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2009年11月21日 (土)

【書評】脳のなかの倫理-脳倫理学序説 著者:マイケル・S・ガザニガ

脳のなかの倫理-脳倫理学序説読了○。原題は「The Ethical Brain」。著者は認知神経科学界の大御所。脳神経倫理学とは「人間の脳を治療することや、脳を強化することの是非、脳研究の成果を応用することの是非、を論じる哲学の一分野」と定義されていたが、著者はもっと広く、「病気、正常、死、生活習慣、生活哲学といった、人々の幸福や健康にかかわる問題を、土台となる脳メカニズムについての知識に基づいて考察する分野」と定義しなおす。

扱われるテーマは幅広いです。目次を見るとわかりますね。「・・・」以下はワシの一言コメントです。

第1部 脳神経科学から見た生命倫理
1章 胚はいつから人になるのか・・・受精後15日目、神経系を作るプロセスが始まる。
2章 老いゆく脳・・・認知症の患者はその事実の自覚がない。意識の終焉はいつか。
第2部 脳の強化
3章 よりよい脳は遺伝子から・・・遺伝子選別はどこまで許されるのか。
4章 脳を鍛える・・・能力強化剤の是非。
5章 脳を薬で賢くする・・・スマートドラッグの是非。
第3部 自由意志、責任能力、司法
6章 私の脳がやらせたのだ・・・それをしたのは私なのか?私の脳なのか?
7章 反社会的な思想とプライバシーの権利・・・脳内嘘発見器の可能性。ディック。
8章 脳には正確な自伝が書けない・・・記憶が不完全であることの意味。解釈装置。
第4部 道徳的な信念と人類共通の倫理
9章 信じたがる脳・・・人間は信念を形成する装置である。
10章 人類共通の倫理に向けて・・・道徳は集団の生存にかかわる。

いろんな問題を、脳倫理学という新しいナイフで切っていく。これまで見ていたのとは違った切り口が見える。面白い。でも、それで人生観がガラっと変わったりはしない。急に今までと違う行動をとるようになるわけではない。んー。なんて言うんだろう、ここに書いてあることは所詮”知識”でしかないのさ、所詮これは”本”なんだよ、っていう感じがつきまとう。それはもう、9章に書いてある、「人間は信念を形成しそれに従って生きている、そして信念は体験から生まれる(Bookishな知識でなく)」っていう、そゆことか。

入れ子になった、それを含めて色々考えさせられる本でした。脳がらみ、倫理がらみの問題点を網羅的に拾ってるしね、この辺の問題に関する、頭を整理するレファレンスとして、いいかもしんない。

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