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2010年1月21日 (木)

【書評】ハサミを持って突っ走る 著者:オーガステン・バロウズ

ハサミを持って突っ走る読了○。ニューヨーク在住の作家オーガステン・バロウズの自伝的小説。オーガステン少年はぱりっとした白衣を身に着けた医者に憧れ、金属を磨いてピカピカにするのが唯一の趣味。家族は、アル中の大学教授(数学)の父親と、雑誌ニューヨーカーに自作が載ることを夢見ている少し頭のおかしい母親。父親と母親の関係は最悪で、殺し合いに発展しかねない。・・・やがて両親は離婚し、オーガステンは母親の掛かりつけの精神分析医フィンチ先生の家に半分預けられる形に。憧れの医者の家?とんでもない。フィンチ先生とその家族(妻と娘たちと預かっている患者たち)の住む家ときたら・・・。

危なそうな、刺激的なタイトルとカバーに惹かれて読み始めた。

全編に不思議なユーモアが漂う。ガチャガチャでドタバタで孤独で悲しい。やってるのがアメリカ人だから読めるけど、これ日本人だったらただただ悲惨な話になる気がするな。登場人物はみんなどこかオカシイ。病んでいる。ガチンコだ。こんなハードな環境の中で希望を失わず生きていくのは大変なことだな、ってつくづく思いながら読んだ。オレには出来そうもない。

前に家なき鳥の書評の中で、常識が全然違っている社会を舞台にした小説は下手なSFよりも面白い、って書いたけど、この「ハサミを持って突っ走る」もその口。アメリカってインドに比べてより日本に近い社会って感じがするけど、この本読むと、とんでもない、って思う。個々人の考え方、感じ方、関わり方、社会に流れる通奏低音が、日本とは全然違うんだな、って思う。よくも悪くも。

だいたい、カバーの作者紹介によると、この本、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに52週連続でランクインしたんだそうで。マジで???作者の、自分がゲイである ことのカミングアウトの話を始めとして、重い話題も一杯入ってます。こんな本が一年間もベストセラーとして売れ続けるなんて!日本では考えられないな。う ん。ニューヨークならでは、なんだろうなあ。アメリカ社会のある種の雰囲気を知る、って意味で、一読をお奨めします。

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