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2010年2月28日 (日)

【書評】「世間」の捨て方 著者:ひろさちや

「世間」の捨て方読了△。サブタイトルは”日本がどうなっても楽しく生きるテクニック”。帯のアオリ文句は”日本は、わたしたちはこれからどうなるか・・・ひろさちやの大予言!明日できることを今日するな。他人ができることを自分がやるな”。

”ひろさちや”という人の名前は、昔からよく見掛けて知っていたのだが(ひらがなばかりで目立つしね)、読んだことはなかった。今回、タイトルに惹かれて読んでみることに。世間の捨て方?いいねえ、教えて貰おうじゃないの、ってノリで。アスペル君でサラリーマンやってると、そう、世間を捨てて生きられるものなら、それが出来るのなら、是非、やりたい、と思わずにはいられませんよ。帯に本文からの抜粋が書いてあり、その中に「・・・都会に生きながらでも、世間を捨てて生活することはできます。」とあって、また、サブタイトルには”テクニック”を謳ってあって、これはもうそういう実用書なんだ、と思って大いに期待したのですが。

うーん。中身がない。テクニックを謳っている割に、テクニック、或いは技術、ノウハウの類いは殆ど出てこない。モノの見方を一種のテクニックだと強弁するならば(するのだと思うが)、モノの見方についての啓蒙書、だといえなくもないが、しかし、それにしては粗雑で大味だ。「世間中心でなく自己中心で生きましょう」というのはいい、「アメリカ型の資本主義は終末を迎える」というのもいい、「列車を降りて歩きましょう」というのも許そう、しかし、それを言うのなら、社会に向かって発信するのなら、その根拠、そのノウハウをキチンと示すべきでしょう。老い先短い年寄りの無責任放言じゃないんだから!あ。老い先短い年寄りの無責任放言、なのか、これ。なるほど。

ってわけで、逆説的で威勢のいい物言いで人の目を眩まし、一時のカタルシスを与える一種の仏教芸人かとお見受けしました。そういうのが好きな人、居るからなあ。

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2010年2月25日 (木)

【書評】キング・ラット 著者:チャイナ・ミーヴィル

キング・ラット読了◎。主人公の学生、サウル・ガラモンドは、父親の住むロンドン郊外のフラットに着いた。面倒なので父親には挨拶をせず、そのままベッドへ。ところが。次の日の早朝、警察が踏み込んで来た。父親が窓から飛び降りて死んでいたのだ、前の日の晩に。いったい何故?パニック状態のまま警察に拘留され、尋問を受けるサウル。事態は絶望的だ。その夜、留置場の扉が静かに開けられ、謎の浮浪者がサウルのもとを訪れる。男は昔からサウルを知っているのだと言い、脱獄させてやると言う。男の名は”キング・ラット”。見た目は人間、しかしその血はネズミ。下水道の奥、秘密の玉座に隠れている。そして語られるサウルの驚愕の過去。サウルは何に巻き込まれたのか?キング・ラットの狙いは何か?

ロンドンを舞台とした、ミステリであり同時にある種のハードボイルドでありはたまたゴシックホラーであり且つ都市小説んでもって音楽小説。ももももももものすごおおおおおおく面白かった!!!!うぁあぁあぁあぁあぁぁぁぁぁ!参りましたっ!

ペルディード・ストリート・ステーションの作者の作品だってんで、期待はしてたんですが。そうは言っても処女作だし、SFでなくミステリみたいだし、ま、ちょっと味見、って感じで軽い気持ちで読み始めて、あまりの面白さに一気読み、読み終わって暫し呆然。うーむ。この人凄え。完全にツボに嵌りました。

あいかわらずちゃんと”痛い”。ちゃんと”悔しい”。ちゃんと”情け容赦がない”。んでもって、ありきたりな解決を拒否する。この辺の、世界観のリアルさ、手触り、息遣い、ハンパないです。お話を終わりにすることに汲々としていない。

徹底的なリアリストの書いたファンタジー、と言えばこの人のある側面を紹介したことになるのだろうか。前にも書いたが今までのワタシの読書体験には居なかったタイプなんだよなあ。いい。もっと読みたい。他の作品の邦訳はいつなんだろう?

ワシとワシのヨメさん、全く読書傾向が違うのよ。だから滅多にお互いに本を薦めたりしないんですが、コレは是非読ませたい、と思って、熱心に奨めてしまいました。不思議不思議。

全然紹介になってない、のは分かってるんですが。説明、したくないなあ。勿体ない。先入観なしで、とにかく一読されることをお奨めします。

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2010年2月23日 (火)

【書評】アラビアの夜の種族 著者:古川日出男

アラビアの夜の種族読了○。原題は”The Arabian Nightbreeds”。聖遷(ヒジュラ)暦1213年1月(即ち西暦1798年7月)、欲深いフランク族(ヨーロッパ人)の邪視がカイロに向けられている。ナポレオン・ボナパルトという名の。当時のエジプトはマムルーク(奴隷)王朝以来の伝統により、マムルーク騎馬部隊の首長である23人の知事(ベイ)達が実権を握っていた。知事(ベイ)のうちのナンバー3の地位にあるイスマーイール・ベイは、武芸・謀略全てに於いて抜きん出た存在の筆頭執事(奴隷)アイユーブを従える。アイユーブは独自の情報網を使い、彼我の戦力の差を正確に認識している殆ど唯一の人物である。彼は対ナポレオン用の秘密兵器の開発を主人に約束する。ここカイロに古より伝わる、読むものを破滅させるという伝説の書物、”災厄の書”を仏語訳して、ナポレオンに献じるというのだ・・・。

