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2009年12月27日 (日)

【書評】くちなわ坂 著者:東郷隆

くちなわ坂読了○。とげ抜き万吉捕物控シリーズ第3作。幕末の江戸を舞台とする芝神明町の万吉親分の活躍を描く。”はいだしの金太”と呼ばれる老人が殺された。品川の小強請の達人として知られた鼻つまみ者の意外な過去とは「くちなわ坂」。幕府の新式軍の洋式調練は江戸っ子には評判が悪い。調練指図役の中根六兵衛は一計を案じたが、それが思わぬ波紋を呼び「野ざらしの差物」。幕末の江戸でうさぎの飼育が投機として大いに流行ったという。旗本土井利与は御猫稲荷の霊験で「うさぎと猫」。慶応元年、押借強盗の青木党は捕縛された。6万両はあると言われる隠し金を見つけるためにお上は「茨木の腕」。中篇4篇を収める。

ミステリ、或いは小説としての面白さ、って意味ではあんまりお奨めしません。想像ですが、これ、幕末から明治にかけての記録文書を解読してネタにしてますよね。実際にあった事件、実際に存在した人物。そういう元ネタがあり、それを補い、膨らませて一篇に仕上げる、みたいな。だからプロット自体はちょっと物足りないんですな。

じゃなんで読むのかってーと、江戸時代の習俗とか社会の仕組み、しきたりとかがリアルに書かれている、そこが面白い。目明し、御用聞きの社会的な身分、幕府との関係、とかがちゃんと調べられた上で書かれている。食べ物、移動の方法、住まい、職業とかもね。この第3作では、加えて幕末の江戸市中の騒然とした感じが背景に描かれていて、そこもとても興味深いですね。抽象的な時代劇、抽象的な江戸時代、でなく、慶応XX年の江戸市中という切り取り方。

こういう、庶民の生活に注目しつつ、歴史上の事件が背景として見え隠れするつくりの時代物って、割と最近(ここ10年くらい?)の傾向かな?

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