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2009年11月30日 (月)

【書評】経済の本質-自然から学ぶ 著者:ジェイン・ジェイコブズ

経済の本質-自然から学ぶ読了○。原題は”The Nature Of Economies”。元編集者のアームブラスター、その妻で元生物学者のケイト、アームブラスターの姪で環境問題専門の弁護士ホーテンス、その新しい彼氏でエコロジストのハイラム、4人の対話の形を取って、”経済の本質”についてを考察する。主にハイラムがエコロジー的観点から見た経済についての新説を披露し、アームブラスターが批判する、ホーテンスとケイトが援護する、って流れで対話が進んでいく。

小説仕立ての4人の会話でなく、もっと普通の文章で書いてもらったほうが分かり易かったんじゃないかなー。何より「何を論じているのか」「何のために論じているのか」がはっきりと見えてこないもどかしさを感じます。訳文がこなれてないのもあって、決して読みやすい本とはいえない。と、本のせいにしてますが、もしかしたら読んでるワシの素養の問題って可能性もある。経済学に関しては基礎的な素養が足りないからなあ。

ま、それを承知で敢えて乱暴に要約すると、「経済も自然現象の一つだ」、ってのがこの本の主張。ってことは、これまでは経済は何だと思われていたのか?人間の創った制度、かな。経済物理学にしろ、行動経済学にしろ、従来の経済学への反省っていろんな形で出てきていますよね。それは新しい観察方法であったり、新しい要素の付加であったり、従来の仮定の修正であったり、しますが、経済を、”単純化したモデル”で表現することが出来ると仮定するという基本は共通する。ここは揺らいでない。ところがこの本は、経済も自然現象と同じようにフラクタルで複雑なもので、単純化したモデルで表現することは難しい(バタフライ効果を生むからね)、という立場を取る。

面白くはあるのですが、ある意味、これ、役に立てる、という立場の放棄に見えますね?そうなると、じゃ何のために経済学はあるのか、って話になる。予測が出来ないのでは。操作が出来ないのでは。それは、その振る舞い・性質を観察し、その複雑さを壊さないように注意する。湿原を保護するように。熱帯雨林を破壊から守るように。ってことになる。それはそれであり・・・か?

どーなんでしょうか。個人的には面白いっちゃー面白いんですけど。いいのかおい、とも思うな。いやべつにアダムスミスに義理はないんだけどね。これ、もちっと勉強しないと真贋判定できませんな。

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2009年11月28日 (土)

【書評】トルコで私も考えた2 著者:高橋由佳利

トルコで私も考えた2読了○。高橋由佳利といえば、”りぼん”の看板漫画家だったあの高橋由佳利?そうです。あの高橋由佳利先生です。ってゆーか、”りぼん”云々はわれわれ40代おたくには常識ですが(いやそうでもないか?)、今や本作”トルコで私も考えた”の方が代表作かも。

旅行で訪れたトルコが肌に合い、長期滞在してトルコの変なトコ、面白いトコを紹介するうちに、とうとうトルコ人の男性と結婚し、向こうに住み始めた著者。第2巻では出産のため関西の実家へ。子供が産まれます。

エッセイマンガとゆーか、身辺雑記マンガとゆーか、旅行記マンガとゆーか、国際結婚ネタマンガとゆーか、ジャンルとしてはそういう、ストーリーマンガでない、日記マンガ的なトコに分類されるんだと思いますが、完成度の高さはピカ一です。さすが。

ダンナであるトルコ人T君とのなれそめのエピソードとかは殆ど出てこない。サラっと流す。そして日常生活の”トルコ的”側面が露わになるアクシデントの報告が、面白いんだよなー。

対象に対する距離のとり方が絶妙なんですよ。ちょーっと天然の入った作者のキャラと、みみょーに人懐っこいトルコ人のキャラが織り成す、変なエピソードの数々。トルコの習俗、習慣、常識、等々のご紹介。日本とのあまりの違いに仰天しつつ、でも何故か懐かしい感じもするんだよね。トルコの紹介本としてはこれ以上ない、って感じ。好感度120%。実際この本読むとトルコに行ってみたくなるよなー。いつ行こうか。やっぱ定年後?気が遠くなるな。ってゆーかトルコも変わってってるから、それじゃ間に合わない?

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【書評】「ツイッター」でビジネスが変わる! 著者:ジョエル・コム

「ツイッター」でビジネスが変わる!読了○。原題は”Twitter Power”。カバーのアオリ文句は”グーグルを超える情報革命”、カバー折り返しにあるアオリ文句は”人々のコミュニケーションはエジソンの「電話」から「eメール」、そして21世紀「ツイッター」にたどりついた!!”って、アンタ、そりゃいくらなんでも無理があるんちゃうかな?

著者のジョエル・コムはオンラインマーケティングの専門家。1990年代後半からネットビジネスに携わり、数々のウェブサイトやオンラインコミュニティを運用してきたそうです。本書ではその経験を生かし、ツイッターの使い方とビジネスに生かすための様々なノウハウについて語っています。

例によって目次の紹介。”・・・”以下はワシの要約あるいはコメントです。

序章 ツイッターで何ができるのか ・・・人と関係を結ぶ、意見の交換、会話を通じて
第1章 ソーシャルメディアによる情報革命・・・ツイッター登場までの歴史
第2章 ツイッターが成功した理由・・・双方向のコミュニケーションツール、ユーザー数
第3章 ツイッターの正しい始め方・・・名前、魅力的なプロフィール、背景画像
第4章 フォロワーを増やす秘訣・・・影響力を持つ人々とつきあう、専門家として
第5章 よいつぶやきを書くための基本ルール・・・7つのつぶやきパターン、放送と会話
第6章 ツイッターをビジネスに活用する・・・顧客とつながる3つの方法
第7章 ツイッターでブランドを構築する・・・人間味を出す、物語、コミュニティ

