« 【書評】言語を生みだす本能 著者:スティーブン・ピンカー | トップページ | 【書評】吉本隆明 自著を語る 著者:吉本隆明、渋谷陽一 »

2009年12月20日 (日)

【書評】この一秒-極限を超えた十人の物語 著者:畠山直毅

この一秒読了◎。副題は”極限を超えた十人の物語”。この一秒。人生の中にある、ある日ある時ある場所での忘れえぬ瞬間。個性ある十人の人物に取材し、日常の臨界点とも言うべきその瞬間を切り取り、膨らませた、ノンフィクション・ノベル。

アメリカのタイム誌の特集”20世紀、最も影響力のあったアジアの20人”に選ばれたカラオケの発明者井上大佑は、甲子園でラムネを売る父を覚えている「浪速デン助ブルース」。深浦高校野球部監督工藤慶憲は93対0で迎えた5回裏、試合放棄を決意するが「93点目の奇跡」。名古屋刑務所看守の板津秀雄はその朝「看守と十三階段」。映画評論家江戸木純はシンガポールのリトル・インディア(インド人街)のビデオショップで一本のビデオテープを手渡され「踊り続けたマハラジャ」。元極道のボクサー大嶋宏成は独房の中で今まで感じたことのない恐怖に出会ったことが「独房のシャドウボクシング」。北海道の田舎から裸一貫で上京し、アルバイトの収入だけで新宿の居酒屋王まで上り詰めた男太田篤哉「新宿ナポレオン」。競艇のA級レーサー足立保孝は勝てないまま76回目の優勝戦を迎え「ひとりだけの竜神祭」。93歳の農学者遠山正瑛は、100年で中央アジアの砂漠を緑に変えるつもりだ「ゴビの魔法使い」。4点リードされての最終回、ツーアウト満塁で、大田原小6年の小林千紘は代打に指名され「平成・野球狂の詩」。1987年5月3日午後8時15分朝日新聞阪神支局「凶弾の残像」。10篇を収める。

面白いです。不揃いな人物選択、ルポのような小説のような曖昧な文体、一貫しているんだかしていないだか微妙なテーマ。普段だったらスルーするタイプの本なのですが、なんとなく引っ掛かって読んでみて、当たりでした。実は「ゴビの魔法使い」では不覚にも泣いてしまいました。いやお恥ずかしい。

ええ本です。一読をお奨めします。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  →ポチっとクリックしていただけると大変ありがたいです。
にほんブログ村

|

« 【書評】言語を生みだす本能 著者:スティーブン・ピンカー | トップページ | 【書評】吉本隆明 自著を語る 著者:吉本隆明、渋谷陽一 »

150 ノンフィクション」カテゴリの記事

コメント

ブログを読ませていただきありがとうございます。
来年も良い年になりますように。

投稿: 出会いの卵 | 2009年12月23日 (水) 15時24分

コメントありがとうございます。
うれしいな。コメント貰うとね、書く甲斐ってものがありますな。来年もがんがん読んでがんがん書き殴りたいと。ボコボコ。

投稿: toppo | 2009年12月23日 (水) 17時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【書評】この一秒-極限を超えた十人の物語 著者:畠山直毅:

« 【書評】言語を生みだす本能 著者:スティーブン・ピンカー | トップページ | 【書評】吉本隆明 自著を語る 著者:吉本隆明、渋谷陽一 »