そして。”災厄の書”は実は存在しない書物である。それは今から”夜の種族”(ナイトブリード)の女、ズールムッドによって物語られる物語。時に聖遷(ヒジュラ)暦1月16日、ナポレオンの艦隊はすぐそこまで迫っている。残された時間は少ない。ズールムッドが語り、アイユーブと書家(とヌビア人の奴隷)がそれを聞き、記録する。かくして第一夜が更けて行く・・・。

目次はこんな感じ。
聖遷(ヒジュラ)暦1213年、カイロ・・・導入部。上記の要約はこの部分。
・第一部 0℃・・・第一夜から第四夜、”もっとも忌まわしい妖術師アーダムと蛇のジンニーアの契りの物語”。
・第二部 50℃・・・第四夜から第十四夜、第一部から1000年の後、”美しい二人の拾い子ファラーとサフィアーンの物語”。
・第三部 99℃・・・第十五夜から第二十二夜、物語と書物についての物語。第一部と第二部の物語が共に結末を迎える。そして・・・。
仕事場にて(西暦2001年10月)

アラビアンナイトの伝統に則って、ズールムッドによって語られる第一部、第二部、第三部、の各夜の合間に、現在進行中のカイロでのナポレオンとの戦いの模様が挿入されていく。アイユーブは間に合うのか?アイユーブは何を考えているのか?この(現在進行中の)物語は何処へ行くのか?

物語についての物語。書物についての書物。循環する歴史の皮肉。現実と虚構の入れ替わり。真面目な顔してるんでちょっと見、分かりづらいけど、実は仕掛けとギミック満載の本です。私はみごとに騙されました。な、なんという・・・。

んで、第二部と第三部、ファラーとサフィアーンの物語の”戦いの描写”はラノベファンタジーのパロディだよな。結構読むの辛かったぞ。第一部と第二部もなにかのパロディになってんのかね?イスラム伝承説話のパロディっちゃそのとおりだが。ああもう。負けたよ。説明になってないな。でもね。

騙されたい人、騙されても平気な人、ラノベ読める人。一読をお奨めします。って感じ?

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2010年2月21日 (日)

ブログの効用、或いはおたくの幸せについて

ここんとこちょっと回顧なモードに入ってて、自分の(おたく)人生を振り返っている。ってわけで、今日は”ブログの効用、或いはおたくの幸せについて”です。

ブログには感謝している。ブログを始めたおかげで本を読むことが出来るようになった。これにはちょっと解説が要る。

ブログで書評を始めた頃、本を読む時間が足りなくて困った。社会人になってからずーっと、通勤電車の中が読書タイムで、これだと正味1時間/日程度しか時間がとれない。んで、どうしたかっていうと、出張を組みまくったわけです。新幹線の中とかで読書にいそしむ。しばらくはこれで乗り切ってたんですが、出張のネタも無尽蔵にあるわけでなし、やがて行き詰る。困った。どうする?

で、あるとき、気づいたんですわ。家で読めばいいではないかと。そう。なぜか、読書は移動中に限るってルールが出来ててそれに縛られていたんです。ワタシの無意識の中にね。アホみたいな話ですが。

このルールは、誰が決めたわけでもなく、自分で決めたものですね。思い返すと、社会人やってく中の、どっかの時点で、読書を無駄なものって認識した気がするんだな。ワタシは読書が大好きですが、それは昔からそうですが、その一方で、それを無駄なものとして認識した。んで、妥協案として、読書は移動中に限るという奇妙なルールが出来た。移動中なら他にやることないし、効率がいいから。そういうことではないかと思います。

自分の好きなものを、自分で無駄なものと決めて、自分で禁止する?ふつう、ありえないよね?

我ながらアホな話だなあ。んで、悲しい話だよな。過剰に適応するってこういうことかねえ。真剣に気の毒に思うんだ、自分のことをね。休みの日、おウチのソファで寝っころがって本を読む。とても幸せです。やっと手に入れた幸せ。失われた*十年を取り返す。

でも、思うんだけど、実はそういう人って、結構いるのではないかしらん?自分が何者だか知らない。何者って言っても別にむつかしい話ではなくて、何が好きで何が嫌いか。何を気持ちよく感じ何を不快に感じるか。知らない。或いは抑圧している。そんな人たち。ブログ、やってみたらいいのにね。或いはツイッターとか。

結局テキストベースのコミュニケーションツールって、発信するのに”考える”ことを要求するから、それが自分と向き合ういいきっかけになるのだと思う。

逆に言うと普段の生活で如何に”考える”機会がないか、って話でもある。大抵の仕事は思考停止状態でルーチンでやれてしまうんだよ。

ブログやったおかげで、自分の好きなことを思い出し、考える習慣を思い出し、悪しき社会人の呪いが解けた。

そんだけじゃない。ブログをきっかけにして、iPhone買って、ツイッター始めて、色々と個人的なプロジェクトを立てて。読みたい本はどんどん溜まっていく。時間が足りませんなあ。コレは嬉しい悲鳴。

