 できない人の脳 著者:加藤俊徳 »

2010年2月 3日 (水)

【書評】重力ピエロ 著者:伊坂幸太郎

重力ピエロ読了○。物語を語るのは泉水(いずみ)。泉水の弟の名は春(はる)。どちらも英語で言えばspring(スプリング)。名づけた両親は、兄弟の名前に何かの関係を持たせたかったのだろうと、兄である泉水は考える。そうする理由はある。泉水が語る、一家の歴史を含む、最近起こった私的な事件の顛末記。それは遺伝子と連続放火事件についての話で、せんじ詰めれば、弟の話になる・・・。

この作者の本を読むのは2冊目。1冊目はグラスホッパー(書評はこちら)。共通する独特の感覚がありますね。文体っていうか。通奏低音っていうか。その感覚、うまく言えませんが、ある種の”喪失感”、”欠落感”、ちょっと”すーすーする感じ”。或いは回顧、諦念、虚無。そういう、マイナス感情になりかねないヤバいものの上で、意思の力でもって、危うく立ってる。その感じが”せつない”。そういう感覚。これ、癖になる人は癖になるだろうなあ。ただストーリーを語るためのストーリーではない。そこに何かが”ある”。んで、この感覚は狙って作れるもんではないよな。体質ってゆーか。その人から滲み出るものだよね。そしてそれが、今の日本という時代に合ってるんだよなあ、きっと。その意味で、この人が読まれるのは良く分かる。

しかしいきなり遺伝子の話が出てきたときはびっくりした。ワシ、小説を読むときは、基本的に書評、あらすじ、解説の類は、極力読まないで読み始めるのね。先入観なしで読んだ方が楽しめるからさ。なんでびっくりしたかっていうと、ここんトコ読んでた本もそれ系が多かったわけじゃないですか。ピンカーとか、大腸菌とか。で、それとはまったく別系統のつもりで読み出した重力ピエロにもいきなり遺伝子。シンクロニシティだ・・・(笑)。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ →ポチっとクリックしていただけると大変ありがたいです。
にほんブログ村

|

« 【書評】一手千両―なにわ堂島米合戦 著者:岩井三四二 | トップページ | 【書評】仕事ができる人の脳 できない人の脳 著者:加藤俊徳 »

110 小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【書評】重力ピエロ 著者:伊坂幸太郎:

» 「重力ピエロ」伊坂幸太郎 [りゅうちゃん別館]
「重力ピエロ」を読んだ。04年本屋大賞第5位で直木賞候補。 (この記事、ネタばれあり)    【送料無料】重力ピエロ価格:660円(税込、送料別) 出生を背景にした、「罪と罰」を描いた作品。 三浦綾子なら「氷点」だが、伊坂が描くとこうなる。 泉水と春の兄弟は、…... [続きを読む]

受信: 2011年8月18日 (木) 18時02分

« 【書評】一手千両―なにわ堂島米合戦 著者:岩井三四二 | トップページ | 【書評】仕事ができる人の脳 できない人の脳 著者:加藤俊徳 »