日本語版はやたら”ビジネスに生かす”ってー切り口を前面に押し出してますけど(タイトルとか帯のアオリ文句とか)、原題にはBusinessって単語は入ってないよな。内容的にもこの本の価値は第3章、第4章、第5章にあり、こう言っちゃなんだが、第6章、第7章はおまけ若しくはつけたしに見えるけどな。うん。3、4、5章は読む価値ありです。参考になる。

ワシ、ツイッターのアカウント、ちょっと前に開いてはいるんだが、使い方が良くわかんなくって、ほったらかしになっていました。3、4、5章読んで、なんとなくイメージが掴めた気がする。ちょっとやりなおしてみたいと思います。

アメリカと日本の違い(サービスの違い、ユーザーの違い、etc)も気になるところ。一応、”訳者あとがき”を30ページ近く取って、その中で日本の事情、状況等をフォローしているのは良心的だとは思いますが、日本のツイッターがどう発展していくかはまだ未知数なんではないかしらん?ってのはへそ曲がりな見方ですかね?

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【書評】よつばと!9 著者:あずまきよひこ

よつばと!9読了◎。よつばと!の第9巻。日本にはもうあんまりいないとは思うが、知らない人、読んでない人のために念のために説明しておくと、むちゃくちゃ元気のいい、無敵の5歳児”こいわいよつば”(おんなのこ)の日常生活を描いたマンガです。

第56話 よつばとよてい
第57話 よつばとジュラルミン
第58話 よつばとコーヒー
第59話 よつばとやきにく
第60話 よつばとらいきゃく
第61話 よつばとききゅう
第62話 よつばとそら 

全7話を収める。

おなじみ、よつばと!の9巻が出た!11月27日発売!ってんで会社の帰りに本屋に寄って、買おうとしたらレジの前で虫が知らせた。ケータイで家に電話し たら上の息子が出て、オレ「よつばと!の9巻買った?」息子「買った」という(オタク)親子の会話があり、寸前でダブって買わずにすんだ。よかったよかった。しかし 発売日に速攻で買うなんざ、受験生(大学受験)とは思えんな。大丈夫なのかおい?

9巻、季節は秋。相変わらず絶好調のよつばだー。いいねえ。ホント、よつばと!読んでると幸せな気持ちになれるなー。とーちゃんのキャラが好きだ。ウチの子供達も繰り返し繰り返し読んでまーた”よつばとごっこ”でもして遊ぶんですかねー?平和だ。受験生なのにねえ(しつこい)。

自在のカメラワーク、リアルでありながらかわいいという独特の絵柄、個性的な登場人物、奇妙な”間” と”呼吸”のユーモア、日常の中にある新鮮な驚きの発見。実はこれ、マンガの新しい可能性を開いた、後世に残る名作だと思います。何度でも繰り返し繰り返し読みたくなる不思議な魅力に溢れています。未読の方、是非是非一読をお奨めします。

<追記>
さっき、家族4人で晩御飯食べたんですが。案の定、よつばネタのオンパレードでした。いきなり「んじゃおつかれー」「乾杯の音頭は** (下の息子の名前)さんにおねがいします」(下の息子立って)「はっけよーい・・・」(!)「のこった!!」から始まって、ね・・・。平和だ。受験生・・・なのか、ホントに?

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2009年11月27日 (金)

【書評】ビット・トレーダー 著者:樹林伸

ビット・トレーダー読了○。主人公の矢部恭一は外車ディーラーに勤めるサラリーマン。事故で息子を喪い、家庭は荒れている。外回りと称して隠れ家のマンションでデイトレードに精を出す。やばい筋の友人に連れられ訪れた地下オークションで、ナカムラと名乗る男に声を掛けられる。彼の経営するある新進の上場企業は、実は近々倒産するのだといい、恭一にある取引を持ちかける・・・。

偏見ですが、経済ネタの小説はつまんないことが多い。具体的に名前は挙げませんが、小説としてはちょっと、ってのが堂々と本になったりしてることがある。じゃなんで読むんだ、って言われると、たまに面白いのがあるから、ではあるんですが。

で、これはどうだったか、というと。アタリでした。面白かったっす。ちゃんと伏線を張り、ちゃんと回収する。複数の事件が交錯しつつ、落ち着くところに落ち着く。きちんとカタルシスがある。一種のドンデンも用意してある。舞台となる株の信用取引についての説明も、わかりやすく、くどすぎず、テンポよくこなしていきます。

登場人物は紋切っちゃー紋切だけど、思ったよりも立体的です。ありがちなステレオタイプになりそうで意外とそうでもないってゆーか。基本的にこの作者は”いいひと”なんだよね。いや別に悪い意味でなく。世界観の根底にある善意ってゆーか。普通はもっとエゲツナイ話になるよ、これ。ちゃんとした(しすぎた)プロットの件とも併せて、それを物足りないと思うか、安心して読める、て思うか。意見が割れるトコかも。普段のワシは物足りないって思ったかもしれないな。主人公の愛人、理香子のキャラが良かったんだな。最初はただの飾りかと思ったけど、生臭くなく、適度に人間臭く、根が善人で、一種の救いにはなってますね。・・・ホメ過ぎか?

