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2009年10月 4日 (日)

【書評】ヤクザの文化人類学 著者:ヤコブ・ラズ

ヤクザの文化人類学読了○。 副題は「ウラから見た日本」。著者はテル・アヴィブ大学東アジア研究科教授のユダヤ人。客員教授として度々来日し、日本の非定住的社会の文化を研究している。そんな著者がテキヤの大親分の信頼を得て、組織の内側に入って研究することを許される。テキヤと生活を共にし、インタビューを重ねる中で明らかになる、カタギには見せないヤクザの姿とは、そしてそれによって照射される現代日本社会とは・・・。

日本人研究者ではここまで入り込むことは出来なかっただろうな。ジャーナリストではここまで本質を(日本社会の影として)見抜くことは出来なかっただろうな。著者が外国人で且つ大学教授であるという二重に部外者である強みが、如何なく発揮されています。

出版社が岩波ってことからも分かるとは思いますが、念のために書いておくと、ヤクザ本にありがちな、「古きよき日本の体現としてのヤクザ」的な称揚本ではない。また類型に当てはめて面白おかしくヤクザを描いた本でもありません。(因みにこれらヤクザのステレオタイプを使って報道するヤクザジャーナリズムについても一章が設けられ、考察が加えられています。)

極めて愚直且つ真面目に、ヤクザ社会を文化人類学的、社会学的、心理学的な観点から観察し、出来る限りの公平さ、正確さ、を以って記録し、考察した本です。記述していく際の、著者の注意深さ、誠実さ。それは時に読んでて冗長に思うほどなんですけど、学問的な正確さ、公平さを確保するためには必要なんだよね。

そしてそれを踏まえた上で印象に残ったのは、付録に収められたいくつかのエピソード(の選び方、書かれ方)とあとがき。著者が本質的に定住者でなく放浪者の側に立っているという感じです。そしてそれはイヤじゃないんだな。・・・ここんとこ放浪づくしだ。いっちょどっか行くか?

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