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2009年10月13日 (火)

【書評】クマにあったらどうするか-アイヌ民族最後の狩人姉崎等 著者:姉崎等、片山能峯

クマにあったらどうするか-アイヌ民族最後の狩人姉崎等読了◎。1925年、北海道はキリタップに生まれ、22歳からクマ撃ちを始め、以来1990年に春クマが狩猟禁止となるまで、25年間に単独猟で40頭、集団猟を入れると60頭を獲った、アイヌ民族最後のクマ撃ち猟師。山の歩き方もキノコの採り方も、様々な技術は人間ではなくクマから学んだのだといい、私の師匠はクマだという。そんな彼が語る、猟師になるまで、そして猟師としての数々の体験。それから、クマの気持ち、クマの行動、そして、クマにあったらどうするか。死んだふり?それとも・・・。

姉崎等さんが語り、片山能峯さんが聞き書きする、というスタイルで話は進んで行きます。足掛け3年、合計6回のインタビューをまとめたもの。

うーん。面白い。まず体験がそもそも貴重でリアルです。様々な儀式やクマや自然に対する考え方が細かく説明してあり、アイヌの話としても読める。クマの習性をクマの側から詳しく描写してあり、クマの話としても読める。それから、長年山で暮らした経験から来る何が自然で何が自然でないかの指摘は鋭く、環境保護の啓蒙書としても読める。そして和人とアイヌの混血であったためにアイヌの狩猟の伝統を教えてもらえなかったにも拘らず、努力して独力で技術を身につけた、一種の偉人伝としても読める。一粒で4度美味しい。

どのエピソードをとってもとても具体的でなまなましく、面白いったらない。んで、語り手である姉崎さんのキャラがいい。師匠がクマってのが、なんの衒いもなくごく自然な発言として出て来ているのが良くわかります。その上、自身の体験を客観視するスタンスをお持ちです。語り手が酔わない。視点がぶれない。冷静で合理的。これらが相俟って、一種独特の語りになっています。一読をお奨めします。

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