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2009年8月17日 (月)

【書評】「乳と蜜の流れる地」から 著者:山森みか

「乳と蜜の流れる地」から読了◎。副題は「非日常の国イスラエルの日常生活」。著者は日本人。ユダヤ人である夫と結婚し、1994年以来イスラエルに住んでいる。妊娠中に就職活動をし、テルアビブ大学人文学部東アジア学科講師の職を得る。夫は当然ユダヤ教徒だが、著者と二人の子供はユダヤ教徒ではない。そんな著者から見たユダヤ人とは、中東和平の現実とは、そしてイスラエルの日常生活とは・・・。

ユダヤ人或いはユダヤ教関係の本って、なんつーか、バイアスが掛かっているものが多いじゃないですか。そんな中では、そもそもイスラエルにおける日常生活ってのが、ネタとして珍しいわね。それだけでも興味をそそられるのに、その上中身が濃く、偏りがなく、視点が安定していて、洞察が深い。ええ本です。一気読みしてしまいました。

エッセイっていうのとはちょっと違うかもしんないな。もちろんイスラエルに住まなきゃわかんない、著者の或いは著者の家族又は知り合いの、実体験がベースなのですが、それは単なる体験談ではないのですね。ある時は日本或いはアラブとの比較だったり、ある時はイスラエルの歴史を踏まえた考察だったり、と、いろんな角度からものごとを考え、解説してくれるんですよ。現象だけでなくその現象の背景、歴史、現代に於ける意義、ついでに言えば未来への影響の可能性まで、って感じか。といって、お堅い紹介本、研究本ではまったくない。面白い。なかなかできるこっちゃないと思います。

個人的にとても面白いと思ったのは、本書中に引用されていたデイビッド・グッドマンというアメリカのユダヤ人の言葉。「ユダヤ教は、人間のあらゆる行為を実質的に神との交わりの手段に変容させようと努力する生活方式である」「ユダヤ人の存在理由は倫理的に生きることであり、ユダヤ人は食事、性、時間に関する事柄を、倫理すなわち神の名を聖化する具体的な行動様式として、常に人生の中心に据えるものだ」

なるほど、って感じですね。食べ物のタブーにしろ安息日の規定にしろ、それだけ見ると、何故?って思っちゃいますが、この文章を読むと、あ、そうですか、ってレベルでは理解できるもんね。それと、この考え方は、イスラム教も一緒だね?イスラム教徒で同じようなことを言っている人がいるかどうか、調べてみたいが、どうやって調べたらいいかなー?

正直に言うと、こういう不自由な生き方に憧れる感じと莫迦にする感じと、私の中に両方あるねえ。それは私がちょーっとアスペルガってるから?それとも日本人だから?それとも?

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