ってわけで、冒頭暗い立ち上がりで、読むのやめようかって思ったんですけど、読後感は悪くありません。

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2009年11月25日 (水)

【書評】プログラミングのセオリー 著者:矢沢久雄

プログラミングのセオリー読了○。副題は「プログラムの価値を高める”定石”を学ぶ」。著者はプロのプログラマで、パッケージソフトの開発に従事する傍ら、執筆活動と講演活動も精力的にこなす、自称”ソフトウエア芸人”。著者が20年に亘る現場での経験から見出した代表的なセオリーを紹介する。

ええっと。わたしなんかがこの本の書評を書くってのは間違ってるんですが。書く資格がないんだ、ホントは。この本が対象としているのは、例えばCの基本的な文法は当然マスターしていて、仕事でプログラムを書いていて、もっとうまくなりたいと思っている、っていうようなレベルの人なんだと思うんですよ。その基準から言うとワシが書くのはおこがましいんですけど、ごめん、読んだら書くってのがルールだから。

ワシのレベルを白状しておくと、Cはむかーし通り一遍の勉強はしたけど実用レベルのプログラムは書いたことはない。アセンブラは遊びですこし齧った程度、LISPは一通りやったが、モノになったかというと、なってない。FORTRANとかPL/IとかBASICとかは大学で触ったけど、まあどおでもいい。ってわけで、つくづく書く資格はない。

でもま、それを承知で書くと、こんなレベルの私でも読めてしまう平易な文章、平易な内容です。電車の中でも読めちゃう。一見、厚みのある本ですが、あっという間に読めちゃう。あ。ソースコードを丹念に読んでいくともっと時間が掛かるんだろうな。とりあえず今回はソースコードは斜め読み。んで、意外と、役に立ちました。なんつーか、”基礎の基礎の常識”を教えてくれる本って、好きなんですよ。特にCはその自由度の高さが私には不安なので、こういう”作法”とか”規範”を論じてくれる本は助かる。

X68以来だから20年ぶり?まだちょっと迷ってるトコあるんですけど。いろいろありまして、趣味のプログラミングを再開の予定です。ああ。またあの世界に足を踏み入れるのかなあ・・・。ううむ。今更、って気がしなくもないが・・・。

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2009年11月23日 (月)

【書評】失われゆく鮨をもとめて 著者:一志治夫

失われゆく鮨をもとめて読了○。著者はノンフィクションライターで、年に50回は鮨屋の暖簾をくぐるという鮨好き。知り合いに紹介され”目黒の店”に出会い、衝撃を受ける。以来目黒に通い詰め、親方、佐藤衛司の鮨に対する情熱に感化され、親方と一緒に理想の鮨ダネを求めて、各地の漁港を取材して廻ることに。取材の過程で明らかになる日本の海の現状。それは即ち失われゆく鮨を見つめる旅である・・・。

鮨、好きなんですぅー。んでもってこの本に出てくる鮨とつまみが、またなんともうまそうなんだよー。なまつばをのみながら読了。ううーむ。これは一度行ってみなければなるまい。本の中では単に”目黒”、”目黒の店”としか書かれておらず、店の名前は伏せてある。一般に知られて人が押しかけると困る、って感じがひしひしと。でも、ネットで調べれば多分、なんとかなるんじゃないかなー。

ってんで調べました。うん、ここですね。間違いない。恐るべしインターネット。

ひとり2万、ってトコですな。おおう。我が家の経済状態ではそうそうお気軽に行くわけにはいかないけど、でも5万とか10万じゃない世界だ。よおし。頑張って稼ぎましょ。

鮨屋の紹介本としてみた場合、完璧です。この本読んだらそりゃだれでもこの店に行きたくなると思いますよ。単においしいって話じゃなくて、その歴史、その情熱、その人柄。こ、これは一度行ってみなければ、って真剣にあせった。逆にノンフィクション或いはルポルタージュとしてみた場合、ちょーっとピントが甘い感じは否めない。でも、ね。これはわざとだろうな、って思いました。ここでガチガチ硬派な告発やってもしかたない、ってゆーか。そんなもの誰も読まないってゆーか。ある意味、この店に行きたくなるように仕向ければ、そこから意識は変わっていく、的な深謀遠慮のもとに、鮨屋の紹介を前面に出しルポを背景に持ってきた、と。どうなんでしょ?

あるいは。東京湾の”赤貝”、鹿嶋の”蛤”、姿を消しつつあるものはたくさんあるけど、その筆頭はこんな気質の”人間”です、ってことですか。うんうん。

とにかく一回行ってみないとな。うちのヨメさんとな。ううむ。このブログがグルメ食べ歩きブログに進化する日は近い・・・(のか?)。

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【書評】あったまる禅語 著者:渡会正純=文、石飛博光=書

あったまる禅語読了○。著者は大本山総持寺祖院副寺。って言われてもなんのことだか。ま、曹洞系の禅宗のお坊さんですね。禅の教えを簡潔に凝縮した「禅語」をひとつのエッセイでひとつ取り上げ、現代を生きる私たちに何を指し示してくれているかを、日常生活の具体的なエピソードを交えて述べる、とは著者の弁。

取り上げられている言葉は41個。1エッセイがそれぞれ見開き2頁から2頁半という構成になっています。”愛語”から始まって”学道はすべからく吾我をはなるべし”まで、こんなかんじ↓です。

第1章 もっと心地よい人間関係を:愛語、無私、以心伝心、一箇半箇、南山に鼓を打てば北山に舞う、清風、規矩行い尽くすべからず、福受け尽くすべからず、好語説き尽くすべからず、潜行密用は愚のごとく魯のごとし、和、喜心、老心、大心、利行は一法なり、子生まれて母危うし。

第2章 心静かに、もっと自由に:放てば手にみてり、禅、静、八風吹けども動ぜず、天真に任す、無、風疎竹に来る風過ぎて竹に声を留めず、古人曰く聞くべし見るべし、聞くままにまた心なき身にしあればおのれなりけり軒の玉水、空手、徳。

第3章 勇気と元気がわいてくる:仏々祖々皆本は凡夫なり、悉有仏性、露堂々、本来の面目、不退転、常に独り行く、学道の人は人情をすつべきなり、水至れば渠成る、人間至る所青山有り。

