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2009年8月24日 (月)

【書評】シャリマール 著者:甲斐大策

シャリマール読了○。副題は「シルクロードをめぐる愛の物語」。アフガニスタン・パキスタンを舞台とする連作短編集。「ナフディ・ジャンの恋」、「ビビ・ウマルとマンスール」、「シャリマール」、「グリスタン【花園】」、「シューリィの花」、中篇5篇を収める。

ちょーっと異世界に迷い込んだような感じ。空気が違う。論理と倫理が違う。軽く酔っ払ってしまいました。

不思議な短編集です。愛の物語なんですが、甘くない。1970年から1980年前後のアフガニスタンとパキスタンを舞台に登場人物の生活が生き生きと描かれる。愛の形はいろいろ。煮豆売りの少年の仄かな憧れであったり、ビビ(お嬢さん)と渾名されると地方の豪族の嫡男の甘い出会いであったり、結婚を控えた比較的裕福な家庭の若い二人であったり。はっとするほど新鮮な筆致で、日本人ではない、その地に住む人々の考え方、人生観が切り取られています。そして、ある日ごく当たり前のように暴力が破壊が不幸が到来する。内戦であったり、宗教的な対立による襲撃であったり、或いは病気であったり。登場人物は多くの場合取り返しのつかない喪失を体験することになる。その後また日常生活が戻ってくる。

てっきり彼の地の作家の翻訳かと思ったら、そうではなくて、作者は日本人なんですね。もう亡くなっていますが、20年近くアフガニスタンやパキスタンをはじめとするシルクロード各地を放浪し、現地の人々と暮らし義兄弟の契りを結び、イスラム教に改宗したというから、もの凄い人です。日本人離れしていますね。本職は画家だそうです。一部では結構有名な方らしいのですが、私は今回始めて知りました。絵も一度見てみたいものだと思います。

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