ってわけでブログにはつくづく感謝しているのです。ちゅ。

 

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2010年2月19日 (金)

【書評】COURRiER Japon ( クーリエ ジャポン ) 2010年 03月号

COURRiER Japon ( クーリエ ジャポン ) 2010年 03月号読了○。レビュープラスさんに献本いただきました。毎回毎回ありがとうございます。助かるぞ。

特集は”堤未果責任編集 オバマ大統領就任から1年 貧困大国(アメリカ)の真実”。岩波新書の”ルポ 貧困大国アメリカ”の著者である堤未果さんへのインタビューと、自身の手になる小論、それからNYタイムズ、ハフィントン・ポスト、TIME、等の現地ジャーナリズム記者による記事と写真、等々によって、多面的に貧困大国アメリカの現状を伝える。

特集の内容はこんな感じ。
【堤未果インタビュー】「色褪せたHOPE、もう一つの希望」
【Part1】「貧困大国」は変わったか?
・あの日から1年、オバマはアメリカをどう変えたのか
・1日2万人のペースで増え続ける「フードスタンプ」受給者の衝撃
【Part2】人間の尊厳を奪う「医療崩壊」
・タイム誌記者の家族が直面した民間医療保険の”不都合な現実”
・「医療破産」忍び寄るシニア世代の”懐事情”
・国から見捨てられた哀しき「医療難民」たち
【Part3】学生を借金漬けにする教育システム
・授業料の高騰がもたらす「大学教育崩壊」の危機
・高金利の学資ローンが学生たちの未来を奪う
・「金持ち」を優遇する名門大学の入学試験
【Part4】民営化で加速する刑務所ビジネス
・営利企業が支配するアメリカの「罪と罰」
・貧困層を死ぬまで搾取する「保護観察」という名のビジネス
【Essay】真の「チェンジ」を起こすもの

”ルポ 貧困大国アメリカ”は、出たてのころ読んで衝撃を受けた記憶がある。書評を書いたかな、と思って検索したがヒットしない。このブログに書評を書きだす前だったか。余談だが、書評は書いとくもんだね。書いたものは内容を良く覚えているが、書いていないと忘れてしまってるものも多い。

で、改めて今回の特集を読んで、いろいろ考えてしまった。凄え怖いよ。この感じ。何が怖いってねえ、問題は貧困の内容そのものではないんだよ。では、中流の人間が追い詰められて落ちてゆくその有様が見えるところが怖い?他人事ではないかも、って思っちゃう。そういう怖さ?確かにそれもあるけど。いやいや。違うな。もっともっと深い。ビジネスとして貧困を作り出し、”貧困産業”を運営していくそのスタンスが。それを生んだ発想が。文字通り人間を食い物にする、その社会の手触りが。つくづく怖いのです。

市場至上主義の行き着く果てはこういうトコか、っていう、呆れるような、ぞっとするような、感じ。これ、オレ自身がこういう傾向を持っていることを自覚するから尚更良く分かるのかもな。ほらアスペル君な人ってね、シンプルなルールが好きだから、原理主義に走りやすいのよ。そして市場原理はシンプルで分かりやすいから、オレは結構気に入ってたんだよなあ。でも、行き着いた先がこういうものであることが分かっちゃったら、もう、使う気にはならないよな。

ってわけで、先日も書いたけど、利益最大化という一元的な存在でなく、感情を持ち社会性を備える多次元的な存在として、人間というものを定義しなおすこと、そして、それに基づいて新しい社会科学が構築されること、これが必要とされてるんだよな。てゆーか必要です、オレ。そういうモノを持ってないと、まともな一貫性のある思考が出来る気がしないんですわ。それは広義の行動経済学であり、進化心理学に基づく進化経済学だろうな、って思ってる。さて勉強しないとね。

希望としては日本との比較、或いは他の国との比較、を見たいなあー。それは単なる統計数値として貧困度合いを見たいってコトじゃないよ?そういう”貧困産業”が、日本で、或いは他の国で、どんな形態をとり、どんな展開をし、どの程度の規模に育っているのか、知りたい、って意味です。アメリカは極端だから分かりやすく出たけど、日本も結構病んでる気がする。見えないところでね。

ってわけで今回は他の記事については取り敢えずパスします。いやちゃんと全部目は通したんだが、この特集の迫力に負けて、あまり印象に残ってないんだよなあ。スマン。

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2010年2月17日 (水)

iPhone買っちゃった!その8・・・日本語入力ってさ

iPhone、もう完全に生活の一部だなぁ。メールもツイッターもTodo管理もプロジェクト管理も、いまやメインがiPhoneで、MACとPCはサブだもんな。iPhoneに移行する前の生活がどんなだったか、もう思い出せないなー。

んで、使い込んでくると、細かいトコで「ああもう、ここんトコが・・・ならいいのに!」ってのが出てくる。今日はそういう、重箱のスミをつつくようなお話です。

iPhoneの日本語入力には、大きく分けて、以下の3方式がある。
1.ローマ字入力(Qwertyキーボード入力)
2.50音パッド入力
3.50音パッド・フリック入力
一般的にはどれがメジャーなんでしょうね?