第4章 毎日心がけると、いいことが:塼を磨いて鏡となす、行住坐臥、作法即仏法、形直ければ影端し、而今、山花開いて錦に似たり澗水湛えて藍の如し、学道の人衣食を貪ることなかれ、学人は必ずしも死ぬべきことを思うべし、人は必ず陰徳を修すべし、仏法のためには身命を惜しむことなかれ、年年歳歳花相似たり年年歳歳人同じからず、喫茶喫飯時に随って過ぐ、菜根滋味多し、玄関、徳を積み祥を致す、精進、心恒に清し、古を稽えて今に照らす、一色の弁道、学道はすべからく吾我をはなるべし。

え?これ禅語なの?ってのも入ってる気がしますが、それはオレがものを知らないだけかもしんないんで、深くはつっこまない。だめだ。右から左へ抜けていってしまう。まあこれ読んだだけで悟れるわきゃないんで、ちょっとした薀蓄ネタくらいに考えて読むってんでいいんじゃないすか?

何で禅?実をゆーと、ワシ、大学の頃、座禅部に所属していたんですよ。宗教色なし、純粋にメディテーションとして禅をトレーニングする、っていう変わったクラブだったんですが。根が真面目なもんで、毎週ちゃんと座禅やってました。思い返せば悟りたい一心だったんだよなー。んで、なんで悟りたかったかと言うと、楽になりたかったんだよね。この肥大した自意識の堂々巡りから抜けたかった、と。悟って楽になるっていう発想が既にちょっとズレてるんだけど、当時は大真面目だったもんね。いやお恥ずかしい。

ってことで、今でも禅関係の本はなんとなく手にとってしまう。あ。ブログタイトルもあれだ、その残滓か。自分じゃ気づかなかったな。だいたいなんでこれ、アスコム(アスキーコミュニケーションズ)から出てんの?禅とコンピュータ。いやそれ、ワシ好きだけどさ。もちっと哲学寄りに料理して欲しいトコです。ってのも不純だ。すんません。

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2009年11月22日 (日)

【書評】風の中のマリア 著者:百田尚樹

風の中のマリア読了○。主人公の”マリア”は、オオスズメバチのワーカーである。女王バチであるアストリッドの巣に属している。300頭近くのワーカーを擁する巨大な帝国だ。季節は秋のはじめ頃。マリアは獲物を狩り、巣で待つ幼虫の妹達にせっせと運ぶ。最強の戦士、疾風のマリア。しかし秋の深まりと共に帝国に変化が訪れる・・・。

和名オオスズメバチ、学名Vespa mandariniaヴェスパ・マンダリニア、世界最大のハチ。性格は獰猛で攻撃力も攻撃性もきわめて高い。その毒針は大型の哺乳類すら死に至らしめることがある。日本では熊害よりも蛇の咬害よりもスズメバチの刺害による死者のほうが圧倒的に多いそうで。そういう意味では日本で最も危険な野生動物だとか。

ってわけで、これ、一応カテゴリー110小説ってことになってますけど、所謂”小説”ではないよね。じゃあ何?って言われると説明しづらいけど。擬人化された登場人物(人物じゃないが)がいろいろ考えたり行動したりしますが、この本が目指しているのは科学的に正確な情報の伝達或いは事実の描写なんですよね。オオスズメバチの興味深い生態を、わかりやすく伝えるための手段として、小説という体裁を取った、ってことで。その意味では科学読本みたいな性格が強い。

小学生だか中学生だかの間で人気だと聞きました。図書館でも数十人待ちだったし。確かに面白いです。オオスズメバチの性決定システムのはなしも、姉から見た妹のゲノム共有率のはなしも、ニホンミツバチとセイヨウミツバチとオオスズメバチの三角関係のはなしも。それから、峰球のはなしも、女王バチ殺しのはなしも、集団攻撃のはなしも。とにかく”良く出来ている”。理にかなっている。こういうの、好きですよ。オレ、性格的にね。

自然ってすごいなあ、っていう感動、そういうのが好きな方、一読をお奨めします。

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2009年11月21日 (土)

【書評】脳のなかの倫理-脳倫理学序説 著者:マイケル・S・ガザニガ

脳のなかの倫理-脳倫理学序説読了○。原題は「The Ethical Brain」。著者は認知神経科学界の大御所。脳神経倫理学とは「人間の脳を治療することや、脳を強化することの是非、脳研究の成果を応用することの是非、を論じる哲学の一分野」と定義されていたが、著者はもっと広く、「病気、正常、死、生活習慣、生活哲学といった、人々の幸福や健康にかかわる問題を、土台となる脳メカニズムについての知識に基づいて考察する分野」と定義しなおす。

扱われるテーマは幅広いです。目次を見るとわかりますね。「・・・」以下はワシの一言コメントです。

第1部 脳神経科学から見た生命倫理
1章 胚はいつから人になるのか・・・受精後15日目、神経系を作るプロセスが始まる。
2章 老いゆく脳・・・認知症の患者はその事実の自覚がない。意識の終焉はいつか。
第2部 脳の強化
3章 よりよい脳は遺伝子から・・・遺伝子選別はどこまで許されるのか。
4章 脳を鍛える・・・能力強化剤の是非。
5章 脳を薬で賢くする・・・スマートドラッグの是非。
第3部 自由意志、責任能力、司法
6章 私の脳がやらせたのだ・・・それをしたのは私なのか?私の脳なのか?
7章 反社会的な思想とプライバシーの権利・・・脳内嘘発見器の可能性。ディック。
8章 脳には正確な自伝が書けない・・・記憶が不完全であることの意味。解釈装置。
第4部 道徳的な信念と人類共通の倫理
9章 信じたがる脳・・・人間は信念を形成する装置である。
10章 人類共通の倫理に向けて・・・道徳は集団の生存にかかわる。

