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2009年10月 6日 (火)

【書評】名探偵クマグスの冒険 著者:東郷隆

名探偵クマグスの冒険読了○。時は絢爛たる世紀末、処は大英帝国の首都ロンドン。登場するのは伝説の知の巨人、南方熊楠。ロンドン時代の熊楠を主人公にしたミステリ仕立ての短編集。クマグスがその博覧強記と観察眼で、難事件を見事に解決していく・・・。紀州弁で毒づきながら。

大日本帝国海軍の戦艦の設計を担当するアームストロング社での連続殺人事件「ノーブルの男爵夫人」、夜な夜なケタキアの精が屋敷を彷徨う「ムカデクジラの精」、盗まれたケルトの巨人兵の遺体はどこへ「巨人兵の棺」、革命家孫文を助け出せ「清国の自動人形」、コーンウォール地方に伝わる伝説の財宝「妖精の鎖」、ロンドンの阿片窟で消える清国人達を追え「妖草マンドレイク」。短編6編を収める。

もちろん作者の創作になる、軽い味わいのミステリ短編なのですが、この作者らしく、しっかりと取材して原典も明記(南方熊楠日記、南方熊楠書簡抄を始めとして14冊の参考文献)、引用も豊富、あたかもノンフィクションを読んでいるかのような錯覚を覚えます。

ミステリとしてはホンとに軽い、ワンアイデアストーリーですが、クマグスのキャラがいいので読んでて飽きない。この傍若無人さに憧れるなあ。この人が一番生き生きしてたのってやっぱこのロンドン留学時代だよな。いいトコロに目をつけたねえ。クマグスが活躍するところをもっと読みたいよぉ。続編を希望します。

考えてみれば熊楠こそ元祖オタクですな。ただとっ散らかってるだけで、体系を構築できなかったじゃねーか、っていう批判も含めて、とっても親近感が湧くんだよねぇ。

最後は隠遁、ってのがオタクのひとつの理想形なのかな。ファーブルもそうだったし。ふむふむ。老後どこに住むか、考えとかないとなー。

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