携帯での入力に適応した人たちは、50音パッド入力が速いんだろうな。昨日地下鉄で、隣に座ったにーちゃんがiPhoneでメール打ってるのを横目で観察して たら、やっぱ50音パッド派だった。ま、この辺はその人の持ってるスキルとか好みとかの問題なんで、各人がいろいろ試して自分に合った方式を選べばいいと 思う。

ワタシの場合はローマ字入力。

Qwerty

通常のキーボードで打つのと同じ感覚で打てるのでとても楽。そりゃブラインドタッチってわけにはいかず、一本指打法にはなりますから(正確には右手人差し指と左手親指の2本指だが)、打鍵スピードは落ちますけど、MACやPCと同じだから、脳みそを切り替えなくていいのがワタシにとって楽なんだよな。

で、ローマ字入力(Qwertyキーボード入力)派として、ですね、是非改善していただきたい、って思うのが、”句読点の扱い”です。

現状では、句点(”。”)も読点(”、”)も、「123」キー押しで現れる。

123

句点とか読点とかってしょっちゅう使うもんだから、いちいち切り替えるのはとても面倒なんですよ。是非、デフォルト画面で句点も読点も打てるようにしていただきたい、と。

そして、句読点を変換候補表示するのもやめて欲しい。切り替えて(1)、「、」キー(2)、変換候補から確定(3)、切り替えて戻す(4)、と、全部で4回打たなきゃなんない。これは無駄だ。デフォルト画面に句点キーと読点キーがあり、句点も読点も変換候補なしで一発確定、これが理想です。

場所がない?そんなことはない。スペースキーをちょっと短くして、両側につければいいんだよ。現にこういうキーボードはあるわけだし。

Mark

実際、これがどの程度負担になっているか、を見てみる。この文章(実際・・・・見てみる。)をiPhoneのローマ字入力で打つと、打鍵数は以下のとおり。  
7、④、7、9、9、9、④、3、④の合計65。数字のうち、④の部分が句読点の入力。これが1になると、合計56。14%も減らせる。ワタシは句読点の数の少ない文章を書く方だと思うけど、それでコレですから。効果は大きいよ。

どうかな?Appleさま。次回のOSのバージョンアップで検討していただけると、大変有難いのですが。って、見てねえか(笑)。

<追記>
その後、複数の方々からフリックによる入力のテクニックを御教授いただき、無事、2打鍵で入力することが出来るようになりました!詳しくはコメント欄を参照してください。若しくはtakamiさんがわざわざアップしてくれた、YouTubeの動画をどうぞ。takamiさん、ありがとうございます!ネットって凄いトコだ。

で、更に2打鍵を1打鍵で済ませるために、Appleには引き続き要望を伝えていきたい、とは思うんですけど、どんなもんでしょね?

<更に追記>

ってわけで、Appleにフィードバックして来ました。これが証拠の写真。

Photo_2

ううむ。ネットって凄いトコだ。改めて感動してしまう。見ず知らずだった人とのコミュニケーションが発生したり。そして取り敢えず、即、意見を言うことが出来たり。クリック一つでね。今回、とてもリアルに”変化”を体感出来た気がするな。わお!次のOSアップデート楽しみー。

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2010年2月15日 (月)

【書評】マイクロファイナンス―貧困と闘う「驚異の金融」 (中公新書) 著者:菅正広

マイクロファイナンス読了○。副題は”貧困と闘う「驚異の金融」”。グラミンバンクのユヌス総裁のノーベル賞受賞で有名になったマイクロファイナンス。銀行界の常識をひっくり返し、担保のない人々に融資しながら驚異的に低い貸し倒れ率。これは日本の貧困問題にも有効か?マイクロファイナンスの理念・課題・効果について考え、日本の貧困の現状を客観的に分析した上で、日本版ビジネスモデルについて考察する。

目次はこんな感じ。
序章  日本でマイクロファイナンスが普及しない理由
第1章 深刻化する貧困
第2章 マイクロファイナンスとは何か
第3章 先進国のマイクロファイナンス
第4章 日本版ビジネスモデル
第5章 公の限界と民の限界
第6章 共感のある社会
第7章 私たちにできること
終章  マイクロファイナンスの先にあるもの

マイクロファイナンスそのものの解説本というよりは、日本で進行中の”貧困問題”についてレポートし、それを解決するための手段として”マイクロファイナンス”展開の可能性について展望する、という立場の本。

具体的な統計と、諸外国の実例を、数字と出典を明記して示す。新書なんで細かい部分は省略して、ビジネスモデルの大枠と問題点を主に概説する。金融畑ではないワシにとっては、そこんトコのメインの部分でなく、第6章が面白かった。ソーシャル・ビジネス一般に議論を広げ、現状の経済学がソーシャル・ビジネスを捉えきれない理由に言及しているあたり。

ワシ、行動経済学とかって、(せいぜい)既存の経済学を補完するものである、って思っていたんだが(合理的でないこともある、それを項として取り込む、みたいな)、もしかすると、それはとっても卑小な考え方だったのかもしれないな、って思ったんだよ。つまり”手直し”でなく、根本の仮定を差し替えることで全然別の体系が出来るんじゃないかと。非ユークリッド幾何学みたいにね。だったらちょっと面白いよな。また読み漁る対象が増えちまった。ま、ぼちぼちいきましょう。