いろんな問題を、脳倫理学という新しいナイフで切っていく。これまで見ていたのとは違った切り口が見える。面白い。でも、それで人生観がガラっと変わったりはしない。急に今までと違う行動をとるようになるわけではない。んー。なんて言うんだろう、ここに書いてあることは所詮”知識”でしかないのさ、所詮これは”本”なんだよ、っていう感じがつきまとう。それはもう、9章に書いてある、「人間は信念を形成しそれに従って生きている、そして信念は体験から生まれる(Bookishな知識でなく)」っていう、そゆことか。

入れ子になった、それを含めて色々考えさせられる本でした。脳がらみ、倫理がらみの問題点を網羅的に拾ってるしね、この辺の問題に関する、頭を整理するレファレンスとして、いいかもしんない。

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2009年11月20日 (金)

【書評】フォーカル・ポイント 著者:ブライアン・トレーシー

フォーカル・ポイント読了○。副題は「労働時間を半分にして、生産性と収入を倍にする思考術」。フォーカル・ポイント=FOCAL POINT、直訳すると焦点。最大の成果を生む焦点を見極めよ、と。そして、幸福な人生を送るための普遍の真理、そのための4つの方法を使う。それは1.重要なことを増やす、2.重要でないことを減らす、3.新しいことを始める、4.あることを完全に止める。

まずビジネス本としては上の部類でしょう。ワタシはちゃんとやる気になったよ。

何が上なのか、ってーと。何かをやることから始めるのではなく、何が大事なのかを見極めることから始める。何かをやることから始めるのではなく、何かを止めることから始める。ってゆうね、そこが新鮮です。いい感じ。

こうやれああやれ、これが大事あれが大事って、それだけでは、二流のビジネス本なんだよな。考えてみれば当たり前の話なんだけど。自分が何者なのか何が欲しいのかを知ったうえで、そして、何かを持とうと思ったらまず手放さなければならない、よね。

そこんとこでこう、ガツンとカツを入れといて、んで、具体的に、やることをやるための、効率よくやるための、ノウハウへ話が移っていく、と。それは80対20の法則であったり、習慣が運命を決めるという法則であったり、レバレッジを掛けるということあったり。本のつくりとしては、なかなか良く出来ていると思います。飽きずに最後まで読むことが出来ます。

オレなんて見かけによらずとても素直なので、早速いろいろ実行してですね、うん、仕事の能率、上がってます。人間素直が大事だ。ってわけで一読をお奨めします。

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2009年11月17日 (火)

【書評】生きる歓び 著者:橋本治

生きる歓び読了○。橋本治の短編集。地方から東京に出てきた泰成は十九歳になった「にしん」、智子はOLは会社と結婚した主婦だと思う「みかん」、七十になった志津江は鍼灸院の帰りに「あんぱん」、妻に先立たれ十年来マンションの管理人をしている昭輔は「いんかん」、三十になった勇治は去年の秋に会社をやめた「どかん」、拓郎が家に帰ると娘は六本木に出かける途中で「にんじん」、デパートに勤める雄冶と駿は二人で温泉旅行に「きりん」、伸子は洋服のリフォームが好きで「みしん」、入社二年で8キロ太って嘉男はちょっとショック「ひまん」。短編9編を収める。

橋本治さんのとりこぼし作品を読んでいこう、ってんで取り敢えず。ところが、途中まで読んで思い出す、あ、これ読んだことあるな、って。あらら。

でも忘れてて、読んでやっぱり面白いので最後まで読み通す。面白いねえ。冒頭に紹介したとおり、ありとあらゆる年代、性別、シチュエーションの登場人物が、日常生活の中で何を考えているのか、どんな世界に住んでいるのか、どんな風に世界を認識しているのか、なんとなく、わかってくる気が、する。面白いねえ。橋本治さんのこの”なってしまう”能力のすごさ、ですねー。

個人的には境遇が比較的似ている「どかん」がアレですかねえ。そういえば、「どかん」を読んで、あ、コレ読んだことあるわ、って思い出したんだった。他の短編は”ひとごと”だったけど、コレは”身につまされた”ってことかなー。

まだ読んだことない方、一度、味見してみることをお奨めします。

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2009年11月15日 (日)

【書評】NASAより宇宙に近い町工場 著者:植松努

NASAより宇宙に近い町工場読了◎。植松電機は北海道は赤平にある従業員20人の町工場で、本業はパワーショベルにつけるリサイクル用の強力磁石の製造。一方で植松電機は世界に3台しかない無重力実験施設を持ち、自前で宇宙開発を進めている変わった会社でもある。植松電機社長、植松努さんの嫌いな言葉は「どうせ無理」。こんな言葉は世の中からなくしてしまいたい。ただそのために、まさか町工場がやれるとは誰も思わない宇宙開発を、自前で進めているのだ・・・。

タイトルで勘違いしやすいんだけど(オレが実際そうだった)、頑張ってNASAに認めて貰いました、って話じゃない。NASAなんか目じゃないって話だ。そして苦労話じゃない。自慢話じゃない。生きるってことについて、人間の可能性について、一緒に考えましょうよ、って話なんです。といって、押し付けがましくはない。説教臭くもない。ええ本です。一読をお奨めします。

ワタシちょっとビジネス本・ハウツー本を莫迦にしているトコがあってですね、ホラ1-2時間で読めちゃうじゃないですか。そのスカスカ感がヤだってゆーか。文芸書>ビジネス本ってゆう不等式が先入観として入っちゃってるってゆーか。で、この本も見た目そんな感じでしょ?でも読んでみたら、この本はビジネス本ではなかった。ハウツー本ではなかった。

