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2010年1月17日 (日)

【書評】心の仕組み~人間関係にどう関わるか(上) 著者:スティーブン・ピンカー

心の仕組み~人間関係にどう関わるか(上)読了◎。(このブログでは)おなじみの進化心理学者スティーブン・ピンカーによる、人間の心の仕組みについての本。心の仕組みは実はまだよく分かっていないが、ここ数年でかなりの部分で<謎>でなく<問題>のレベルに昇格した。心についての計算理論と、自己複製する生物についての自然淘汰理論の2つを用い、人間の思考や感情に関する最新の研究成果を紹介し、心の仕組みと、それが人間関係にどう関わるのかを概観する。(中巻の書評はこ ちら。下巻の書評はこちら。)

中身はこんな感じ。例によって”・・・”以降はワタシのメモ書きです。

第1章 心の構造-情報処理と自然淘汰
・ロボットを作るための課題・・・視覚、運動制御機能、常識(フレーム問題)。動機。
・精神活動を逆行分析する・・・心は複数の演算器官からなる系。狩猟採集生活向に。
・進化心理学の登場・・・認知科学革命(思考と感情を情報と演算活動で説明)と進化生物学(生命体の複雑な仕組みを自己複製過程における自然淘汰で説明)の合体。

第2章 思考機械-心を実感するために
・宇宙のどこかに知的生命体はいないのか・・・知能とは合理的なルールに則って意思決定することにより、障害を乗り越え目的を達成する能力。情報が知能を成立させる。
・自然演算・・・情報処理こそが脳の基本活動だという考え方。人工知能とは一線を画す。心的表象の形式とそれにアクセスするプロセスの形式、両方を発見する。4種類の表象形式=視覚イメージ、音韻表象、文法的表象、心的言語。
・反論に答える・・・身近な常識と難解な物理学による反論を論破。
・機械が肩代わり・・・推論のどこかの段階で体系はJust Do it!。神経回路へ。
・コネクトプラズム・・・どこで心的言語の規則と表象が終わり、神経回路が始まる?汎用ニューラルネットか構造化か。コネクトプラズムでは説明できない事象5つ。
・アラジンのランプ・・・意識の3つの意味、自己認識、情報へのアクセス、直覚。直覚とはなにかであること、なにかをすることが「どんな感じか」。

第3章 脳の進化-われら石器時代人
・賢くなる・・・器官は利点がコストを上回ったときに進化する、だけ。知能もまた。
・生命の設計者・・・ドーキンスの予言。この宇宙のどこであれ、生命体が発見されるとしたら、その生命体はダーウィン流の自然淘汰の産物であろう。
・盲目のプログラマー・・・情報処理能力の進化は、遺伝子の選択によって脳形成プロセスに変化が生じて起こる。遺伝子の選択は自然淘汰による。
・本能と知能・・・知能の階段を登るというイメージは間違っている。
・認知的ニッチ・・・人間が生息する生態学的ニッチ。汎用的知能を説明できる。因果関係に基づく推論の能力。
・なぜ認知的ニッチに入ったか・・・4つの特徴。視覚(3次元)、集団生活、手、狩猟。
・現在知られる石器時代人・・・人の進化史の再構築。生物進化と考古学的革命の一致。
・つぎは、どうなる・・・人間の心は家族が一生の99%を小集団の中で狩猟採集をしてすごす環境に適応している。人間は、自分や、自分の遺伝子にとって、何が適応的かを考えたりしない。遺伝子が、その遺伝子が選択されたときの環境に適応していた考え方や感情を人間に与えるのである。

言語学者としてのピンカーと進化心理学者としてのピンカーは表裏の関係。この本では、進化心理学者としてのピンカーが大活躍。いやホントに面白いなあ。

長年(長年!)もやもやと疑問に思っていた色んなことが、鮮やかに整理されていく快感と申しましょうか。散らかっていた概念がきれいに片付けられていく爽快感と申しましょうか。

ピンカーが偉いのは、若しくは凄いのは、ツールに対する目利き能力だな。あと例え話の能力。よく切れる、使い勝手のいいツールを選んでサクサク料理し、思わず頷く例え話に仕立てて給仕してくれる。プロの仕事ですなあ。さて中巻、下巻はどんな展開をみせるのか?楽しみー。

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