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2009年8月16日 (日)

【書評】墨攻 著者:酒見賢一

墨攻読了○。舞台は中国戦国時代(紀元前403年~紀元前221年)。思想集団である墨家は、守城戦に特化した戦闘技術を持ち、大国に侵略される国の救援要請を受け、城を守った。趙と燕の国境にある小城、梁城からの救援依頼を受け派遣されたのは、生え抜きの墨者である革離ただ一人。果たしてたった一人で2万に及ぶ趙軍の攻撃を防ぐことが出来るのか・・・?

墨攻というと、スピリッツに連載していた漫画、或いはそれを原作とした映画の方が有名になってしまいましたが。その漫画の原作となったのがこの小説なわけで。本そのものは僅か170頁程度と極薄いものなのですが、その後の影響を考えるとなかなか凄いものがありますね。

墨家という中国史上の異能集団の紹介に係る記述、進行中の梁城の守城戦の模様、主人公革離の墨家の中に於ける位置。3つの要素を織り交ぜながら物語は簡潔な記述で淡々と進められていきます。当然、物語としては梁城の守城戦がメインとなるのですが、この物語を面白くしているのはやはり墨家そのものの紹介の部分ですね。二千数百年前に非攻(他国への侵攻の否定)、兼愛(博愛主義)を説いた、とか、一方で極めて実利的・合理的に戦闘に勝つ技術を発達させ守城戦に於いては無敵であった、とかの記述を読むと、我々読者はその後の中国の歴史の展開を知っているだけに、もしも墨家が歴史から消えてしまわなかったら中国の歴史はどうなっていたのか?儒家でなく墨家がメジャーになっていたら?ってなことを考えてしまうわけです。

それにしても、本の面白さは厚さには比例しないなあ。いや当たり前の話なんだけどね。

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