では何?ってーと、ノンフィクションであり教育書であり啓蒙書であり思想書、だったんですよ。インパクトあります。読むと元気が湧いてくる。自分の可能性が広がるのが感じられる。書いた人に会ってみたくなる。なにかやりたくなってくる。人にシェアしたくなる。感動して泣きそうになる。まさか、って思うでしょ?いやいや。とにかく読んでみな。

これホントなの?ホントの話なの?今の日本で?・・・とてもとてもびっくりします。すごい、としか言いようがない。ちょっと呆然とする感じ。北海道かー。下の息子連れて工場見学に行って来ようかなー。

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2009年11月14日 (土)

【書評】辞めてはいけない-キーワードで読むリストラ 著者:中森勇人

辞めてはいけない読了○。副題は「キーワードで読むリストラ」。著者は1964年生まれ。入社10年目に会社から突然のリストラ宣告を受けた。500日に及ぶ闘いの末撤回させ、現在も以前と同じシステムエンジニアとして勤務する傍らリストラ評論家として活躍中。わお。人間万事塞翁が馬ですなあ。

77のキーワードについて、「用途」、「解説」、「使用例」、「対処方法」、「実例」の各項目に亘り解説。実用的で実践的で頼もしい本。全てのサラリーマン、とりわけ普通の会社に間違って就職してしまったアスペル君又はオタクなあなた。読むべきです。読んでおくべきです。マジで。いやマジで。普通の会社はこええぞ。ウチは大丈夫なんて思ってんじゃねーぞ。これは自戒を込めて言ってます。

先週このブログ、更新頻度低かったでしょ。いやちょっと会社でいろいろありましてね。身の危険を感じているのです。こういうときに頼れる人脈があればオタクなんてやってない。取り敢えず本を読んで知識で武装するってのが正しいオタクの在りかただと思う。ってわけでアマゾンに注文して速攻で読了。

なるほど。とにかく辞めます、って言っちゃ駄目なのね。よくわかりました。先週はすげえ動揺してたけど、よし、立ち直った。自分の人生自分で守る、か。そらそうだ。よし。復活だあ!

経験者が語る、ってトコがいいんだな。ただ法律的なアドバイスをするんでなく、経験者が語るその重みがいい。取り上げられているフレーズも「君にはやってもらう仕事はないから」とか「身の処し方を考えてくれ」とか、いかにも、ってフレーズでなまなましい。

も一回言っとくけど、そこのあなた。いいから読んどきな。

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【書評】英単語ネットワーク-わかる覚える使える(基本動詞・編) 著者:田中茂範

英単語ネットワーク-わかる覚える使える(基本動詞・編)読了◎。英語の基本動詞について重要点をまとめた本。使いこなしの難しい基本動詞を選び「基盤」、「移動」、「所有」、「生産」、「発話」、「破壊」、「知覚」、「加圧」、に分類、それぞれの動詞の持つ”コア”の意味について懇切丁寧且つ徹底的な解説を加える。

英会話のクラスを経験し、聞けるけど読めるけど喋れない、っていう症状を自覚し、どうやってそこから抜けるかを考えた。問題はイメージなんだよな。喋りたいことがある、それはもやもやしている、それを日本語にしてから英語に翻訳する、ってやりかたをやろうとすると、単語でつまづくんだよ。意識が”翻訳”だから単語が出てこないとそこでフリーズしてしまう。このやりかたでは駄目だ。ではどうやって?

ってわけで、イメージで考え、イメージを英語に翻訳する、という方法が取れないか、ってのを実験してみてるんです。これだと、”言いたいことに近い感じ”って検索の仕方を脳がするみたいで、辛うじてもどかしい近似値を選びながらなんとか止まらずには済む、って感じかな。相変わらずひどい英語だと思うが、フリーズするのよりはましだ。

このやりかたをやるには、各動詞の意味が、日本語への翻訳としてではなくイメージで分かっている必要がある。ってんで基本動詞の持つイメージについて教えてくれる教材を探して、たどり着いたのがこの本。

いかにもアルクが出してる英語の教材、って感じのつくり(後ろのほうに教材の広告ページが一杯あったりとか、さ)で、オレなんか最初、ああん?コラ、一般書のふりすんじゃねえ!って態度で読んでたんですが。(アルクさんごめんなさい。)

いやこれがいい本なんだ。すごく。経験上、基本動詞の解説って、偉そうなこと言う割には結局は慣れなさい覚えなさいみたいなトコに逃げ込み勝ちなんですよ。この本はその辺が一本芯が通ってて、コアの意味をちゃんと妥協せずに掴もうとしている。意味というものの本質が、言葉でなくイメージであることを認識していて、図で示そうとしてくれている。

この本と英文法を疑う、この2冊で私の英会話は新境地を開く、ことになるはず、なんですが。受動態がなぜbe動詞+過去分詞なのか。現在完了形がなぜhave+過去分詞なのか。そのイメージがないと、実際、実用スピードに達しないと思うんだよね。でも、弊害もあってですね、今頭の中で英文法の再構成が進行中らしく、既存の説明で納得していたモノが分からなくなったりしてます。例えばこないだhave toの意味が咄嗟にわかんなくなったりしてました。これ、これからやること(to不定詞)を所有している、ってニュアンスなんだよねー?