以下、ちょっとだけ抜書き。
・・・人間を私的利益最大化という一元的な存在でなく、感情を持ち社会性を備える多次元的な存在と捉え、人間が持つ様々な資質と能力を引き出すビジネスの論理を構築できれば「資本主義の性格を変えることが出来る」byムハマド・ユヌス(グラミン銀行総裁)

・・・「善」(人間行為の規範)は個々の行為の望ましいあり方を、「正」(社会制度の規範)は社会全体の制度の望ましいありかたを、そして「徳」(人間存在の規範)は道徳の立場から社会における人間存在の望ましいあり方を、問題にする。

・・・人々や社会に受け入れられ、承認されることは自己のアイデンティティを確認することであり、「自己の重要感」を満足させる大きな要素になる。

・・・エピルス王の寵臣の諫言「それで、陛下が、今、そうなさることを、何が妨げているのでしょうか」。

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2010年2月13日 (土)

【書評】四とそれ以上の国 著者:いしいしんじ

四とそれ以上の国読了○。四国を舞台とするいしいしんじの連作短編集。父が死に、俺とウキとミヨシと四女は高松の親戚にあずけられた。姉妹の中で最も体の大きいウキは浄瑠璃に取り付かれ「塩」、祖母の病気が峠を越したので、男は南に向かって峠を越えることにした。松山から高知へ特急いしづちと特急しまんとを乗り継ぎ「峠」。男はあしもとの道に導かれるまま巡礼宿を巡る。夜の港町は鯨の解体で祭りのようだ「道」。ピッチャーでトラック運転手の男は鳴門の渦を展望台から見下ろす。松山の正岡子規は大学野球の名キャッチャーだった「渦」。吉野川沿いの”寝床”で熟成された藍が逃げよった。頭(かしら)に命じられ五郎は藍を追う「藍」、中篇5編を収める。

四国は友達の結婚式で一度、関西に居る時に仕事で一度、行ったことがある。どっちも行ったのは”点”なんで、四国の”中”を旅したことはない。だから実感としてはワタシには分かんないんですが、独特の力をもった土地、なんだろうなあ、と。この本を読むとそんな感じがしてきますね。

もちろんこの本に出てくる四国は実在の四国ではなく、作者の中にある異世界”四国”なんですけど。宮沢賢治のイーハトーブのようなもの?実在の土地に重ねて作者が幻視した、架空の土地としての四国。それは歴史と(源平の合戦、戦国時代、太平洋戦争とその終戦、等々)と呪(まじな)いと子規と漱石とお遍路と鯨と、その他様々な土着に彩られた不思議な世界。時間も空間も輪郭がはっきりせず、人物も事件も独特の論理にのみ従う。

前にも書いたけどワシにとって、この人の文章はなんだか読み辛いんですわ。リズムが掴めないというか。でも、ちょっと中毒性な味があり、いつも苦労しながらも読んでしまう。この本はその傾向に磨きがかかってますな。この、”感じ”。ワシまだうまく表現出来ないな。書評を書く身としては、この”感じ”の正体をちゃんと言語化することが必要なのはわかってるんですが、たぶん、ワシには今はまだ無理。ごめん。

ってことで、理路整然と作られた”おはなし”には飽きちゃったって人、或いは、低周波のようにずーんとくる物語ってものを体験してみたい人、に、一読をお奨めします。

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2010年2月11日 (木)

【書評】リーダーが身につけたい25のこと 著者:鈴木義幸

リーダーが身につけたい25のこと読了◎。「日経ビジネスオンライン」人気連載の加筆書籍化。著者はエグゼクィブ・コーチとして、数多くのリーダーをコーチしてきた、コーチングの専門家。豊富な現場経験を生かして語る、リーダーシップとはいったい何なのか。そして、優れたリーダーに共通する、ある資質とは。それは実は身につけることができる。リーダーシップの真髄を語ると共に、項目ごとに段階を追って自分をトレーニングしていく具体的な方法を示す。

ビジネス本としては珍しく◎。ええ本です。リーダーの人も、リーダー予備軍の人も、別にリーダー関係ねえよ、って人も、一読をお奨めします。

タイトルが”25のこと”なんで、網羅的で羅列的な本かなー、って思って、期待せずに読み始めたのですが、案に相違して、ビジネス本にしては珍しく、一本芯が通っているんだよね。逆に、だから25項目も並べても、散漫にならずに済むんだな。一本芯が通っている。

その芯とは、「必要なものはすべて自分の内側にある」、どんなときでも、自分の状態は自分が選ぶことができる、ってこと。おおっと。そうだった。忘れてたぜ、って感じでガツンと目が覚める感じがしました。ありがとう。こいつを忘れちゃいけねえな。

各章の内容も、体験的で具体的で実践的、オレなんて素直なんで、さっそく色々と生活の中に取り入れることにする。こういう課題とかトレーニングとかがあると、わお!会社行くのが楽しみになるよな。会社をそういう”トレーニングの場”として見る、ってのは我ながらなかなかいい視点だ。もう問題だらけだから尚更な。

