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2009年8月15日 (土)

【書評】ジョーカー・ゲーム 著者:柳広司

ジョーカー・ゲーム読了○。旧日本陸軍のスパイ養成機関であるD機関を横軸とする連作ミステリ。D機関設立「ジョーカー・ゲーム」、英国総領事のスパイ疑惑「幽霊」、捕らえられたスパイ「ロビンソン」、上海の抗日テロを背景とする「魔都」、二重スパイの死「ダブルクロス」、等々、中篇5篇を収める。D機関設立者の結城中佐が各篇に狂言廻しとして少しだけ登場します。

この著者の本を読むのは初めてですが、ドラマでなくパズルの人なんですね。昔は本格モノと社会モノとか読んでましたが。そうかあ、このジャンル、まだあったんだ。

ミステリの王道って感じですか。うまいっ、座布団一枚、みたいな。D機関は作者の創作です。スパイっていろいろお話を作りやすい題材だと思いますが、この本に出てくるスパイ、D機関卒業生はみな一種人間離れした能力の持ち主として描かれています。特に、あの時代であるにも拘らず天皇制を平然と批判するような、思いこみを排する能力の。そして思いこみがあの時代の普通の人間の視点から描かれるとき、それがミステリのネタになる。

とゆーわけで、縦軸は思いこみ、ってことになりそうですね。心理的盲点、束縛、囚われ、まあ言葉はなんでもいいんですが。でも考えてみたらミステリって大体が読者の思い込みを逆手に取って意図的にミスリードした挙句、種明かしをするって構造なわけで。そういう意味では説明にはなってないか。いやいやだからこそミステリの王道なんだな。うん。

舞台は、人々が判り易い思い込みを持って生きていた時代。そしてその思い込みが思い込みでしかないのを我々が知っている時代。読者はちょっとだけ有利な視点で物語を読んでいる気になるわけですね。でもね、その知ってる感も所詮作者の手のひらの上。騙される快感を求めるミステリ好きにはお勧めかな。

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