ってことで、英語が伸び悩んでいる方(たいていの人がそうらしいが)、一読をお奨めします。

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【書評】橋本治と内田樹 著者:橋本治、内田樹

橋本治と内田樹読了◎。橋本治と内田樹の対談集。2004年冬と2005年春の2回、神田の山の上ホテルで行われた対談を収める。テーマは何か、ってゆーと、これが専ら、”橋本治について”。対談者の片方についてをテーマに対談する対談集って、ちょっと珍しいかもしれない。っていうのも橋本治なればこそ。いつもの飄々とした空気の中で、内田樹の(爆笑)を合いの手に、話題は予想もつかない方向へ展開します。あっちへとびこっちへとび。橋本治の変なトコと今の社会の変なトコがコントラストを成して迫ってくるってゆーか。

だめだ。何書いてるか自分でもわかんなくなった。橋本治のファンだったら、絶対読むべき本です。絶対です。絶対。結構あけすけに色々喋ってくれてて、ある種、橋本治のタネ明かし、みたいなところがありますから。んで、タネを明かされてもそのタネがまたなんというか意表を衝いていて、アトをひいて昔の本をまた読み返したくなる、みたいな。

パブリック、引き算、否定するくらいなら創れよ、多神教と一神教の補完関係、とかのフレーズがとても印象に残ってる。うーん。予想もつかない切り口が脳みそに揺さぶりを掛けるこの感じは上質のSFを読んだときの感じに近いな(ってフレーズも使いすぎだオレ)。

ファンでなかったら、読んでも意味わかんないだろーなー、って思う。そういう意味ではまたすげえ読者の限定されたマニアックな本を出したもんだ、と妙に感心。さすが筑摩書房だ。

オレ、初めて橋本治読んだのは大学のときだな。”極楽迄ハ何哩”が最初の出会い。内容は今はもう全く片鱗も覚えていないが、それまでこういうものに遭ったことがなかったので大ショックを受け、友人に奨めまくって顰蹙を買ったのは鮮明に覚えているぞ。あ、それとも花咲く乙女たちのキンピラゴボウが先かな?

なんにしろこのかたとのお付き合いは20数年に及ぶわけで。尊敬しつつあいかわらずある種謎の人なんだけど、でも、ちょっと距離が縮まった感があるぞ。

今回この対談読んで、読み漏らしている橋本治をちゃんと拾って読んでいこう、と思いました。っつっても多分100冊位ありそうなんだけど。ま、ぼちぼち行きたいと思います。

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2009年11月11日 (水)

【書評】血に問えば 著者:イアン・ランキン

血に問えば読了○。スコットランドはエジンバラの、セントレナード署のジョン・リーバス警部シリーズの第14作。リーバス警部は両手に火傷を負って病院にいる。リーバスの部下シボーンがストーカー被害に遭っていた。そしてストーカー、マーティン・ファイアストーンは自宅で椅子に縛り付けられた状態で焼死。前日の夜、一緒に居るのを最後に目撃されているのは、リーバス。リーバスに査問委員会から呼び出しが掛かる。

一方、高校での銃乱射事件が起こる。生徒三人が撃たれ、二人が死亡。犯人はその場で自殺。犯人は高校の近所に住む、リー・ハードマン。元英国陸軍特殊部隊所属の退役軍人と判明。自身も特殊部隊に所属していたリーバスは、動機の解明の手助けを期待され捜査に駆り出される。捜査に対する英国陸軍の調査官の妨害。特殊部隊訓練を原因とする狂気が原因なのか?またリーバス自身の犯罪は・・・?

警察ハードボイルド一匹狼小説。この人の作品を読むのは初めてです。リーバス警部、いいなあ。この、偏屈で、誰とも仲良くしない、口の悪い、無愛想な、この男。この人の根っこは何か?何を体現しているのか?ジェッシイはフェアネス。この男は?まだオレ良く分かってないな。もっと泥臭い。でも好きだよこの人。もうちっと読んでみようかな、と思います。

なんだかんだいってオレ、ミステリ読んでるなあ。んでSF読んでないな。不思議だ。ミステリよりSFの方が好きなんだけどな。いやそこにはいろいろフクザツな心理がね・・・。

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2009年11月 7日 (土)

【書評】アンドロイドの脳 人工知能ロボット”ルーシー”を誕生させるための簡単な20のステップ 著者:スティーヴ・グランド

アンドロイドの脳読了◎。副題は「人工知能ロボット”ルーシー”を誕生させるまでの簡単な20のステップ」。原題は「GROWING UP WITH LUCY   How to Build an Android in Twenty Easy Steps」。著者は1958年生まれのイギリス人。高卒で小学校教師となり、なったあとで自分に全く向いていないことを悟る。コンピュータと出会いプログラマーに転じ、創ったゲームが大ヒット、その功で管理職に昇進するも、管理職としては全く無能だったため会社をクビになる。ところが良くしたもので、数週間後、ゲーム業界の発展に寄与したとして大英帝国四等勲章を叙勲する。時に1999年12月31日昼。もうすぐ憧れだった未来、21世紀がやってくるというそのとき。これは何かの天啓だ。著者はプロジェクトをスタートさせることにする。自分だけで完全な人工生命を作るというプロジェクトを・・・。

仰天するほど面白い。泣くほど面白い。うん。一気読みしてしまいました。頭くらくらしてます。消化不良です。でもでも途中でやめることは出来なかったな。さて読み返そう。

出版社はアスペクトだし、表紙はちょっとキワモノっぽいし、軽いエッセイかなんかのつもりで読み始めたのですが。いや確かにそういう要素も入っていますが、本質はガチンコの、人工知能のつくりかた、についての本です。そしてそれは即ち、知性とは何か、脳はどのように働いているのか、についての本でもあるわけです。

経歴を見ても分かるとおり、全くの独学で人工知能(とゆーか人工生命とゆーかロボットとゆーかアンドロイドとゆーか)の研究をしているアマチュア科学者なんですよね。でも(だから、か)分析でなく統合を重視するこの姿勢は、今まで読んだ人工知能の本の中にはなかったもの。無茶苦茶新鮮です。直観的に、ああ、これが正しいアプローチだ、って思う。思わず応援したくなる。実際、助成金が今年の春で打ち切られ、貯金を食い潰しながら研究を続けている状況みたい。凄いな。面白いなあ。

