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2009年12月 5日 (土)

【書評】ザ・パニック 1907年金融恐慌の真相 著者:ロバート・F・ブルナー、ショーン・D・カー

ザ・パニック読了○。副題は「1907年金融恐慌の真相」。2007年のサブプライム危機から遡ることちょうど100年、1907年秋、取り付け騒ぎに騒然とするウォール街を救ったのはJ・ピアポント・モルガンだった・・・。ニューヨークの名門、ニッカーボッカー信託会社の社長チャールズ・T・バーニーの自殺の描写から幕があがる。

ニューディール政策で有名な1929年の、でなく、1907年の金融恐慌、ってトコがミソ。グリーンスパンの「100年に一度の大津波」ってのはもしかしてこの1907年の金融恐慌を念頭に置いての台詞なんですね?なるほど。

丹念に資料をあたり、前後数年の経済統計を示して、1907年の金融恐慌が起こるに至った歴史的・社会的な背景を説明する。そして、いかにしてひとつのひとつの金融機関への取り付け騒ぎが別の金融機関へ飛び火し、金融システム全体を揺るがす事態へと発展していったのか、核心の数日間の動きを克明に追っていく。さらにそれらを踏まえて、100年後の出来事であるサブプライム危機について考察する。

数年、数日間、100年後。3つの時間軸なわけです。目の付け所がいいって思うよね。ところが、これほどの素材を扱った本にしては意外なほど地味です。いかにも学者の書いた本って感じで、出典を明記し、経済統計を引用し、事実のみを記し、憶測や想像や感情は一切交えない。うーん。それはそれで立派だとは思いますが、ちょーっともったいないなー、って思っちゃう。中心部分である核心の数日間の記述に関しては、小説家との共著にしてドラマ仕立てにしたりとか、そーゆー工夫をしたらもっとこう、一般受けする本になったような気がするが。ってのは不謹慎ですかねえ?

パーフェクトストームの7つの要素。2007年。
1.急速な経済成長・・・新興国の急成長、米国資本市場飽和で低金利、投機の発生
2.複雑性・・・証券イノベーション、複雑性の増大による非対称性の拡大
3.不十分な資本バッファー・・・自己資本ルールの一時的停止(2004)、レバレッジ
4.危機を煽るリーダー・・・FRB、FNMA、FHLMC、銀行、投資銀行、SEC
5.実体経済の危機・・・住宅価格の下落、ABX・HEインデックス
6.市場心理の変化・・・リスクプレミアムの急上昇、TEDスプレッド
7.集団行動の効果・・・流動性の注入、透明性を高める、信頼を取り戻す

ついでだが、訳者あとがきが面白かった。本書から推測できる予測として”世界銀行の設立”と”新しい主力産業の誕生”が挙げられている。それ自体には意外性はないかもしれないが、1907年との対比で見ると、確かに説得力があるって思う。ってことは、さて・・・。

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