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2009年9月22日 (火)

【書評】はて、面妖 著者:岩井三四ニ

はて、面妖読了○。戦国・織豊時代末期を舞台とする時代小説短編集。伊予国宇和郡に隣国の土佐一条氏が侵入、乱妨取りを掛けるが「地いくさの星」。美濃へ抜ける間道で信長を狙撃せよ「善住坊の迷い」。信長に伺候して絵を献上する、しかしその絵には実は「花洛尽をあの人に」。上方勢が小田原へ攻めてきた、そのとき齢八十歳の由良氏のご隠居様は「母の覚悟」。北条氏と秀吉の間の戦い、武州松山城には志願した町衆が大勢いて「松山城を守れ」。美貌の藤代御前は自害し、津軽為信に呪いを掛けたが「人を呪わば穴ひとつ」。大阪方の大将秀頼の近習、大野修理亮長冶の本懐とは「修理亮の本懐」。短編7編を収める。

ひとひねりした時代小説というジャンルがあるとすれば、この人の作品は外せないと思う。どこか身近なキャラクターの主人公が、事件に巻き込まれるタイプの話が多い。時代背景の考証はしっかりしていて、その時代特有の事件、悩み、展開、がある。それでいて、メインテーマはいつも、とても人間くさく身近な感情。そのギャップとゆーか、バランスが面白い。そして微かなユーモアとちょっとした毒、意外と醒めた視線。いいねえ。

時代小説の顔をした普通の小説はきらいだ。それ、べつに時代小説でなくってもいいじゃん、みたいな。ただ時代小説しました、ってのも好みではない。退屈してしまう。この人のはそうではない。その時代その場所に話を持ってくるのではなく、その時代その場所を調べていったらこの話に行き着いた、それを現代に投影してにやっと笑う、って感じなんですな。でも世の中的にはあまり高くは評価されていないような気がする。

ただの娯楽時代小説として、ある種のパターンものとして、消費されて消えていくのかな。ちょっともったいない。オチのつけ方を見ているとパターンのように見せてパターンを外すという、そういう意思を感じます。この人、もっと評価されていいと思うんだがなー。

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