機械が、或いはコンピュータが知性を持つお話、ってのは世の中にいっぱいある。でも、どれも、お話、でしかないのをみんな知っているよね。少なくともワタシは本当に有りうること、としてそれを読んだたことは今まで一度もなかったよ。

でも、この本を読むと、もしかしたら、この方法を洗練させていくと、そこに、我々の持つ”知性”ってものと区別のつかないものが現れるのでは、ってわくわくすることが出来る。これは生まれてはじめての経験です。

それからもうひとつ、そういう、”知性”を含む心、或いは意識ってものが、脳の機能、働き、状態、の別称なんだということ。これもこの本を読むと腑に落ちる。うーん。おみごと。それはぜんぜんイヤじゃない。寧ろホッとするんだな。

一読をお奨めします。

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2009年11月 2日 (月)

【書評】マックピープル12月号 

マックピープル12月号読了○。
[巻頭特集] 薄い!安い!早い!! 絶対買うぞ!!新型マック3機種登場 
[特集1] そろそろ本気でSnow Leopard Mac OS X10.6秘密発見
[特集2] フル対応は近いぞ MacとBlu-ray
[特集3] 全部タダで操作環境を快適に 画面共有で効率アップ
[特集4] レイアウトがサクサク完成!! BiNDで簡単ウェブページ
[特別付録DVD-ROM] iPod nano機能紹介ムービー 他

久しぶりにマック雑誌を読んだな。なんでかってーと、レビュープラスに応募したらレビュー用に送ってくれたから。有り難いぞ。うんうん。

マック雑誌もずいぶん淘汰されて、2009年11月2日現在、生き残っているのは「MAC POWER」と「Mac Fan」、そしてこの「MacPeople」くらいなものですね。「日経Mac」も「MAC+」も「MACLIFE」も「MACがいちばん!」も今は無い。栄枯盛衰と申しますか。因みにマック、雑誌、でググったらちゃんとマック雑誌の発行状況を纏めたページがありましたよ。うーん。素晴らしい。作者の鈴木厚司様、ご苦労様でございます。

マニアックな雑誌から潰れていって、今生き残っているのは初心者にもちゃんと目配り出来てる雑誌、って感じですね。「MAC POWER」は初心者向けではないけれど「MacPeople」と同じアスキーなんで、季刊化して戦略的に棲み分けていると。なるほど。

で、久しぶりのMacPeople。いかんな。特集記事読むとね、欲しくなっちゃうじゃないかー。特にMacBookが9万円台ってのはすげえ惹かれますね。下の息子が中三で、そろそろ自分のマシンが欲しいらしい。ちょうどいいかも。うーん。悩むなー。

何かで読んだが、最近、PC市場に於けるMACのシェアは、9%台まで盛り返しているそうで。凄いな。昔からのファンとしては単純にうれしいです。

あと特集記事で有り難かったのは[特集4] レイアウトがサクサク完成!! BiNDで簡単ウェブページ ですな。なんつーか、ちょうど最近、ブログだけじゃなくってもうちょっといろいろ手を広げたいって思ってたトコなんで。付録DVDに体験版も入っているし、具体的なイメージが湧いてきたぞ。よしよし。

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レビュープラス

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2009年11月 1日 (日)

【書評】オババコアック 著者:ベルナルド・アチャーガ

オババコアック読了○。スペイン、北部バスク地方の架空の村、オババを舞台とする連作短編「少年時代」(短編5編)。スペインの僻地カスティーヤ地方の寒村ビジャメディアーナ村での一年余りの滞在記「ビジャメディアーナに捧げる九つの言葉」(九つの断片からなる)。オババの言い伝えに、草むらで寝ると耳からトカゲが入って脳みそを食べられる、という。作家志望の青年とその友人はその謎を解こうと「最後の言葉を探して」(作中作品10篇を含む)。

最近改めて自分のマイナー志向を自覚しています(遅いって!)。それと出来合いの物語の型に飽き足らなくなって来てて、この二つが相俟って、マイナーで変なの、って基準で立ち読みして、なんとなく選んで読んでみたのがこれ、オババコアック、直訳するとオババの人とモノ。

こんな基準で選んで読んでおいてこういうのもなんなんだが、明らかに”慣れていない”せいで「ついていくのが大変だ」と感じました。構成も文体もストーリーもね。我ながら言ってることが矛盾してるなあ。でもま、これが正直な感想。大変だと思った分、面白いんだか面白くないんだか微妙な感じ。

でも妙にアトを引きます。好き嫌いで言うと嫌いではない。この感じはね。少し時間を置いてもう一度読んでみようと思う。

バスク語がマイナー言語の代表格ってのは、どうなんでしょう、一般常識?私は昔、司馬遼太郎の本で読んで知った口です。現在のバスク語人口は50万人あまりだそうで。バスク語の何を面白いと思うかって言うと、その言語系統が不明である点と、膠着語系で日本語との類似性が指摘されている点ですな。周囲が全てSVO型の屈折語の中に、バスク語だけSOV型の膠着語、それゆえヨーロッパではバスク語は、取得が難しいものの代名詞になっているそうで。

マイナーな言語であるバスク語を母語とするが故の問題意識、そのことは作品全体に影響を与えているように思います。そもそもバスク語で書かれた小説はあまり多くない。解説で、作者のアチャーガが若い頃、バスク語で書かれた文学作品を読み始めたら3年間で全部読んでしまった、というエピソードが紹介されています。使用人口約50万人ってそういうことなんだなー。

一方でザビエル(日本にキリスト教を伝えたあのイエズス会のザビエルですよ)はバスク人だったってーのも有名な話。日本語との類似性を考慮してバスク人を選んだ、んだろーなやっぱり。やるなイエズス会。

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