以下メモ書き。ビジネス本では滅多にやらんのだが。例によって・・・以下は勝手要約。

はじめに・・・リーダーシップとは、1人では実現できない何かを実現したいと思い、他者に働きかけ、協力を仰ぎ、その実現を目指す力

PART1 リーダーになる人が最初に取り組みたい11項目
Leader’s way1 リーダーはビジョンを描く・・・素材、話す、文字か絵に
Leader’s way2 リーダーは決断する・・・メリット・デメリット、練習、シミュレーション
Leader’s way3 リーダーはエネルギーが高い・・・未完了を完了させる
Leader’s way4 リーダーはやりとげる・・・残り10%大事、ゴールの先、対策、逆算
Leader’s way5 リーダーはスピード感が速い・・・発想と編集、周囲へリクエスト
Leader’s way6 リーダーは何かをやめることができる・・・やめることに対する哲学
Leader’s way7 リーダーは聞く・・・メモ、感想と意見求める、第三者チェック
Leader’s way8 リーダーは人前でうまく話せる・・・モデル、ビデオ、修正点一つ、フィードバック、楽しむ
Leader’s way9 リーダーは誘う・・・誘い慣れる、詳細イメージ、メリット
Leader’s way10 リーダーは逃げない・・・怖れに向き合う、格言、宣言
Leader’s way11 リーダーは自分を客観視できる・・・フィードバック、自分以外の立場に立って、他人に紹介する文章

PART2 部下のリーダーシップを育てる4項目
Leader’s way12 リーダーは約束を守らせる・・・言語化して約束
Leader’s way13 リーダーは部下のリーダーシップに火をともす・・・人のために何かを真剣にやりたいと思い、それを実行している人
Leader’s way14 リーダーは組織の全員をリーダーと見る・・・問い掛けて育てる
Leader’s way15 リーダーはリーダーを育てる・・・理不尽さに慣れさせる

PART3 自分自身とチームの主体性を育てる10項目
Leader’s way16 リーダーは組織の緊張感をコントロールする・・・軸を決める
Leader’s way17 リーダーは楽観的である・・・楽観的に背中を押す、エクササイズ
Leader’s way18 リーダーは慢心しない・・・肩書の通用しない場、本、チャレンジ
Leader’s way19 リーダーは自分に前向きの質問をする・・・内側の質問、自分次第、物理的な移動の利用
Leader’s way20 リーダーは多様性を尊重する・・・自分、DB、ビジョン・ミッション
Leader’s way21 リーダーはリーダーシップを学んでいる・・・本、モデル、アセスメント、評価、プラン、実行
Leader’s way22 リーダーはストレスをコントロールする・・・呼吸、緊張弛緩、感謝
Leader’s way23 リーダーは反応を自分で選択する・・・刺激、スペース、反応
Leader’s way24 リーダーは退路を断つ・・・退路を断つと全ては自分次第の感覚
Leader’s way25 リーダーは情熱を自分で生み出す・・・内側が先、自分に質問

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2010年2月10日 (水)

【書評】サハラ幻想行 著者:森本哲郎

サハラ幻想行読了◎。サハラ砂漠の奥、タッシリ高原の荒涼とした無人の岩陰に、何千年もの昔、ここに住んだ人間が描き遺していった、不思議な絵が秘められてある。砂漠に憧れ、タッシリの岩絵に呼ばれ、著者はサハラに向けて旅立った。アルジェから飛行機でサハラを南下し、ごく小さなオアシス、ジャネットへ。そこから、トゥアレグ人のガイドを雇い、六頭のロバに荷物を積み、ジャネットで偶々一緒になったフランス人学生達と、一路タッシリを目指す。そこで著者を待っていたものは・・・。

1971年の河出書房新社版の改訂復刊版。なんと約40年前の本!?でも内容的には古さを感じさせません。それはこの本のポイントが外面的な紀行文ではなく、内面的な意識の記録にあるからですね。砂漠は人を哲学的にする。砂漠の持つ内省的な感じ、熱による朦朧とした意識、生命の兆候のない土地の孤独感、そして、神について、文明について、自らについて。等々がしっかりとした手触りの文章で綴られています。ええ本です。改訂復刊するだけのことはある。

サハラ砂漠の本を読むのはこれで2冊目(1冊目はサハラ横断砂の巡礼。書評はこちら)。読めば読むほど、ちょっととんでもないトコなんだなー。でも、ワシも行ってみたい。一度行ってみたい。何故なんだろうな。我ながらちょっと不思議。ハードなの、キツイの、辛いの、基本的にキライで、だから、絶対向いていないんだが、でも、一度行ってみたいなー。

自分と向き合っちゃう。トコトン向き合っちゃう。どうも砂漠ってそういうトコなんだな。行ってみたいなー。

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2010年2月 7日 (日)

【書評】ネット古本屋になろう!―無店舗で勝ち残れ! 著者:河野真

ネット古本屋になろう!読了○。副題は「無店舗で勝ち残れ!」。表紙のアオリ文句は「古物商の許可申請から、古本の仕入れ、品揃え、値付け、開業のノウハウ、食べていくための経営、古本屋の魅力とは、までを『スーパー源氏』を運営する著者が解説する。読書家のサイドビジネス、ワンテーマこだわり派、定年退職起業家にオススメ!」。長え。

