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2010年1月29日 (金)

【書評】大腸菌 ~進化のカギを握るミクロな生命体 著者:カール・ジンマー

大腸菌 ~進化のカギを握るミクロな生命体読了◎。原題は”MICROCOSM E.Coli and the New Science of Life”。直訳すると”小宇宙 E.コリと新しい生命科学”。E.コリ、とは、エシュリキア・コリ、即ち大腸菌のこと。地球上のあらゆる種の中でおそらくはもっとも徹底的に研究されている生物、E.コリ。本書は現代分子生物学の重要なパートナーであるE.コリを通して、現代分子生物学の歴史を辿り、生命の謎に迫る。ばかりでなく、進化について、生命の起源について、また、遺伝子操作の問題点と意味について、広汎に考察する、極めて上質な科学読本。

面白い面白い。E.コリも我々人間と同じようにセックスもするし病気にもなる。仲間とコミュニケーションをとりながら共同生活をする。等々のE.コリの生態に関する意外な事実。へえー、って感じで、好奇心に駆られてどんどん読み進まずにはいられない。

また、最近ピンカーの影響で”進化論”がマイブームなワタシですが、これは別の側面から”進化”について色々と教えてくれる本でもありました。E.コリは物凄いスピードで世代交代をするので、ダーウィンが夢に見ながら諦めた、”進化の様子を実際にこの目で見る”ことを可能にしてくれる。この本で紹介されている様々な実験とその結果を読んでいると、抽象的な観念であった”進化論”が、具体的な”事実”として迫ってくるような感覚を覚えますな。

「E.コリにあてはまることは、ゾウにもあてはまる!」。ノーベル賞受賞者ジャック・モノーの名セリフ、本書の中に何度も少しづつ形を変えながら、繰り返し繰り返し出てくる言葉です。その精緻なしくみと、それが生命一般の原則として通用することに驚嘆しますね。そしてそれが変異と自然淘汰によって組み立てられた、ということにも。それ以外にもオモロイ話題がてんこ盛り。水平遺伝子移動の話題とかね。

ええ本です。こういう、科学の最前線を、端折らず、分かり易く一般人向けに書く、って事に関しては、英米に一日の長があるよなあ。一読をお奨めします。

内容のメモ書き。ってゆーか目次。
1.生命の軌跡
2.E.コリにあてはまることは、ゾウにもあてはまる
3.細菌単体としてのシステム
4.自然界での社会生活
5.絶え間なく流れる生命の川
6.存続を賭けての戦略
7.進化のスピード
8.オープンソースの遺伝子マーケット
9.生命の起源にさかのぼる
10.生命を人工設計する
11.さて、地球外の生命は?

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コメント

こんにちは。
『大腸菌』、楽しく読んでいただけたようで、編集に携わったものとしてはたいへん嬉しいです!!

私自身、本書の原稿を読んだとき、「大腸菌って、こんなに豊かな生活を送ってるんだ!」とびっくりすることばかりでした。
「こんなに面白いヤツが身近にいるってなんか愉快だよね」などと感じてもらえるといいな…と思いながら作った本ですので、すてきなご紹介文を、ほんとうにありがとうございました。

いちSF好きとして、個人的に気にいっているのは最終章の宇宙と大腸菌の話です。
火星の上で飄々としているE・コリの図に、胸にぐっとくるものが……(笑
まじめだけどロマンチックな著者の人柄がよくあらわれている箇所だと思います。

これからも翻訳書ならではの「最前線だけど面白い」ポピュラー・サイエンス書を出していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

投稿: 通りすがりの編集者 | 2010年2月 2日 (火) 17時53分

こんちは。
編集さんですか!
うん。サイエンス本らしくない、カラフルな表紙といい、「大腸菌」いい仕事してますねえ。羨ましいです。
こうして書評にコメントが貰えると、なにやら嬉しいものですね。ありがとうございます。
ではでは。

投稿: toppo | 2010年2月 2日 (火) 19時36分

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