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2009年12月17日 (木)

【書評】ペルディード・ストリート・ステーション 著者:チャイナ・ミエヴィル

ペルディード・ストリート・ステーション読了◎。舞台は異世界、バス=ラグ。人間と共に、ケプリ(甲虫人間、体が女性で頭部が甲虫)や、ヴォジャノーイ(両生類人、水かきのある大きな手とカエルのような脚)や、カクタシー(サボテン人間)や、ワイルマン(短躯、蝙蝠の翼に太い腕、知能は犬よりはまし)、等々の異種族が交じり合って暮らす世界。エンジンや解析計算機が蒸気機関で駆動され、魔術学が理論的な裏づけを持って実用に供される世界。

異世界バス=ラグにおいて最大の勢力を誇る都市国家、ニュー・クロブゾン。その中心にはペルディード・ストリート・ステーションの高い塔がそびえ立つ。科学者であるアイザック(人間)は恋人のリン(ケプリ)と一緒に暮らし、統一場理論の研究を続けている。そんなアイザックを、ガルーダ(鳥人間)のヤガレクが訪れる。ヤガレクの羽は根元から切り取られていた。彼の望みは再び空を飛べるようになること。ヤガレクの依頼を受けて、アイザックは”飛行”の研究を始め、様々な”飛ぶ生き物”を収集する。その中のひとつ、闇の仲買人から手に入れた謎の幼虫は、幻覚ドラッグ”ドリームシット”を食べ、驚くべき速さで成長し、巨大な繭を作った。そして繭を切り裂いて出て来たのは、知的生物の精神活動を貪欲に食べ尽くす、スクレイ・モスだった。幼虫を羽化させたことで、アイザックは、政府と暗黒街の黒幕の両方から追われる立場となってしまった・・・。

二段組651頁(本文)の分厚い本で、迫力十分。これでもか、ってくらいしつこく、この世界が描写されてて、あたま、くらくらします。いやー、面白い。久しぶりに小説世界にどっぷり浸かる感じを堪能しました。いい。今年のベスト1かも。(ミレニアムよりも?そうだ。そのとおりだ。やっぱオレはミステリよりSFの方が好きだ。)

何がすごいってね。現実以上に現実的なんです。ちゃんとハラハラドキドキする。続きを読みたくて堪らなくなる。にもかかわらず、物語だからっていう甘えがない。甘さがない。予定調和な安心感がない。とても痛い。とても酷い。とても悲しい。こんだけ非現実的なのに。こんだけぶっ飛んでるのに。とてもリアル。読んでて、そこに居るのは生身の人間で、描かれているのは現実の断片なんだ、って強く思うんです。これ、すげー。

うーむ、すげえ。私の今までの読書体験にはあまりなかったタイプ。もっと読みたい。もっと浸かりたい。バス=ラグを舞台としたシリーズはあと2作出ていますが、邦訳はまだのようです。うう。焦れる。

誰にでもは、奨めらんないな。これ、読めない人は読めないと思う、きっと。ウチのヨメさんとかね。絶対、読めないだろーなー。ああー。でも奨めてしまう。奨めたい。うん。どうしても。ってわけで、一読をお奨めします。

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