著者は紫式部代表取締役、1995年に日本初の古本サイト「スーパー源氏」を開設した人。知らんかったけど、リコーを辞めてネット起業したんだそうな。それも、悠々スピンアウト、ってヤツじゃなく、「独立するときは妻が大反対して離婚騒ぎになった。」「収入も激減して大変な苦労を家族に味わわせたと思う。」って感じの、中年の危機、的なノリで。

因みに上述の「独立するときは」云々の文章は”あとがき”に出てくるもので、本文に著者本人の苦労話、自慢話、説教話、は一切出てこない。のみならず『スーパー源氏』の宣伝、広告、売込、も殆ど無い。この手の起業人にはありがちじゃないですか、そういうの。そりゃテーマがテーマなんでまさか『スーパー源氏』に触れないわきゃないんだけど、驚くほどバイアスが掛かっていません。アマゾンとかヤフオクとかとほぼ同列の扱い。偉いもんだ、と思いました。

そういう、無駄な部分がないんで、内容は簡にして要、極めて実用的。起業本にありがちな”勿体を付ける感じ”、”喰いものにする感じ”がありません。良心的でええ本です。

古本屋業界、これから先、どうなんでしょうね。電子出版が普及しきったら、古本そのものが物理的に発生しなくなってしまうわけで。・・・でも、そういうことにはならないな。紙の本の市場は大きい。古本市場はもっと大きいからな。それより怖いのは過当競争ですかねえ。誰でも簡単に参入出来ちゃうからなあ。・・・でも、この本で言っているように、元々儲からない業界だし、本に関わるだけで幸せって人にしてみれば、自分のやり方で商売が出来ればいいわけだし。

ってわけで、業界にとってホントに怖いのは、”本”を読む人がいなくなってしまうコトかもね。・・・こないだ友達とそんな話をしたな。本を読まずにいられない、我々は既にマイノリティだと。絶滅危惧種だと。わお。それは開き直り甲斐があるってもんだ。ね?

いいな。老後はネット古本屋の親父をやるか。店番、って言って定期的にメールチェックしつつ座って本を読んでる姿が目に浮かぶぞ。うん。

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2010年2月 6日 (土)

【書評】心の仕組み~人間関係にどう関わるか〈中〉 著者:スティーブン・ピンカー

心の仕組み〈中〉読了◎。副題は「人間関係にどう関わるか」。おなじみ、進化心理学者スティーブン・ピンカーによる、我々の持つ”心”という”器官”の仕組みについての出色の解説書にして仕様書にして取扱説明書、その中巻。(上巻の書評はこちら。下巻の書評はこちら。)

中巻の内容はこんな感じ。
第4章 心の目-網膜映像を心的記述に転じる-
第5章 推論-人は世界をどのように理解するか-
第6章 情動-遺伝子の複製を増やすために-

ピンカーは”心”という”器官”の仕組みを、基本的にいくつかの演算器官が競合しつつ共同で働いている系として捉えている。そしてそれぞれの演算器官の機能を調べる手段として、リバースエンジニアリングの考え方を用いる。即ち、ここにあるこれは、自然淘汰の圧力の下でどのような利益を個体にもたらしてきたのかを問う。

上巻では、この考え方を使って”心”を研究することの意味とメリットを述べ、予想される反論を予め潰しておいた。その上で、”心”の機能のうち”知能”に目を向け、それが何なのか、何故我々は知能を持つのか(何に適応した結果なのか)、を調べていった。

中巻では、同様に”心”のまた別の機能、”認識”と”推論”と”情動”について調べていく。(第4章を”認識”と要約するのはちょっと乱暴かもしんないけど、いい、許す。)

全体の見取り図としてはこんなトコ。これを意識して読まないと道に迷うことがある。ピンカーは根が学者なんで、ってゆーか、学者なんで、要約した結論だけを示すのをよしとしない。その結論に至った思考過程を丁寧に展開して書く。面白いし説得力が増すのは間違いないが、テーマによっては細部が”濃すぎて”、全体の見取り図が頭に入ってないと、何の話をしているのか分からなくなったりする。

個人的には、”認識”と”推論”はわりと慣れた論の展開で、興味深いが、あまり新鮮さが感じられないな、と思いつつ読んでました。副題である「人間関係にどう関わるか」ってテーマからも遠い、って思っちゃうしね。(あくまで個人的には、ですよ。内容は面白いですよ。そこんトコ誤解しないでね。)

んで、これも個人的には”情動”がめっちゃ面白かった。なんでか、ってーと、ちょっとアスペル君なワタシにとって、わお!新鮮なんですな。この話題は。「人間関係にどう関わるか」ってテーマにも乗ってるし。情動とは何か?何のために情動はあるのか?非合理的な情動、それを抑圧する理性というロマン主義的な考えは正しいのか?・・・なんだかわくわくしますね。(え?オレだけ?)

