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2009年10月 6日 (火)

【書評】君はフィクション 著者:中島らも

君はフィクション読了○。らもさんが逝っちゃってちょうど2年後の、2006年7月に出版された、落穂拾い的短編集。書かれた年は、最も古いもので1986年。最も新しいもので2004年。いくつかの作品は再録。いくつかの作品は雑誌掲載。いくつかの作品は書き下ろし。良くも悪くも寄せ集めで統一性がなく出来不出来の差が激しい短編集です。

ファンなんで文句言わずに読んで、それなりに満足。出来不出来が激しいのは、生前からそうだったし。統一性がないのも、慣れてるし。だからそれなりに満足です。

うう。ファンじゃなかったらやっぱ、ちょっと、怒るかな。だろうな。

昔、先輩に、中島らもは面白くないから嫌いだ、という人がいて、オレは、この人分かってないなあ、と思っていたが、でも冷静に見ると面白くない作品は結構ある。今回、考えてみたんだが、ネタが途中で割れてしまうもの、アイデアが生煮えのまま書かれてしまったもの、同じアイデアの使いまわしで書かれたもの、の3つが、この人の作品が面白くなくなるパターン。

アタマで考えて書くのはあまり向いてない人だったんだよな。ノリで書くっつーか、体験で書くっつーか、生きていく上での怒りとか悲しみとかのドロドロしたもので書くっつーか、意外とそういうのが向いていたんだと思うんだよなあ。純文学。私小説。ストーリーもオチも何もなし。エンタメもサービスもなし。

そのことを本人がどこまで自覚できていたかはちょっとアヤシイ。最後まで、書くこと=オチをつけることという縛りから自由にはなれなかったように見えるものね。

純粋で繊細であるが故に、社会でやっていくのが大変で、それに適応するためにアタマで武装する、そしてそれから自由になることが出来ずに、本来の純粋さ繊細さを見失ってしまう、そういう構図を見てしまう。そして、今回気づいたんだが、だから、オレ、この人のファンなんだろうな。そういう、自由になれずに駄作を書いてしまうところも含めてね。

らもさん、オレ、なんとか生きてますぜ。天国から褒めて下さいね。

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