ってわけで、自分が感情的で社会との折り合いが悪いな、と思っているそこのアナタ。或いは自分が人の気持ちがわかんなくて社会との折り合いが悪いな、と思っているそこのアナタも。中巻の第6章だけでも、一読をお奨めします。イイよぉ。

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2010年2月 5日 (金)

【書評】仕事ができる人の脳 できない人の脳 著者:加藤俊徳

仕事ができる人の脳できない人の脳読了○。副題は「脳は自分で鍛えられる」「Let's Grow Your Brain」。著者は医師・医学博士。大脳機能生理学の専門家。

脳は他の臓器と違い、ダイナミックに自分で構造を作り変える臓器である。脳の中の神経細胞は、活動するときに酸素を消費する。その結果生じる低酸素状態が、その神経細胞の枝(神経線維)の成長を促す。その枝の成長が脳の成長であり、その枝振りの違いがその人の個性である。それはMRI画像ではっきりと見ることができるほどだ。つまり、脳のどの領域を使う(神経繊維が成長する)かによって、脳は変わる。自分で自分の脳をデザインし、育てる、そんな観点から見た、”仕事”とは。

目次とメモ。
序章  自分の脳は自分で創り上げる時代へ
第1章 脳が育つ仕組みを知ろう・・・枝を太くする。8つの脳番地。思考系、感情系、発話系、運動系、理解系、聴覚系、視覚系、記憶系。40歳を過ぎてこそ発達する脳番地がある。
第2章 仕事の「量」をアップする三つの能力を伸ばす・・・仕事を早くこなす能力、並列して複数の仕事ができる能力、疲労せず短時間の睡眠で足りる能力
第3章 仕事の「質」をアップする四つの能力を伸ばす・・・情報収集力、情報分析力、思考力、分析力
第4章 脳を伸ばす仕組みは日本的思考にあった・・・応用力、シタイ思考

今話題の脳関係本だしね、いい本なのですが、読んで面白い本を目指すのか、読んで役に立つ本を目指すのか。そこんトコの詰めが甘いと思います。

個人的には第1章が面白かったな。それと別の意味で第4章。人間、使うと伸びる使わないと錆びるってのは、日常生活で経験則としては知っていることだけど、それを神経線維の成長という具体的な現象として記述されるだけで、なんかこう、いろいろ違って感じられますよね。今オレは自分の”脳を育てている”のだ、という感覚。日常生活を、仕事を、ちょっと違う視点から眺めるっていうかさ。こういうの、好きなんですわ。この日常を生きていく助けになるよな。

で、第2章以降が、脳が育つ仕組みを応用して、仕事に必要な能力を伸ばす方法。基本的には8つの脳番地をどう使い分け、どうやって活性化させるか、という話になります。色々とかなり具体的なアドバイス、ノウハウが書いてある。個別の話にはなるほど、って思うんですが、なんとなく頭に残らない。

なんでかってーと、アドバイスの内容そのものにはあまりインパクトがない。いやインパクトがあるものもあるんだけど、詰め込みすぎです。玉石混交。もっと焦点を絞ってガツンと書かないとビジネス本としては迫力不足でょう。第2章~第3章はもっと絞ってコンパクトにしてしまって、第4章を膨らませた方がいいんじゃないかなー。

逆に第4章は生煮えですなあ。惜しい。なぜこれを”日本的思考”と呼ぶのか?”応用力”という用語の選択は適切か?”応用力”と”シタイ思考”の2つで”日本的思考”と呼ばれている思考の枠組みを網羅しているか?”応用力”と”シタイ思考”相互の関係は?等の詰めが甘い。だから第2章第3章に比べ、ボリュームもないし、ちょっと唐突な印象を受けます。惜しい。アドバイスとしては、第4章がもっとも興味深いのにねえ。うん。ここは読む価値あるかも。個人的には第1章と第4章をもっと煮詰めて膨らませたイメージの、次回作に期待したいと思います。

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2010年2月 3日 (水)

【書評】重力ピエロ 著者:伊坂幸太郎

重力ピエロ読了○。物語を語るのは泉水(いずみ)。泉水の弟の名は春(はる)。どちらも英語で言えばspring(スプリング)。名づけた両親は、兄弟の名前に何かの関係を持たせたかったのだろうと、兄である泉水は考える。そうする理由はある。泉水が語る、一家の歴史を含む、最近起こった私的な事件の顛末記。それは遺伝子と連続放火事件についての話で、せんじ詰めれば、弟の話になる・・・。

この作者の本を読むのは2冊目。1冊目はグラスホッパー(書評はこちら)。共通する独特の感覚がありますね。文体っていうか。通奏低音っていうか。その感覚、うまく言えませんが、ある種の”喪失感”、”欠落感”、ちょっと”すーすーする感じ”。或いは回顧、諦念、虚無。そういう、マイナス感情になりかねないヤバいものの上で、意思の力でもって、危うく立ってる。その感じが”せつない”。そういう感覚。これ、癖になる人は癖になるだろうなあ。ただストーリーを語るためのストーリーではない。そこに何かが”ある”。んで、この感覚は狙って作れるもんではないよな。体質ってゆーか。その人から滲み出るものだよね。そしてそれが、今の日本という時代に合ってるんだよなあ、きっと。その意味で、この人が読まれるのは良く分かる。

しかしいきなり遺伝子の話が出てきたときはびっくりした。ワシ、小説を読むときは、基本的に書評、あらすじ、解説の類は、極力読まないで読み始めるのね。先入観なしで読んだ方が楽しめるからさ。なんでびっくりしたかっていうと、ここんトコ読んでた本もそれ系が多かったわけじゃないですか。ピンカーとか、大腸菌とか。で、それとはまったく別系統のつもりで読み出した重力ピエロにもいきなり遺伝子。シンクロニシティだ・・・(笑)。

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